チェイス・タグ
観葉植物
地区大会決勝戦
第0チェイス・殺してやらぁ
「
「気合入れてけ! キャプテン!!」
「翔蒼はギリギリの追い上げでなんとか首の皮一枚繋がっている。対する
一対一でやるチェイスタグの中の延長戦。
サドンデスチェイスオフ。
十秒毎に追走と逃走を交代し、
そして、あと一回逃げ切れば俺たちの……、勝ち。
あぁ、わかってるさ。やってやるよ。
これを逃げれば全国への切符を手に入れることができる。
このゲーム必ず勝たせてもらう!
スタート位置につき精神統一し気合を入れた。
「ほう、やる気だねぇ。でもこの戦い、僕たちの勝ちだ」
「やってみないとわからないだろ」
対戦校の
チョークを手に付け滑りを減らす。
「あはっ。チームメイトが努力をしてくれたお陰で僕は君に勝てる。勝って僕は全国へ行かせてもらうよ。最期を楽しめ」
「チッ……、舐めやがって」
体育館の照明が消え、中央にあるコートにスポットライトが当たった。
男女全員がこの全国へ繋がるゲームに視線を向けている。
「殺してやらぁ」
対戦相手のチェイサーがニヤッと口角を上げ気味の悪い笑みを浮かべた瞬間、開始を知らせるブザーが鳴り響いた。
会場の歓声が一気に湧いた。
まずは手前まで誘い込み右に走る……。
チェイサーは入り組んだ障害物を片手で軽々と越えてきた。
スピードヴォルトと呼ばれる技だ。
障害一つ挟んだ時に左へのフェイントで揺さぶりをかけ、右の通路へ向かう。
並行した二つの足場の下をスライディングですり抜け置き去りにする。
ショートカットで距離を詰めてくるが俺のスピードには追いついてこれてなさそうだ。
また右に曲がり「凹」の形になったストレートの橋を一歩ずつ飛び渡った。
こうして対角線に移動し続ければ……。
[00:05:28]
半分経った。いける、いける、勝てる!!
「あはっ」
笑った?
そう思いながら一周を回り終わろうとした時一気に距離を詰められていた。
まずい、ここで切り返すか……!?
このパイプを掴んでクイックチェンジするしかな――
「Bang」
耳横でそう呟かれた瞬間、周りの景色がスローモーションになった。
俺の体は宙を舞っていた。
「はっ……?」
何が起こったのか分からない。走馬灯が脳を駆け巡った。
パイプから手が滑って掴み損ねた……?
自身のスピードとパイプを握った時の急ブレーキで俺の体は二メートル以上吹き飛んだ。
俺はコイツに殺されるのか。
何も抵抗できないまま背後にあった障害物に全身を強打し
俺の記憶は途切れた。
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