新入隊員、メアリー
朝七時、きっかりに私はオフィス前へと到着した! 待ちに待ったバディ! 刑事物で見た展開だ!
「イヴァークさん! ジャスト七時です!」
「歓迎の準備が出来た。中に入っていいぞ」
「ジャジャジャジャーン! と運命は扉を叩く!!」
「やかましい、とっとと入れ」
私は、扉を開けて中を見渡し、呆然とした。オフィスにはイヴァークさんを含め三人、お爺さんが座っている。平均年齢60歳は超えていると思う…多分。
「な、な、イ、イヴァークさん…….」
「サプライズ! 新人さん、お名前は?」
右端の席に座ったカウボーイハットのお爺さんが私に名前を尋ねた。
「メアリー•ガレットと言います! 趣味はサバイバルゲーム、刑事ドラマの鑑賞です!」
「中々良い趣味をお持ちのようじゃ、儂はヘンリー•ウェット、気軽にカウボーイと呼んでくれてもかまわんぞ?」
「ヘイカウボーイ! 左端の方は?」
「彼は赤坂龍一、サムライと呼ばれておる。口下手でのぅ、美人を目の前にすると固まってしまうのじゃ」
「美人だなんて! もっと褒めてください!!」
「そこまでだ。お前のデスクの場所はヘンリーのすぐ横、窓際になる。今日は出勤要請が来るまで自由行動だ。仲間たちと交流を深めてはどうだ?」
「お爺ちゃんの世話は得意です!」
「お前は何でいつも私の想定を悪い方に超えるんだ! いいか、礼儀だ。先輩には礼儀を持って接するんだぞ!」
イヴァークさんと仲良く会話を終えて、私はカウボーイへ再び話しかけた。みんな気のいい方々だ。
「カウボーイ、一緒に射撃練習をしませんか? レーザーガンの扱いに慣れてなくてですね」
「ほう、お嬢ちゃんは勘が良い、儂は昔、スウェーレシティ1のガンマンと呼ばれておった。儂で良ければ、喜んで付き合おう」
「サムライさんはどうですか?」
赤坂さんは首を無言で振り、自分の腰に掛かった得物……刀! を指でトントン、と叩いた。
「サムライは射撃がからっきしじゃが、近接の戦闘力は随一、今度実戦で見学してみるのがいいじゃろう。一見の価値ありじゃ」
そう言うと、ヘンリーさんは室内エレベーターのボタンを押す。来いってことかな? 私はエレベーターへと乗った。
「ここのエレベーターは特別に射撃場直通なんじゃぞ? 覚えておくと徳になる、設備は最大限に活用するんじゃ」
「お得情報、ありがとうございます!」
チーン
エレベーターが開き、射撃場へと到着した。
「では見せるかのう、シティ1の実力を」
ヘンリーさんはそう言い、カウボーイハットを指で回す。その後ろ姿は、輝いて見える程の威厳を背負っていた。
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