エピソード3 「世界の境界線」、またはあの日の「サプライズ」

栞さんの頭のなか

ここのところ、いろいろ理解が追い付かないな、て感じだけれど。


起ったことは、受け止めよう、って、葦原くんとも話したんだよね。それは強く思ってる。


一番大変なのは、浩平くんだしね。


浩平くんの叔父さんは、仕事をしながら小説サイトで作品を書いていて、そこまでは特別なことじゃない。


どうして自分の小説の世界に行ってしまったのかな。


ていうか、〈小説の世界〉ってなに。自分で作ったはずの世界に呼ばれる、ってなに。


今、ランさんに会ったときに思ったんだけど……


あの姿。

応援コメントについてたファンアートに似てる。江戸川太良さんだったかな。絵のサイトにもアカウントあったの見つけた。マンガの投稿もしてるみたい。


これ、叔父さんが〈江戸川さんのランさん〉を〈ランさんの姿〉、って決めたからなのかな? この世界が〈叔父さんの頭の中にある小説の世界〉なんだとしたら、そう考えることもできると思うの。


でもね。


〈江戸川さんのランさん〉で、もうひとつ可能性が考えられるんじゃないかって。


もともと別次元に〈白の地〉は存在していて、叔父さんや江戸川さんは、何らかの呼びかけに呼応して書(描)かされているとか。

たとえば、あの登場人物の少女巫女の力で。


だって、〈白の地〉は助けを求めているんだもの。誰か、〈紫の霧〉をどうにかできそうな誰かに、状況を伝えたいんじゃないのかな?


いや、わかんないよ? わかんないけど……


でも、叔父さんの都合で日曜日に〈白の地〉と家がつながるようになってるんだし、小説もその通り更新されてるから、この可能性はないか。


そういえば〈グレン〉氏の書き込みの件も、わかってないし。


まだまだわからないことばっかりよ。


ええと、浩平くんに店長さんから連絡? 何があったのかしら?

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