しわあせ

「でもね、心配しないでほしい。僕も、暴力とかは、よくないと思うんだけど、死にたく無いから仕方なくなんだ。」


「僕はさ、ヒロくんが傷付かなくてもいいと思ってる。」


「そっか、でもいいんだよ。」


「何がいいの?友達が傷ついてるのに、その為に何も出来ないなんて、困るよ。」


「ずっと心の中で思っていた。」


「それを思うよりかはいいんだ。」


「分からない、ちゃんと話して。」


「僕も分からないけど、この世界を壊してしまいたくなる。」


「力があって、知識がある前の僕は、それを常に思っていた。世界が汚れてるからとか、僕が幸せだからとか、どうかはわからないけど、何なのか。」


「何、言ってるの?」


「僕は全能なんかじゃ無いだろ。でも行き過ぎると、そうかもしれないと慢心するんだ。多分誰でも。誰かに褒められることは、あるいは、認められる事は、ずっと続けば悪くなる。」


「僕の心のもちようかもしれないね。」


「それなら不幸がいい、自分が自分でいられるように。


生まれた時から僕は一度も、誰にも否定されて来なかった。


それで、自分が優れていると、思ってしまった。」


だから、一度くらい否定されても良い。


「そして、それが今だから心配しないで。」


「自分で選んだ道なの?」


「そういうわけじゃ無いけどね。成り行きでこうなってそれも悪く無いかもと思って、それで自分がしやすいように、解釈しただけかも。」


「あーあそんな言われたらどうしたら良いかわからなくなる。」


「やっぱり、良くは無いんだけどな。」


そして、屋上のドアが開いて、カノイ、ちゃんが入ってきた。


「急に、ごめん言いたいことがあって。」


ふたりとも「え、誰にどっちに?」


「ヒロくんに、ずっとずっと前から、いえ、最初は嫌いだったけれど、これからずっと、ヒロくんの事が好きです。」


「どうして僕なんかの事?」困惑して


「ヒロくんが心配、何かしたい、でも、先生たちにずっと言われて、酷いことしてごめんなさい。」


「でも、カズラくんが言ってくれたから私の本当の気持ちを私も、ヒロくんに幸せになってほしい、出来ることなら私が幸せにしたいです。」一緒に幸せになってほしい。


「そうなんだ。あれ、なんで、」


ひろの目から涙が溢れる。


「ずっとずっと、ありがとう。」


涙を見てカズラは思う。


やっぱりヒロも、幸せになりたいんだ。


涙を見てカノイは思う。


やっぱり今までの事が、とてもつらかったんだ。


涙を流してるひろは思う。


なんで、泣いてるのか分からない。


でも、溢れた言葉はありがとうだった。



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