望んだ結果
「さあ、始めようか。自分が望む結果を掴むため、時を渡ることを選んだ、愚かなる罪人よ。目覚めたら、そこは君が望んだ過去だ」
管理者の言葉に圭の身体は薄れていった。それに伴い、意識も薄れていく。
「まあ、君の望んでいる状況かはわからないけどね」
――何を言って…ダメだ。意識がもう……
「バイバイ、可哀想な圭ちゃん」
管理人が呼んだ圭の呼び方は、雛しか呼んだことのない呼び方だった。
「待て!おい!どういうことだ!」
叫び、ベッドから飛び上がるも、管理人には届かない。
「くそッ、本当に戻ったのか?」
圭は慌ててスマホを、確認する。スマホが表示している日付は一週間前ではなく、中学を卒業する年、二年前の三月十日に戻っていた。
「戻ってる。明日は雛の引っ越しの日じゃないか。急がないと!」
圭が急いで家を出ると、雛や雛の両親は引越しの準備のため、車に荷物を詰めている。雛が圭の存在に気づき、話しかける。
はずだった…
「あなたは誰?」
確かに話しかけられはした。けれど、その言葉は圭が知っている言葉ではなかった。
「えっ」
「雛、お隣の圭くんでしょ。話したことはあるじゃない」
「あれっ、そうだっけ、ごめんなさい」
雛の母親に圭のことを教えられても、雛は思い出す素振りは無く、家に入っていった。そのときに圭のことを振り向くことはなかった。
管理人の言葉を思い出す。
ーー俺の記憶が無くなった?違う。俺は雛のことをしっかりと覚えている。じゃあ、どうして。記憶がなくなるのは俺じゃなかったのか。
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