王都公爵邸編 その28 駆け抜けてゆく私のアンチマテリアルライフル
てことで装備品の作成のために自室に戻った俺。
装備っていっても武器だけで今回は防具は防なんだけどさ。
どうせドラゴンに『息吹(ブレス)』吐かれたり噛み付かれたりしたら鉄製の鎧程度じゃ何の役にも立たないもん。
そもそも竜相手に殴り合いするつもりなんて今の能力値じゃ無理だからね?
先制で遠距離攻撃して仕留められない様なら勝ち目なんて無いのだ。そして逃げる際には重い鎧は邪魔でしかないし。
まぁ作るものは決まっている。
そう『銃口から前に向かってイッパイ魔法陣が展開される対物(アンチマテリアル)ライフル』である!
アレって男の子の憧れだよな!!たぶん『男子中学生の口に出したい単語第2位』くらいいは入ると思うもんアンチマテリアルライフル。
第1位はもちろん『墾田永年私財法(こんでんえいねんしざいほう)』だ。
個人的には『薔薇十字団』 とか『薔薇戦争』もオススメである。
もちろん薔薇と言っても男同士の愛とは何の関係もない(はず)なのでご腐人は回れ右を・・・。
さて、対人兵器としてなら性能気にせず見た目だけ派手な演出がシュバババっと出るだけでオッケーなのだが相手は『竜』である。
それも『住処』なんてものを持ってる上に、名前に『黒』と言うハッキリとした属性が付いている。
つまりただの鉄の筒から魔法を撃つだけでは倒せるはずがないので日本人のお家芸である『魔改造』が必要になってくる。
まずは本体のでっかいライフル・・・と言いたいところだけど銃弾から始めることに。
だって弾のサイズが決まらないと砲身の作り様がないんだもん。
弾・・・弾・・・。
普通に考えれば銃の弾丸は鉛玉。
でも手持ちに鉛など有るはずもなく、この前いっぱいお買い物したのでお金も無いからそこらへんに有るものでどうにかしたい俺。
で、考え抜いて候補に上がったのが。
「我が敵の要塞を穿て!メテオストライクっ!!」
そうだね、ハリス君と言えば土だよね!
ちなみに御大層(てきとう)な名前(えいしょう)だが正体は頭上に掲げた両掌のさらに上、3メートルほど浮かんだ所でくるくると回る直径5メートルくらいのただの岩塊だ。
まぁただの丸い岩の塊って言っても重さで言うと250~300トンくらいはあるのでそれなりの速度でぶつければ城壁くらいならいともたやすく木っ端微塵に出来る。
もちろんこのサイズの岩塊が銃の弾になるはずがなく・・・。
てか大砲の弾にすらならないんだよね。戦艦大和の主砲ですら46センチくらい?さらにその10倍の大きさだからさ。
そもそもサイズに合う砲が有った所で撃ち出す時に発射される確率よりも砲身内で詰まって自爆する確率の方が高そうだし。
重さ的にも使用する火薬量が膨大になるだろうからとても砲身が耐えられると思えない。
なのでここで一工夫。そう『魔法陣』の『多重起動』である。
圧縮は・・・闇魔法と風魔法と水魔法が必要・・・うん、全部あるから大丈夫だな、取っちゃえ。
圧縮スキル、大丈夫だよね?いきなり弾けて大惨事とかならないよね?
