君と走った日々~春の三姉妹の物語~

司書係

人物紹介

39回目時点


・馬、競走馬


アキノドカ 牝2歳 鹿毛 3歳A級

金沢競馬場、延厩舎の競走馬。

母はハルウララ、父はダンスインザダーク。

気の散り易い母に似ず、父の気性の穏やかさを継いで、のんびりした性格に仕上がった。

反面、慎重な性格で知らない物音や影には敏感なため、矯正馬具を多目に装備する。

人や馬が大好きで追いかけたい気性が邪魔をして逃げられず、かと言って出の良い先行馬には無理をしてでも食い下がってしまう。そのため、偶然に出遅れたことから敢えて追い込みの作戦に変更したことが功を奏し、重賞競走に優勝した。

大井競馬場で先行勢に食らいつき、力のあるところを見せた。

面食いで、「能力のある馬=顔の良い馬」であることも多いため、どうしても先行馬に食い下がる悪癖があったが、最近はカンナの愛情を理解しているようで、我慢を覚えつつある。


サンアンドレアス 牡2歳 黒鹿毛 3歳A級

金沢競馬場所属。前田厩舎のみならず、金沢競馬でも期待の一番馬。

石川ダービー制覇の一番手と目されている。

能力検査をかなりの時計で突破したことで、その注目はかなり高まっている。

新馬戦を快勝し、重賞も2勝して年内を終えた。


・登場人物


霜月神無(カンナ)

金沢競馬場、延厩舎の専属騎手。

まだ学校を出て2年目のぺーぺーで、自分が責任を持つ馬も任されていなかった。

アキノドカが初めての調教に責任を持つ馬で、一生懸命に愛情を注いでいる。

最近は逃げられないアキノドカの戦法をどうするかでだいぶ悩んだ。偶然からの出遅れに追い込みの作戦に切り替えて好走し、重賞を勝ち取った。

南関・大井競馬場の小野厩舎に引き取られて南関遠征を敢行する。

アキノドカに対する観察眼は師も信用している。


延信太のびるしんた

金沢競馬場の調教師。

金沢出身という以外、特に後ろ楯の無いカンナを預かり、面倒を見ている。

1年近く責任を負わせなかったが、最近、親交深いオーナーの持ち馬、アキノドカを任せた。

父は大井・小野厩舎と親交の深かった延信介調教師。


延木芽のびるこのめ

金沢競馬場、延厩舎の厩務員。延師の妻。

延師がカンナ受け入れに出られた圧倒的要因。

彼女がいなければ、カンナは南関などに回されて、生まれ育った金沢を離れていた。

調教は苦手だが、簿記2級を独学で取るなど事務雑務を一手に引き受け、名実ともに延厩舎のおふくろさんである。


手塩(テシオ)

元は金沢競馬場近辺に棲みついていた野良猫。

じゃれついたアキノドカに潰されかけていた

ところをカンナに助け出され、怪我を心配され木芽に病院に連れて行ってもらった。

その流れで延家の飼い猫になり、朝昼は厩舎のマスコットとして馬の気性解消に一役買う。

アキノドカと馬運車に放り込まれた東京行きはちょっとトラウマ。


温井晴喜

金沢競馬場、延厩舎所属の調教助手。厩舎の番頭格。

延師の父の代から厩舎を守って実はそんなに経っていない。

その息子を軽んじるつもりは無いが、気安さから、気が緩むことが多い。しかし、その妻が怖い。

アキノドカ遠征時の大井出張厩舎を預かっていた。


暮内くれないオーナー

アキノドカの馬主。

ホッカイドウ競馬など、いくつかの競馬場で

馬を走らせる、それなりに大手の地方馬主。

金沢にアキノドカを預けたのは、注目度が

一番低いと踏んでだったが、そのせいで重賞を勝利し、注目度がぐんぐん上昇中なのを気に病んでいる。

ただし、最近は吹っ切れたところもあるらしい。

名前の通り、鹿毛馬を多く所有している。


前田家門いえもん

前田藩主家の末裔とも噂される金沢競馬場の調教師。

石川ダービー6勝を誇る金沢の名伯楽で、サンアンドレアスを預かる。また、金沢の有力馬はだいたいこの厩舎の馬。

アキノドカの底力に注目している。


福生房雄ふくいふさお

北陸地域のスポーツ新聞『金城スポーツ』金沢競馬場担当の競馬記者。

自紙にとって花形は中央競馬・新潟競馬場担当で、どうにかそちらに移れないか、特ダネを地道に探している。

アキノドカ関連記事を熱心に取材しており、最近は延師の警戒も解けている。


葉月水無みな

地方競馬、園田所属の若手騎手。

アキノドカの姉、ナツサヤカの主戦。

ハルウララ所縁の馬に関心があり、アキノドカの動向をデビュー戦から追いかけている。

同じレースでその力を知り、ライバルとして認め始めた。

短期間だが南関遠征の経験がある。

結構な血統オタクで、ハルウララの父・ニッポーテイオー


風間絵美里かざまえみり

地方競馬、南関・大井所属の若手厩務員。

大井でカンナがお世話になる小野厩舎で働いており、寮はお隣、現地での世話役として何くれと無く世話を焼いてくれている。

女性騎手の活躍を応援しており、園田の葉月騎手が一番のお気に入り。

実は「中央・関西で馬を持っているある有力馬主の娘さん」だという噂がある。


吉田寛太かんた

金沢競馬のトップジョッキー。

最近はもっぱら大井競馬に遠征していることが多く、金沢には有力馬の依頼か重賞開催にしか乗らない。

南関遠征をするカンナの相談役に指名され、気にかけているが噛ませ役になることが多いのを気にしている。


郡快斗

南関・船橋所属のトップジョッキー。

元北関東競馬からの生き残りで、通算4000勝が目前。

勢いを大事にする騎手で、逃げると強い。


師走弥生

北海道の地方競馬、門別所属の女性騎手。

かれこれ10年以上のキャリア、通算では800勝以上を誇り、重賞でも活躍している。南関始め他場に積極的に遠征しており、経験豊富。

2児の母だが、専ら調教師の夫に任せているため、たまに顔を忘れられて調子を落とす。

アキノドカの全妹、フユシズカの騎乗が決まっている。


夜長紅葉

南関・船橋競馬場の若手女性騎手。

有力騎手が目白押しの南関競馬で埋没していたが、カンナとの出会いに触発されて奮起。

師匠が頼み込んで預けてくれた小野厩舎の馬で「まずは1勝」をつかみ取った。


小野小町

南関・大井競馬場の若手女性調教師。

本人曰く「ふざけたような名前」であまりフルネームを名乗りたがらない。

祖父の代から調教師で、厩舎には彼女が生まれる前から在籍する68歳の厩務員もいるが、彼は人格者なので口が裂けても人前で「小町ちゃん」とは言わない。

しかし、その厩務員・通称「忠じい」が唯一、怒って「小町ちゃん」呼ばわりした事件があり、それ以来、師は立派な調教師になったとか。

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