第2話 マーレの森の出逢い
◆とあるギルドにて
「はぁ~めんどくさいなぁ」
ギルドの受付けの前で、盛大な溜息を吐いている美しい銀髪の女性の名はエリスと言う。エリスがギルドの受付嬢と話しを丁度終えた時だった。周りの男冒険者達がガヤガヤとうるさくエリスを見つめているのだ。
「麗しのレディ~私と一緒にディナーは如何でしょうか? 僕の行きつけのお店があるのですがっ!(キメ顔)」
「結構ですっ! 生理的に無理ですし、気持ち悪いので私の視界から3秒以内に消えてください!」
毎日のようにエリスをナンパしてくるこの男は、Bランク上位冒険者【紅の薔薇】という異名を持つ、金髪オールバックに奇行種......おっと失礼貴公子みたいな格好に、薔薇を常に持っているグレス・アランドールというキザな男だった。
「おぉ~それは愛情の裏返しというやつですね! おっと、麗しの女神よ何処に行かれるというのです? マイハニー!」
エリスは男の言葉を無視した。そして逃げるようにしてギルドを後にする。
(男というのはあんなのばかりなのかしら、本当に嫌になるわね)
エリスは20歳で「深淵の氷剣姫」と異名を持つ、Aランクの上級冒険者だ。銀髪で腰まである艶のある髪、整った顔の上にスタイル抜群で、騎士みたいに凛々しい雰囲気を醸し出している。胸はメロンよりも大きな巨乳で、男からしたらむちゃくちゃにしたい程の悩ましい身体をした白銀の美少女だ。
(ギルドはむさ苦しい男ばかりで華がない......私は癒しが欲しいよぉ......はぁ......)
エリスは気分を入れ替えてマーレの森へと日課の剣の修行へと向かうのであった。
―――――――――
(はぁはぁ......今日はここまでかしらね)
エリスは森の泉近くで修行をしていた。剣の素振りに魔法のトレーニング、瞑想、新しい技の開発にも精を出し鍛錬に励んでいる。
「私はもっと強くなるのよ......強く......理不尽にも負けない強さを!」
エリスが過去の記憶を思い返してた丁度その時、遠くで何やら悲鳴?のような声が聞こえて来た。
「ん? 何かしら?」
遠目でぼんやりとしか見えませんでしたが、金髪の幼い少女がゴブリンに追いかけられているのを発見しました。
「なっ!? た、大変! 早く助けなくちゃ!」
それと巨大なカマキリの魔物が少女に密かに近づいてるのが分かった。幼い少女は一心不乱に逃げていて気づいてないのだろう。
(あれは!? 鎌型の魔物、ソードマンティス?! 危険指定ランクC級が何故ここに!?)
エリスは少女を助けるべく己にブースト魔法を掛け距離を詰める。
「汝よ我に力を与えたまえ 「
エリスは自分の足に付与魔法を掛けスピードをあげて全力で疾走する。ソードマンティスの鎌が、少女に振り下ろされるその瞬間......間に割って入り秘技を解き放った。
【⠀
冷気を纏った刃の鋭い刺突がソードマンティスの鎌に直撃した。
「キシャアアア!?」
(間に合った!!)
喜ぶのは束の間である。魔物は次なる攻撃の一手を放つべく体制を整え始めた。
(やらせないわよ!)
エリスは着地すると同時に渾身の技を叩き込む。
【 雪華流 参ノ型
無数の冷気を纏った斬撃に、ソードマンティスは為す術なく切り刻まれるのであった。エリスの圧勝である。最早そこにあるのは、ソードマンティスのただの死骸のみであった。
「ねぇ! 貴方大丈夫!?」
私は少女の安否を確かめる為に急いで近くに駆け寄りました。
「!?」
そして、私はかつてないというほどの衝撃を受けた。それはこの世の物とは思えない程に美しく輝く金色の髪、そしてパチパチとした目、ぷりっとした唇、小柄な体型、そして何より突出して驚くべき点は、耳が長いこと!
「か、か......かぁっ!? 可愛いいいいいぃぃ♡♡♡」
はい、もうめっちゃ天使です! なでなでしたいです!いや、いっそ抱かせて!! はぅ......♡ 尊いの固まりです! 私は今、天に召されて天国に居るのかもしれません。
「ヒィッ......!?」
少女はこちらを見たまま、私が怖いのかプルプルと震えているのが分かります。私は安心だよ......大丈夫だと言って落ち着かせないと行けませんね。
(ふむふむ......エルフ?? なのでしょうか......見るのは初めてなので驚きましたが......綺麗な青色の瞳だ)
この世界ではエルフは希少な種族です。エルフは人里には降りずに精霊の里に住まうとされています。他種族には厳しいが、同族には優しい......更にエルフは精霊と共に寄り添う存在でもあり、魔法を扱うのが上手く、魔力量も桁違いだと文献には記されていたはず。
(だけど......何故マーレの森にエルフが?)
エリスが考え事をしてる最中に、少女は突然ぐずり出し大声で泣いた。
「ふぅえええぇぇん!!」
ふと、少女の足元を見たら小さな水溜まりのようなものが出来ていました。恐怖のあまりにお漏らしてしまったのかもしれません。
「あらあら......うふふっ」
エリスは優しげな表情で、少女をそっと優しく抱きしめるのであった。
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