宣戦布告



木村君と別れて、私たちは近くの駐車場に止めてある車へと向かっていた。


途中、遠藤さんや烏丸さんに新庄さんなんかが挨拶にきて色々と世間話をした。


相変わらず遠藤さんと烏丸さんは仲が良いみたいで今日は烏丸さんの車できたそうだ。


東子は新庄さんと盛り上がりながら話している。こっちも相変わらず仲がよろしいようで


車に到着して荷物をトランクに乗せると私と東子が後部座席に座り母が運転、父が助手席に乗り込む。


「それじゃあ出発しまーす」


と何故かテンションの高い母が車を走らせる


私は大会の疲れがどっときたようでうとうとしながら窓の外を眺めている。


私の眠気がピークに達した時に服の袖を引っ張る感覚がした。


隣を見ると東子が私の袖を引っ張っている。


この仕草をするときの東子は私に質問があるときの仕草だと気づいた私は東子に話しかける。


「どうしたの東子?」


「・・・ねぇ南姉さん、聞きたいことがあるんだけど?」


「何?」


東子は真っ直ぐこちらを見てから


「南姉さんってキム兄の事・・好きなの?」


と言った。


この目はマジの眼だ。


私は東子の顔を見て逆に質問する。


「なんでそんな事を聞くの?」


私が質問を返すと東子は唇を噛み真剣な顔で


「私もキム兄の事が好きだから!だから南姉さんもキム兄の事が好きなのかどうなのかの確認」


あまり驚きはしなかった。自分でも薄々気づいていたからだと思う。

私は冷静な口調で


「・・・好きだよ。私は木村君の事が好き。大好き!私は木村君の事を世界で1番愛してるって自信を持って言える」


「そう、やっぱりか。そうだと思ったんだよねー」


「ねぇ、東子はどうして木村君の事が好きなの?東子なら学校とかでも良い人はいるんじゃない?」


「はぁ?別に年上だとか同い年だとかで好きな人を決めてるわけじゃないよ南姉さん。私は、私を救ってくれたキム兄の事が好きなの!それこそ南姉さんに負けないくらい」


「それって去年の?」


「そうだよ、あの時から私はキム兄にゾッコンだよ。でもキム兄の方は鈍感なのか気づいているのか知らないけど全然靡かないんだよなー」


「それで東子は、結局何が言いたいの?」


「ふふん、そんなの決まってるじゃん!


  ・・・・宣戦布告だよ南姉さん!」


「ふーん、東子が私に勝てると思ってるの?一年かけても靡かないのに?」


「へぇー言ってくれるじゃん!言っとくけど南姉さんだって大学じゃあ全然話さないんでしょ。それって避けられてるんじゃない?」


「うぐっ!人が気にしている事を、でもまだ私には今度2人っきりでデートの約束があるしー」


「あっそれね、私もついて行くから!」


「は??何を言ってるの東子?」


「だから、私も一緒に行くって言ったの!」


「なんで貴女もついて行くのよ!」


「そりゃあ2人だけなんてキム兄が危ないし、南姉さんに差をつけられたくないしさ」


「いやそこは私が危ないんじゃないの?」


「日本一が何を言ってんの?」


「くっ!それなら高校がある日にするし」


「そうだった!日程も、もう決めてるんだよねー!えーと来週の木曜日」


「は?その日は確かに大学は休みだけど貴女は学校でしょ?」


「ふふーん、その日は創立記念日で休みなのだよ」


「はぁ、どうやったってついてくるのね?」


「まぁね!」


「オッケーわかったわ!でも私は木村君を譲るつもりないから!あくまで私がメインだよ」


「それで良いよ!私は実力で手に入れるタイプだから」


「「ふふふ」」


私たちは握手を交わし、眠りについた。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


これにて第三章の終了です。

ついにお互いの気持ちを伝え合った姉妹はこれからどう行動するのか!そして、京の隠された過去とは!第四章に乞うご期待!!


と、その前に第四章に入る前に、間章として、京の実家を訪問した龍一の話と、木村家の面々の話、そして京との出会いを含めた龍一の過去話を投稿しますのでどうぞお楽しみに〜

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