東への旅編 その2 探索者ギルド登録!
「・・・詰んだ」
「主はいつでもどこででも行き詰まっておるの」
うん、それには反論出来ない。やべ、ホントにどうしよう?
うーん・・・。回りをキョロキョロと見回す俺。特に何か金策するのに役に立ちそうなものも見当たらないな・・・都市の門をくぐって入ったばかりだしこれと言って変わった建物も有るわけでなし。旅人商人農家のおじさん。商人の荷馬車に農家の荷車。そして探索者っぽい一団。
お?探索者か・・・。あれだよな、金に困ったら魔物の素材を売ればいいじゃないってどこかの国のお妃様が言ってた。とてつもなく物騒な国だなそれ。
目的地決定、冒険者ギルド!ではなく探索者組合!!
そのへん歩いてるそれっぽい人の後ろ付いていったら大丈夫だろう。
・・・と思ったらそいつら宿に向かっていたらしく軽く迷子になった。まぁ普通街に着いたら寝泊まりする場所探すわな・・・。
気を取り直してそのへんで物売している屋台や暇そうにおしゃべりしているおばさんに聞きながら到着しました『探索者組合・東都支部』。
王都にあった物より、いや北都にあった物よりもこぢんまりした建物だ。
扉を開いて敷居を跨ぐも中は相変わらずの市役所っぽさ。
・・・で、ここからどうすればいいんだ?前の時(異世界で)も冒険者登録とかしたこと無いんだけど?
あれだよな?美人の受付嬢・・・いねぇな。基本おっちゃんとおばちゃん。
まぁいいや『新規受付』ってとこ行けば大丈夫だろう。
「あー、すみません、探索者に登録?したいんですけど」
「はい、新規の方ですね。それではこちらにお名前年齢ご住所、特技、スキルなどご記入お願いします」
「我も登録するのだ」
「・・・もうしわけございません、12歳以下の方はご登録出来ないんですよ?」
「我、こうみえて3000年は生きとるぞ?」
うん、話がややこしくなるから黙ろうな?てかそんなに生きてるんだ?ふむ、昔の記憶は殆どないのか。
名前と年齢はいいとして住所、俺の現住所はどこになるんだ?あ、村の名前とかでいいんだ?とりあえず『北都プリメル』でいいか。特技、特技・・・『何でも出来るよ!』はさすがにおかしい人だしな。適当に両手剣って書いとけばいいか。あ、両手剣持ってないや。むしろ腰に小剣差してるだけだもんな。『格闘術、小剣術』これなら見た目それっぽいしいいだろ。スキルも格闘スキルでいいかな?
「出来ましたー」
「はい、お預かりしますね。へぇ、格闘スキル持ちなんてすごいですね!ではご登録させていただきますね」
それほどでもないです!(そもそも書いてみただけで格闘スキルなんて持ってないし)
さて、登録も終わったので次は掲示板みたいなのに張り出せれてる仕事(クエスト)を受ければいい・・・まず掲示板みたいなのが存在しないじゃん・・・。
「えっと、ここではお仕事はどうやって受ければいいんですかね?あと近場の迷宮なんかは現地に行けば入れます?」
「仕事の受注はあちらの『お仕事』カウンターでお受け頂けます。迷宮に関しましては各迷宮毎に条件は変わりますが・・・最低三名以上の人数で組(パーティ)を作ってからでないと入れません」
おおう・・・またもや詰んだ。今来たばかりの街にそんな知り合いなんているわけないじゃん・・・。ん?北都と王都には居るのか?居ませんがなにか?(半ギレ)
ま、まぁほら?お仕事カウンターで何かいい仕事があるかもしれないじゃん?ピンポイントに『魔水晶の納品依頼』とかさ。
「ねぇねぇ」
でも火属性の5センチ大ので金貨10枚以上ってCさんが言ってたし属性無しの魔水晶、それも目立たないようにあんまり大きなのは出せないならそんなに稼げないかもしれないなぁ。チッ、やっぱり竜の素材、知らん顔で回収して来るべきだったか?
「ねぇってば!」
「おおう、いきなり引っ張るんじゃないよミヅ・・・誰?」
なんか左腕を引っ張られたから蛇だと思って振り返ったら全く知らない人だったでござる。
ふむ、無造作に切りそろえられクリっとした栗色の髪に日に焼けた童顔、体は・・・うん、孤児院に居た頃を思い出しそうになるくらいに貧素な
「男の子?女の子?」
「どう見ても女の子でしょうがっ!!」
どうやら女の子らしい。
「で、何かご用?」
「むー・・・いきなり失礼な子・・・でも新人の子なんてそうそう居ないしなぁ・・・」
ん?新人さん探してるのかこの子。あ、知ってるぞ!あれだ、まだ何も知らない新人をダンジョンに連れ込んで
「荷物とか装備品とか剥ぎ取って殺す気だな!?」
「そんなことしないわよ!?て言うか変なこと言うの止めてよね!!むっちゃ見られてるじゃん!!」
「えー・・・だって新人だけ探してる胡散臭い美人局みたいな人にいきなり声かけられたら普通そう思うじゃん?美人局って言うほど美人じゃないけど。サービスして55点くらい?」
「とことん失礼な子ね!?組合の中で声かける人間なんてどう考えてもパーティメンバー探してるしか無いでしょうが!!」
・・・そういうもんなの?そんな常識まったく知らないんだけど・・・。
うん、まぁ少しだけ興味はナキニシモアラズ。だってほら、ギルドで即興パーティ組んでの冒険とか王道路線じゃん?
その後は大体そのパーティじゃレベルの足りない魔物の相手とかしてメンバーの半分くらい死んじゃうパターン。
なにそれ全然参加したくねぇ。
「で、何かご用?」
「もう全部用件言ったわよね!?」
「おう、まぁ少し落ち着け、コーラ飲むか?」
「・・・あんた今それどこから出したのよ?て言うかそんな禍々しい色した中で泡がブクブクしてる飲み物なんて飲むわけ無いでしょうが!!」
「そう?旨いんだけどなぁ」
ちなみに相手に対して少々突き放した様な話し方なのはこの(自称)女の子やこの子の連れだと思われる少し離れた場所に立つローブ姿の不審者を警戒してる訳ではなく俺が人見知りかつパーティに誘われた時どんな反応を返すのが正解なのか分からないためである。
初対面の人とかマジニガテ。
「いや、いきなり声をかけて済まなかったな。私達もまだ登録して日が浅くてな。それに迷宮に入るには最低三人必要とも知らなかったもので少々困っていたものでね」
ローブの不審者がこちらに歩いてきたかと思うとフードを下ろしてそう話す。金髪碧眼のエルフっぽい美女・・・97点。同じ金髪でもフィオーラ嬢とは随分雰囲気が違うな。
てか何この子、三大美女に勝るとも劣らない美人さんなんだけど?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます