はるお違い
マックへ向かう一同。
俺の前で歩くのは石崎さんと桑藤さん。
何を話しているのか解らないが、女子トークが続いている。
何を話しているのだろうか?
そもそもあの二人は仲が良いのだろうか?
気になる。
何より「この間の出来事」を話題に出されると困る。
桑藤さんなら黙っていてくれるはず。
そう信じるしかない。
ちゃこ「君はー、朝のポテト食べたことあるの?」
おぉ、そう言えばこのチビは隣でずっと何か言ってたな。
いい加減返事してやるか。
海人「身長160センチ以上の人は大体食べたことあると思うよ」
なんかいじりたくなるんだよなぁ。
ちゃこ「身長は絶対カンケーないから!!」
関係あっても無くてもいいんだよ。
君がミクロって事だけが事実なんだよなぁ。
それはそうと、なんだか君とは仲良くなれそうな気がするよ俺は。
出会ったばっかで身長をけなされているのにも関わらず、子犬みたいについてくるとは。
人懐っこさとは、女の子の長所になるな。
あー、まだなんか喋ってるし。
おかげでマックまでの道のりが近く感じるよ。
相手が一方的に話す事で、その空気感に沈む安心を得る事もあるんだな。
川に浮いているような、特に何も考えなくていいこの感じ。
逆に、女の子はどうなのだろう。
男性が一方的に話している時、俺と同じ感覚になるのだろうか。
それ以前に、この現象は「無視されても気にせず話し続ける人」と「人が話している内容を流せる人」がいて成立するのかもしれない。
今日一番の不安要素が少しずつだが緩和されていく気もする。
何て言うか、チビよ、俺の足を踏んでくれてありがとう。
ちゃこ「ねーねー、としってさ、ガッコーでどんな感じ?」
どんな感じとは?
感じ??
海人「どんな感じと聞かれてもなぁ」
自分の中のイメージを言えばいいのか?
海人「そうだな、気が付かない所で人を気遣っている子かな?」
多分そんな感じだろう。
この間こゆちゃんとカラオケに行った時もなんかそんな雰囲気が嗅ぎ取れたし、恐らくは俺の考えていない角度が見えている子なんだろうと思う。
そう考えると、仲良くしてくれている女の子達は全員そんな感じかもしれない。
お、もしや、これは女の子と男の子の違いなのではなかろうか。
桑藤さんはどうなのだろうか・・・
ちゃこ「じゃー、あの子はどんな感じの子なの?」
遠くから背中を突っ突くようなジェスチャーを見せられる。
こら、人を指さすんじゃない。
俺もよくやるけど。
海人「あの子は他人優先の子、優しい子だよ」
桑藤さんの背中を眺めながら答える。
ちゃこ「お、即答ですな」
声のトーンが気になり、ちゃこちゃんの顔を上からのぞき込んでみる。
ちゃこ「どうやら中々仲良さげですな」
子供番組の主題歌に出てきそうな言葉を使ってきた。
よく噛まないで言えたな「なかなかなかよさげ」なんて。
海人「そうでもないというか、最近仲良くなり始めたんだよ」
目線を前に戻す。
海人「この間一緒に初めてカラオケに行って・・・」
ちゃこ「うん」
ハッ!
コレは言っていい事柄だったのか!?
流れに飲まれ過ぎた。
言うつもりのない事を、言わなくても良い事を言ったぞ今。
気を付けろ俺。
この子はまだいいにしても、石崎さんに聞かれるのはあまり良くない気がする。
あまり良くない気がするどころか「浮気者」的なイメージを持たれるのは俺にとって不利しかないじゃないか。
ここまでだ、桑藤さんの話はここまでにしよう。
海人「・・・ってくらいの仲です」
・・・急に会話切り過ぎたか?
そして何故に敬語??
ちゃこ「そか」
・・・そです。
もう聞かないで、桑藤さんの話題に触れないでオネガイ。
ちゃこ「キミ、あの子好きなの?」
・・・?
海人「はい?」
何でそうなる。
ちゃこ「当たったー! ちゃこ当てちゃったでしょ!」
何なんだコイツは。
海人「あのねぇちゃこ氏、まず俺には三波と言う名前があるし、好きな子がいても初対面の子に言うつもりはないぞ」
呆れた顔で教えてあげる俺って、優しいヤツだなぁと。
ちゃこ「三波? アレじゃん! は~れたそらあ~だね」
・・・岡晴夫??
海人「・・・何が?」
かなり古い人物を持ってきやがったな。
ちゃこ「あれ? 三波春夫・・・あれ?」
・・・はい??
海人「三波春夫は『お客様は神様です』の人でしょ」
ちゃこ「え、だからそうでしょ?」
・・・何が?
海人「石崎さん、助けてくれ・・・」
そして、マックに着いた。
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