お兄ちゃんでは無くて・・・
日和サイドのお話です。
こんにちは、私の名前は「木村日和」といいます。父が日本人、母がアメリカ人のハーフで髪が金髪のため、よく外国人と間違いられますが、ちゃんと半分は日本人です!
私は、ついこの間までアメリカに4年ほど住んでいて、父の仕事の関係で日本に戻って来たいわゆる帰国子女ってやつですね。
そんな私ですが、結構勉強ができます!
それこそ、アメリカではトップレベルの高校にいましたので、日本に戻ってきてから凄く困りました。なにせ、住む家の近くには私に合ったレベルの高校がなくてどうしようかと両親と相談していた所、なんと従兄妹のキョー兄の住んでいる側にあるではございませんか!
キョー兄は私の従兄妹で私より3つ年上の大学生です。
私が子供の頃は、お互いの両親が仕事で忙しく、よく一緒に遊んでくれて、本当のお兄ちゃんのようで、いつしか私はキョー兄と呼んでいました。
キョー兄は凄く優しくて、それに強くてかっこよくて、素敵な人でした。
小さい頃からピアノを習っていて、よく退屈していた私にピアノを聞かせてくれました。それも、自分で作った曲をですよ!
もう、天才ですよね!
私はよく、キョー兄の弾くピアノに合わせて歌を歌っていました。最初は下手くそで、よくキョー兄からダメ出しを受けていましたが、練習していくうちに、上手になっていって、キョー兄は頭を撫でながら褒めてくれました。
私はそれが嬉しくて、のめり込むように歌の練習をしていると小学生の時に賞を取れるぐらいまでになり、それからは歌を歌うのが習慣になっています。
キョー兄が小学校に上がると幼馴染だと言う女の子を紹介されました。
とても可愛い人で女の私でも惚れてしまうようほど綺麗でした。
でも、キョー兄がこの人を紹介した時、私の中で何かが蠢いているのが分かりました。
この正体が何なのか、当時の私は知るよしも無かったけど今は、はっきりと分かります。
そう、この感情は恋であり、嫉妬であると言う事を!
でも、私はその事に気づかずにいましたが、中学に上がる前に父からアメリカに引っ越すと言われた時、真っ先に思った事は、「キョー兄と離れ離れになる」と言う事でした。
その時初めて私は、この感情が恋だと自覚する事が出来ました。
けれど、時すでに遅しで私とキョー兄は離れ離れになってしまいます。
私は別れ際に、キョー兄とひとつ約束をしました。
それは・・・
「今度会った時に、キョー兄が作った曲を私に歌わせてちょうだい!」
「別に構わないよ。日和ならきっと凄い歌を歌ってくれるだろうしね」
「うん、約束だよキョー兄!」
私とキョー兄は指切りをしました。
それからすぐに飛行機でアメリカへと旅立った。
アメリカでの暮らしは日本とは全然違くて、戸惑ったり、泣きそうな時もあったけどキョー兄との思い出や約束のお陰で私は前を向いていけた。
それに、歌のお陰で何人もの友達ができる事ができた!
日に日に、キョー兄への想いが強くなる一方で、私に告白してくる男子たちもいたけど私は断り続けました。
この気持ちは、きっと何年経っても変わる事は無いだろう。
そう思っていたある日、両親から日本へ戻ると言われて私は嬉しかった。
なにせ4年ぶりにキョー兄に会えるのだから!
いざ日本に戻ると、キョー兄はすでにひとり暮らしを始めていて会えなかったので悲しかった。
そんな中、キョー兄のそばに行けるチャンスが巡ってきた!
私はすぐに両親に相談しました。所が両親はあまり気が乗らないのか良い返事をしてくれませんでした。
たしかに、ここを離れると言う事はひとり暮らしをしなければいけない上、私はお世辞にも料理や、洗濯、掃除が得意では無いので両親も心配なんでしょう!
それならと両親に、キョー兄の所に住めば良いんじゃないと提案した所、両親の顔がみるみる強張っていくのが分かりました。
私は両親に理由を聞くと、キョー兄について、信じられない事を教えてくれました。私はその話を聞いて、いろんな感情が湧き上がって来ましたが、どうにか抑えつけました。
両親からは、キョー兄の所に住むのは反対され続けましたが、それでもキョー兄に会いたいと思う気持ちは変わらず、どうにかできないかと何度も両親にお願いすると、叔父さんに相談してくれました。
結果、見事にキョー兄の所に行ける事が出来たのです!
流石にこの時は、嬉しすぎてジタバタしたほどでした。
それから私は編入の手続きや、引っ越しの準備を済ませていざ、キョー兄のマンションへと向かいました。
残念ながら、キョー兄が留守でしたので私はドアの前で座って待っていました。
しばらくして誰かが近づいてくる足音が聞こえてきて、そちらを見るとそこには久しぶりのキョー兄がいました。
私は思わず抱きついてしまいましたが、しょうがないですよね、なんせ4年も会えなかったんですから!
それから私はキョー兄とお話をして一緒にご飯を食べました。
翌日
私の初登校の日という事でキョー兄も一緒に着いてきてくれるそうです!
スーツを着たキョー兄は凄く大人びていて、まるで私を守るSPのようでした!
キョー兄と一緒に登校している間は、とても幸せでこの時間がずっと続いてほしいと思うほどでした。
やがて、私が通う音羽大学附属高校に到着し、事務所へと向かいました。
そこでは、受付の女性がキョー兄に対して、見惚れていたので私はずっと不機嫌でしたが、その反面キョー兄の良さを分かってもらえる事に嬉しさもありました。
キョー兄と別れてから、私はクラスへと向かいました。
クラスに入ると皆さんの視線が集まり、とりわけ男子達からは不快な視線も感じ取れましたが、これはいつものことなので特に気にもしませんでした。
自己紹介が終わり、自分の席に着くとクラスで1番可愛い、緑川さんが声をかけてきました。
「初めまして私は緑川芽依、宜しくね木村さん」
「よろしくお願いしますね緑川さん」
「ねぇ、どうせなら名前で呼び合わない?」
「えっ!良いんですか?」
「もちろんよ、それによかったら私たちお友達にならない?」
「ぜひお願いします。えーと、芽依ちゃん」
「ええ、こちらこそ日和ちゃん」
こうして私は緑川芽依ちゃんお友達になりました。
芽依ちゃんはとても優しくて、クラスどころか、学校中からも人気でなんでも音羽4美姫の1人だそうです!
そんな芽依ちゃんもどうやら最近、生徒会長の道場に通い始めたらしく、そこで知り合った人が凄くかっこよくて憧れていると教えてくれました。
でもまぁ、いくらかっこよくてもキョー兄には勝てませんよ!
しばらく経つと、やはりと言うべきなのか、予想通りと言うべきなのか、下駄箱にラブレターが入っていました。
今時ラブレターとはまた古風な人もいるものですね。
指定された場所へ行くとそこにはクラスで1番かっこいいと評判の男子がいました。
私は彼に話しかけると彼は手を前に出して
「あの!俺と付き合って欲しい」
と言ってきました。
彼には申し訳無いですが、私の返答は決まっています。
「ごめんなさい。好きな人がいるので貴方とは付き合えません」
ときっぱりと振りました。
これで、もう誰も告白なんてしてこないでしょうと思っていると、その後も何人にも、告白をされましたが全て断っています!
私がキョー兄以外の人と付き合うなんて
絶対にあり得ないのですから!
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読者のみなさんもお気づきだと思いますが、日和は京の事が大好きです。
そして、日和はその事を全然隠そうとしない為、両親を始め日和の知り合いはみんな気づいていますが、唯一日和が一番気づいて欲しい京だけが日和の気持ちに気づかないでいるとは、なんともやるせないですね!
さて、次回ですが、今度は東子の後輩であり、日和の友達の緑川芽依の回想編となりますのでどうぞお楽しみに〜
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