「圧縮魔法魔法陣、多重起動10枚展開、頭上に有る岩塊の圧縮」
見上げると『CT(医療器具のほら、体内を輪切りにして見るやつ)の機械』をゆっくりと通すような速度で10枚展開された魔法陣が岩の塊の上を順番に通過していく。
・・・うん、圧縮されてもまだ1メートルくらいの大きさがあるな・・・。
同じ工程を更に5回繰り返すことでその大きさがおよそ2センチくらいまで小さくなる。
ん?最初から魔法陣50枚出せばいいのに?いやランク5だと最高で10枚しか出せないんだもん。
たまに弾の周囲からうっすらと時空が歪んでいるようなエフェクトが出ているけど気にしてはいけない。
ちなみにこの弾、今は重力操作(闇魔法)で浮かせてるからいいようなモノだけれどスキルで無理やり圧縮してこの大きさにしただけなので手で持とうとすれば当然元の大きさの岩の重さがあり・・・物凄く重い。ちょっと感想がアホの子っぽいな。
もし重力操作が切れれば掌に載せた瞬間間違いなく前のめりに地面に叩きつけられ、そのあとで掌の肉を貫通して地面に沈みこんで行く様な危険物なのである。
ちなみに鑑定すると「超硬物質(土)」とか言う聞いたこともないよく分からない物体になっていた。何だそれ・・・。
まぁ硬そうな名前なので取り敢えず時空庫に放り込み
「設計、土の超硬物質の弾頭、直径15ミリメートル」
設計スキルで加工する。
よし、弾はこれでいいかな?一応予備にもう10発ほど作っておくか。
弾頭が出来れば次はいよいよライフル!・・・ではなく弾頭を飛ばすために薬莢を作らなければならない。
しかし普通に考えればこんなクソ重量物が小さな薬莢に装填出来る量の火薬の爆発では微動だにするはずもなく。
とりあえず銃身に『銃身内を無重力にする』細工が必要な事が確定。
大丈夫、基本ちょっと豪華な火縄銃程度の鉄砲だから。
あ、ちなみに薬莢は『薬莢型の火と風の混合魔水晶』を作ってみた。
火と風の合成で爆発魔法にして火薬を使うよりは強力な力で撃ち出してやれ!と言う。うん、撃ち終わった後の魔水晶片の掃除が大変そうだな。
いや、大変そうどころじゃなく恐らくガラス片が溶けて内側にこびりつくだろうから一回で銃身の交換をしないといけないある意味メンテナンスフリーになるだろう。
メンテナンスフリー、俗に言う使い捨てだな。
さて、弾丸が出来ればいよいよ本体のライフルである!
まぁぶっちゃけると先に作った弾を『前に押し出して加速の魔法陣まで届ける』事が出来ればいいだけの代物なのであるが。そこはほら、男のロマンとかいろいろあるから見栄え良くしなしとさ。もしかしたらバン○イさんとかタ○ラト○ーさんからおもちゃで発売されるかも知れないし?絶対に無いな。
現状で一番有りそうなメーカーさんのタイアップがT○T○さんとかIN○Xさんという現実・・・大○製紙さんもあるかもしれないか。
まぁそれは置いておくとして、銃身に必要な機能だけれど
・砲身内の無重力化(闇魔法)
・砲身の強化(光魔法)
・見た目のカッコ良さ!
以上三点に絞られる。
ちなみに『重量と質量がどうこう』などと言ってはいけない。そう、発射されるのは『超硬物質(土)』とか言う不思議物質なのだから!
不思議!物質!なのだからっ!!
大切なことなので2回言いました。
あ、スコープも・・・いらないか、俺以外が使うことはないし(そもそも弾が他に人には扱えないので。重量200トン超えの弾丸を銃にセットとか魔法が使えなければ絶対に無理だもん)、射撃スキルとか狙撃スキルとか・・・弓スキルと狙撃スキルがあるな。狙撃でいいよね、たぶん。
ちなみにライフルの素材(鋼)は公爵家の衛士の方たちが稽古に使って折れたり曲ったりのボロボロになったガラクタと時空庫の中で余剰生産在庫のある回復ポーションを交換でわけてもらった。
飲む方のポーションはすっきりとした甘さの『爽やかミント味』でおいしいよ!
「ふぅ・・・何とかかんとか予備の砲身も含めて3丁完成!」
「そう、それは良かったわね?」
「おおう・・・いえ、お待たせしたようで申し訳ありません?」
「別にいいのですよ?そもそも庭で大きな岩遊びをしている時から見ていましたので」
遊んでたわけじゃないんだけどなぁ・・・。
うん、フィオーラ嬢、何をしてるのかと呼び出しをくらったけどちょっと時間的に余裕が無かった(なんか作り始めると楽しくなっちゃった)ので出向けなかったらいつの間にか来ちゃったんだ。
「それで、そこそこ屋敷内が大騒ぎになっていたのですがあれ(岩遊び)は何をしていたのかしら?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます