北都・公爵館 その14 石鹸作りって基本だよね?
歯ブラシ、タオルは用意した。しかしこれ以上の快適入浴ライフのためにはさらなる追求が必要なのだ。
そう、それはもちろん石鹸とシャンプー、リンスも有ればなおよし!
てなわけで翌日、朝から礼儀作法のお勉強をじーちゃん(ジョシュア爺ちゃん)とこなした後は石鹸の作成である。
『お前石鹸の材料なんて知ってるのか?』って?学校で習ったのは苛性ソーダとか使うから正直よくわからない。
いや、重曹で代用できるらしいけどこの世界、スーパーマーケットとか無いから売ってないし・・・。
でも俺にはディス○バリーチャンネルの知識がある!あれ?ヒス○リーチャンネルだったかも?なんか女の人が獣脂と灰で石鹸作ってるの見たんだよね。
そして今の俺には設計スキルと錬金術スキルがある!そう、分量などの試行錯誤要らずで材料さえ集めて時空庫にステンバイしておけばスキルの行使で最良の完成品を入手出来るのだ!!
でも既製品でもお肌に合う合わないとかあるらしいし。アレルゲンを含んだ石鹸で大問題を起こした業者もいたようないなかったような。
それに石鹸で髪の毛洗ったらギッシギシになるよね。
・・・
・・・
・・・
あ!あれだ、もしも肌とか髪の毛(キューティクル)が傷ついても治療しちゃえば良いんじゃね?
石鹸はそのままでも行けそうな気がするけどシャンプー(と言う名の固めてないだけの液体石鹸)にはとりあえず回復の水薬(ポーション)混ぜちゃえばよくね?
そこそこアホの子の発想である。
でもそんなに的は外してない気はするんだ。よしポーション作成。錬金術だけじゃダメかも知れないな・・・追加で薬師かな?
てか最近無制限にスキル取って行っちゃってるから予備経験値が4割近く減ってるんだよなぁ。でもお風呂とトイレの為だから仕方ないね?
後は材料だけど、流石にその辺にあるモノだけでは揃わない。植物油とかも厨(くりや、台所ね)の備品だから勝手に使ったら料理のおば・・・お姉さんに叱られちゃう。
どうするか・・・と思ってたらお嬢様に呼び出され「今日もお風呂にお湯を入れてもらっていいかしら?」と頼まれる。
乗るしかない!このビックウエーブに!風呂だけにな!いや、波のプールはあるけど波の風呂は無いな。ジェットバス?違うか。
そんな事よりも風呂のお湯入れるの早くない?まだ正午過ぎてそんなに経ってないんだけど・・・。まぁいいや。
「てことでお願いします!」
「どういう事よ・・・」
お風呂にお湯をはった後フィオーラ嬢のお部屋で色んな材料の購入をお願いする。
困惑しながらも話を聞いてくれる公爵令嬢、さすが聖女様である。
「・・・あなた、この品物を使って何をするつもりなのかしら?」
「黒魔術の儀式でも始める気なのか?」
そうだね、色々と胡散臭いよね?てか黒魔術っぽい材料(個人的にはヤモリの目玉とかイモリの黒焼きとかマンドラゴラとか家畜の頭(生)は必須)は含まれてないだろ。
でも今回に限ってこちらには切り札があるのだ!
「肌とか髪が綺麗になるかもし」
「メルティス!直ぐに御用商人を呼び出しなさい!遅れるようなら利権を剥奪してもいいわ!」
「はっ!直ちに」
むっちゃ食い気味に来られてちょっと引いちゃうんだけど。それ以上の美貌を求めるとか貪欲すぎじゃないですかね?
出入りの商人さん、何かすみません・・・。
石鹸だけは材料が簡単なので当日に完成。
要するに油と灰(灰汁)だから、香り付け用の花やハーブ類は庭にいくらでもある・・・いや、まだそんなに咲いてないわ。小さいお花さん、摘んじゃってごめんね?
うむ、臭くないちゃんと良い匂いのする石鹸だ。かすかにだけどフローラルな香り!
そしてシャンプーも二日後に完成。液体状の石鹸に固形石鹸とは違う香料と回復の水薬(ポーション)を混ぜたモノだな。
オマケでリンスもついでに。
リンスのスは酢のスだからな(嘘です)。まぁ設計で作成できたから材料的にも大丈夫だろう。もちろんこっちもポーションが混ざっている。万全の回復力なのだ!
今までに時空庫に溜まってた草花(名前は知らない。だって調べてないもの)も微妙に減ってるから洗浄か回復の何かしらの有効成分が含まれていたのかも知れない。
石鹸以外(いや、スキル使ってるから石鹸もだけどさ)は完全に力技であるが、使い勝手はとても良いので問題はない。
・・・大体シャンプーとかリンスの内容物なんか元男子高校生が覚えてるわけ無いだろうが。あ、リンスに酢を使うのだけは知ってた!
まぁ成分を知ってたとしても化学薬品っぽいモノなんだからどうしようもないんだけどね。
ポーションの入れ物は割れたガラス片を使ってクリスタルカットのよくゲームで見るような形にしてみた。
てか飲んでよし、塗ってよし、混ぜてよしと万能すぎるなポーション。
おそらく他の物に混入されてるのは俺だけだと思うけど・・・高いからね?ポーション。全国のまともな薬師さんにこの場を借りて謝罪しておこう。
あ、寮のお風呂もメイド(人力)さんと魔道具(お金)を使わない(魔法でお湯をはる)なら毎日入ってもいいと許可をいただけました。
石鹸もシャンプーもリンスもサンプリングが必要なので知ってる三人のメイドさん(AさんとCさんと不本意ながらあの人)に使ってほしいとお願いしたら翌日に他のメイドさんに囲まれて自分たちにも使わせろ、控訴も辞さないと詰め寄られて怖かった・・・。
いや、いいんだけどさ。
でも、言い方悪いけどまだ人体実験段階なんだよ?無論変なモノは全く入ってないし俺自身も使ってるから安全だとは思うけどけど。
いえ、さすがにお嬢様とメルちゃんはしばらくは無理ですから!だから女子寮から勝手に持って行こうとしちゃ駄目だってば!
・・・もちろん持っていかれましたが何か?
公爵家のお屋敷にお世話になるようになって早ひと月。予定ではそこそこ暇なスケジュールが組まれてるはずなのに思ったより忙しい。
・午前中に礼儀作法のお勉強 ←分かる、と言うか現状でメインのお仕事はコレだな。ちなみに先生は家令のジョシュアじーちゃん。
・メイド寮のお風呂のお湯張り←分かる。お湯、入れないと毎日入浴出来なくなっちゃうからな!最優先事項である。
・お嬢様のお風呂のお湯張り ←分かる。・・・うん、まぁ、魔道具使うの面倒くさそうだし時間もお金(属性魔水晶代)もかかるし。
・メルちゃんとの毎日の稽古 ←分か・・・る?俺って側仕えらしいし一応は護衛としてのスキルも必要なのかな?でも1日に2~3時間とか長くない?
・ヌイグルミの作成 ←微妙・・・。いや、別にスキルで作るから時間の掛かるもんじゃないんだけどさ。精霊子グマのヌイグルミ以外にも色々作らされてるし。
フィオーラ嬢、ヌイグルミを渡すと年齢相応の女の子のとてもいい笑顔でものすごく喜んでくれるしこっちもホンワカするからいいんだけどね?
お嬢様の部屋の掃除担当のメイドさんとかがさ、物凄く期待した目で俺のこと見てくるんだよね・・・。
材料費でメイドさんのひと月分のお給料くらい飛んじゃうから無理だからね?
いや、どうせ布の成形からやり直すんだからボロ布使えばそんなに掛からないのか?お嬢様のは全部新品で材料が用意されてるから高額になっちゃってるけど。
ちなみにメルちゃんとの稽古では『剣術』『動体視力』『体捌き』『直感』なんかのスキル経験値が結構な速度で上がるので時間が短い割には経験値効率がすごくいい。
メルちゃんの剣術ランクが高い(まぁ高いと言ってもランク2なんだけど)ので獲得経験値がかさ増しされるみたいなのだ。
ちなみに盾を持ってみたら『盾』のスキル経験値が上がるけど、その分剣術スキルの伸びが悪くなるのであまり意味はなかった。
で、このひと月間の暇な時間(てか厳格な意味での勤務時間って決まってないから何もしてない時は自由時間なのだ)にああだこうだといじくり回して、とうとう
「苦節ひと月、とうとう洋式水洗便器の完成であります!!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます