東の果て編 その5 俺の言うことを何でも聞いてもらおう

「そうだな、とりあえず半年。それで納得のいく結果が出れば」

「結果が出れば・・・?」

「その時は俺の言うことを何でも聞いてもらおう。どうかな?約束できるかな?」

「い、言うことを・・・何でも・・・。わ、わかったわよ、でもちゃんと結果が出た時だけだからねっ!!」


よし言質は取った。これで領民があまりにもどうにもならない連中のようなら半年後にはここから連れ出してフィオーラ嬢に頼み込んで行儀見習いでもさせればいいだろう。

お嬢、何食わぬ顔で会いに行ったらむっちゃ怒られるだろうけど・・・。


「半年後・・・もう・・・見かけによらずエッチなんだから・・・」


おい、妙な勘違いをするんじゃない、俺のストライクゾーンは25歳以上だ!!



てなわけで引き続き領内の巡察する。短期間で出来そうなことは3つくらいしかないんだけどさ。


一つは『海辺で製塩施設を作る』

一つは『無駄に散らばって細々と畑を耕してる人間をまとめて無駄な移動を減らし、畑を広げ野菜だけじゃなく小麦の収穫が出来るようにする』

一つは『生産した農作物の余剰分から砂糖を作る』


普通に考えれば人口100人ほどの寒村で出来るようなことじゃないなコレ。

でも幼女と約束したからにはちゃんと形にしてやるさ。ふふっ、目撃者が少ないなら自重などする必要はないのだ!!

あ、でもそのまえに塩の利権関係の確認をしておかないとさすがに不味いかな?地球でもかなり昔から国家的に管理してたところも多いし・・・面倒くさいけどまぁしかたない。


ってことで久々にフィオーラ嬢にお手紙である。それも今回は急ぎの用件があるのであちらからのお手紙を受信しなければならない。

・・・連絡取りたくねぇなぁ・・・やっぱりきっぱりすっぱりここの領地の事はあきらめてしまうほうがいいような気がしないでもないが一宿一飯の恩、一度約束しちゃってるので仕方なし。


『フィオりん☆おひさしブリティッシュ!実はハリスたん聞きたいことがあるんだ♪


王国内の塩の利権、または海水塩の管理関係はどうなっておりますでしょうか?

国内での岩塩や海水塩の生産量や税金、輸入しているならば輸入量なども分かればお教え願います。

また、もしもどこかの貴族家が利権を抑えているようならばそこに新しく食い込むことは可能でしょうか?

あ、お返事はそちらにある地獄の業火君(改) 燃やさないバージョンの中にお手紙を入れていただいた上で扉から見て右底にあるボタンを押していただければ送信できますので』


的な感じで送ったら2分で返事が来た。

怖い怖い怖い、何なの?俺の部屋で全裸待機でもしてたの?

てかそう言うのはリリアナ嬢だけで勘弁して?


ちなみに届いた手紙には


『い ま す ぐ も ど れ』


と書かれていた。うん、フィオーラさんむっちゃキレてはるわー・・・。

そしてこちらからの返信には


『まぁ追々と?』


とだけ書いておいた。

さすがに公爵令嬢って言っても関係も関心もない塩の利権の話なんてしてもそうそう返事が来るはずもない・・・と思ってたら一時間後には普通に詳しい内容の書面が送られてきた。ホントに優秀だよなあの御令嬢と(バカ母子を除いた)ご一家。

当然その書面以外にも大量に手紙が送られて来てるわけだが。

壊れたファクシミリかよ。思春期に少女から大人に変わるのかよ。完全にエッチな話ですよね?詳しくお願いします!


いや、まぁ手紙はいいんだよ?でもさ・・・籠に入れた『ネズミ』続いて『ネコ』更に『イヌ』が送られてきてるのは何なんだ?まぁやりたいことは分かってるけどさ。

もうこれは『アレ』だよね?でもそれは無理なんだぜ?


『先に言っておきますがその魔道具では人間の転移は出来ませんよ?』


うん、その後の手紙で「本当は出来るんでしょ?」とか「怒らないからボタンの場所を教えなさい?」とか来てたけど本当に無理なんだ。

ちなみにネズミ以外の二匹はここん家で飼われることになりました。幼女が嬉しそうだしまぁいいか。あ、ネズミは送り返しました。ちょっと間違えたら細菌兵器だからね?ネズミ。



さて、話は塩の利権関係の書面に戻る。

ふむ・・・国内で採れる岩塩の利権はヴァンブス公爵家が握ってると。あ、海水塩は全然精製されてないんだ?

いや、生産が安定するかどうかも分からないからキーファー公爵家で扱わせろとか言われても困るんだけど・・・。後ろ盾としては有り難い話なんだけどね?

でもここってフリューネ侯爵家の寄り子の寄り子なんだよね。

そしてよくよく考えなくても『海水塩』とか言っちゃってる時点で大体どの辺にいるのかバレちゃっただろうなぁ。

まぁ最初からそれは仕方ないと諦めてるからいいとして、そうだな、とりあえずは


『生産量が少ない上に安定供給出来るかどうかはわからないのでヴァンブス公爵家にいい感じで話を付けて貰えませんかね?ヴェルフィーナ様にも多少の貸しがありますしその辺も上手く使っていただければたぶんなんとかなるかと。後、ついでにフリューネ侯爵家にも話を通しておいていただければ有り難いです。時間的に余裕があれば新年までに一度王都に立ち寄らせていただきますのでなんとかお願いいたします』


てな感じでいいだろう。

新年に王都に行くのか?もちろん『余裕があれば』行くさ。何にしてもどうせ春には行かないといけないだろうし・・・。

塩はいいとして砂糖は?砂糖はほぼ輸入品だから特に扱うのに許可はいらないはず。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る