第57話 聖樹さんのお話です。

おはようございます。

人って……一度ブチ切れると、敬うとか関係なしに敬語を使われますよね……空気が微妙……。

また一歩、大人になった僕は元王子のユーラです。


旅生活40日目

桜花さんとエルフ達が和解ができ……でき?

うん……できたはず……。


その後、僕たちは無事にエルフの集落へ案内されました。


前世の記憶の中のラノベでもそうですが……本当にエルフは人が嫌いなんですね………。

皆さん、めっちゃ冷たい目で見てくる。

けど、子供達は……初めて見る人間に興味津々。


とりあえず手を振って愛想を振りまく。


人間ですよ〜。 パパ、ママ、大人達が忌み嫌う人間ですよ〜。

おぉ………大人エルフ達の氷点下以下の視線をいただきました。


それを見た桜花さん……微妙にプリプリと怒り出す。

また帰ると言われると大変なので、頭を撫でて宥めておきます。


あれから桜花さん……僕から離れません。

腰に抱きついたままでした……流石に歩きづらいので、今は抱っこです……。

僕の首にしがみついて……顔を埋めています。


家族って言ってくれたけど……絶対桜花さんって妹だよね〜。

たまにお姉さん……お母さんぶるけど。

でも、可愛いからいいか。


とりあえず、めっちゃ立派な家に案内されました。

……ルーディアの実家だそうです。

巫女の家? 聖樹様と唯一対話できる家系だそうです。


正式はお話は明日から。

身体を休めてくださいと、食事とお風呂をいただきました。


相変わらず離れない桜花さん。

エルフの文化では、家の中では床に敷いた布の上に直に座る。

食事の時はは僕の膝の上だった……それはまぁいいのだが……。

お風呂にまでついてこようとした……流石にこれには困った……。

なんとか、説得できたから良かったけど……


こうして僕と桜花さんは、久しぶりにいい寝床で睡眠をとることができたのだった。


▼▼▼


そして次の日。


この村の村長、顔役、巫女長、ルーディアとの話し合い。


みんなで輪になって座るが……桜花さんはやっぱり僕の膝の上。

もう……定位置なのね……いいけど……。


っで、まずは…………ルーディアの許嫁〝サトリュル〟のこと。

正直……どうでも良かったんだけど、桜花さんが気にしてたから最初に話題になった。


当初、村長が〝サトリュル〟をどうするかって話になると……「死刑」しか言わなかった桜花さん。

流石にそれは僕の目覚めが悪い……許してあげてと桜花さんを説得。


その結果、丸坊主とルーディアとの許嫁解消。

随分と軽くなりました。


いいんだけど………エルフの丸坊主……初めて見た。

えっと……見たことある人いる?


いる人! 手を挙げてーーーー!!


なんやかんやで長髪のイメージがあったから新鮮。

ただ、美形ってどんな髪型でも似合うのね……。

これって罰なのかな……? って思ってしまう。


それから、ルーディアとの許嫁解消?

うん。これも意味がわからない。

ルーディア本人が言い出したのだから……罰なのだろうけど……人間様風情にはよくわからない……。


まぁ、その許嫁……元許嫁に興味はないので話を流しておく。


っで、そろそろ本題。

エルフの村の結界に関して……。


桜花さんは既に原因がわかっていたようだ。

桜花さん曰く……聖樹の弱体化と結界樹の伐採が原因だそうだ。

桜花さんの話にエルフさん達が驚く。


前世の記憶とは違い、エルフさん……精霊魔法は使えるけど、精霊とは話ができないそうだ。

唯一会話ができる精霊は聖樹様。

そして会話できるのがルーディアの実家……巫女の一族だけだそうだ。


それでも詳しく話をすることができない。

そこで、意志の伝達ができるように聖樹が桜花さんを呼び出しを希望したんだって。


が………ヘソを曲げている桜花さん。

ただではやりたくないそうです………で、どうすればいいのか?

僕が聖樹をトレント化して、桜花さんのように……人化? 精霊化? させろとのことです。


なんで? って聞くと、エルフ達の僕に対する敬意が足りないそうだ……。

木々と精霊を尊ぶエルフにとって、木の精霊であるトレントを召喚できる僕は神にも等しいと……だから、桜花さん同様にもっと敬われるべきだとか……。


それを……エルフ達に解らせろと……。


桜花さんなりの考えらしい。

まぁ、桜花さんが言うなら間違い無いでしょう。



分かりました! いっちょやりましょう!

こうして、聖樹をトレント化するのが簡単に決まったのだった。


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