羽化した蜘蛛が蛹を突く
俺の言葉を全く理解していない桑藤さん。
それは当然で、本来なら「君にいたずらしたい」とはっきり言いたいのだ。
それを濁して言った内容が「いじわる」だった。
事実既に始まっている訳だが、ここから先は物理的ないじわるをしたいのだ。
そうつまり、桑藤さんの身体を弄びたいのだ。
俺のこの勃起不全の様なこゆちゃんへ対する性欲の無さを君で治したいんだ。
実はここから先、俺は完全なるアドリブで行う事になる。
流石にカラオケに来てどんな話になりどう手を出すのかまでは予想できない訳であるから。
俺、超能力者じゃないし。
桑藤「いじわるって、どんな事? 私が嫌がる事?」
聞き返すって事は、これどういう事?
興味があるのか?
桑藤さん、君はその質問でかなり核心に近づいてしまっているのだが、俺はまだ恥ずかしいし君の肯定する姿勢も見えていないから教えられないよ。
流石にドン引かれるのは本望じゃない。
海人「嫌がる事はしたくないなー」
さてさて、踏み出してしまった手前、もうどうにかしなければならない。
毎回俺の作戦ってやつは、ふふ。
桑藤「でもいじわるって、そう言う事でしょ?」
何か俺と桑藤さんの表情が同じな気がするんですが。
お互い悩んでどうする。
海人「解った、じゃあ交換条件って事で、秘密を打ち明けます。 まずはそれを聞いてください」
桑藤さんの左手の人差し指を気づかれない様に親指で撫でてみながらそう言ってみた。
桑藤「交換条件?」
桑藤さんはなんとか俺の言葉について来てくれている。
俺も何言ってるか訳分かってないし、桑藤さんはピンポン玉を目で追うような心境だろう。
海人「桑藤さんと斉藤さんの秘密を内緒にするから、俺の秘密も内緒にしてほしいって事」
俺も中々メチャクチャな事を言い出す。
桑藤さんは全く意味が解らない様子だ。
桑藤「なんでわざわざ秘密を言っちゃうの?」
ですよね、そうなりますよね。
俺にもわからん。
俺も一体何がしたいのか軽く解らなくなっているが、つまりは土台を作りたいのだ。
海人「二人とも秘密を知ってたら、お互い守れるでしょ?」
そんな事しなくても、片方が秘密を守れば収まると思うのですが・・・。
絶対に桑藤さんもそう思っている。
桑藤「趣旨が解らない・・・」
大丈夫、俺も解ってないから。
でもどうだ?
どうすればいいか解ってきた、そうだそう言う事を言いたいのだ。
海人「俺の秘密を内緒にしてもらう事は、桑藤さんへのいじわるにならない?」
何かを考える桑藤さん。
言いたい秘密に答えがあるんだ桑藤さん、頼む了承してくれ。
じゃないと話が進まないんだ頼む!
桑藤「三波君がそれでいいなら」
おー。
渋々な表情だが、何ならまだ理解を超えている様子だが、これでいい。
俺は桑藤さんの手を放し、机の上へ置く。
その手の上に今度は右手を乗せる。
行くぞ桑藤さん、覚悟してくれ。
俺は今から人生で最大の罪を犯す。
神様、仏様、どうか俺に力を。
海人「じゃあ話すね、内緒にしてね」
そう言って俺はすかさず桑藤さんの首の後ろへ手をまわす。
そして一気に体を桑藤さんへ近づけ、桑藤さんの頭も自分へ近づける。
桑藤「えっ!?」
何をされると思うね桑藤さん、俺が一体何をすると思うね?
この一瞬で考える事ができるかい?
まあ、その隙は与えないがな!
桑藤さんは少しこわばった表情で反射的に目を強く瞑った。
俺がしたかった事とは、桑藤さんの耳元で囁きたかっただけなのだが。
だが姿勢は抱きよせているに等しく、桑藤さんは右手以外の自由を奪われている状態だ。
じゃあ桑藤さん、まずは君の耳を犯すね?
海人「実は俺ね、人に言えない癖があるの」
唇を伸ばしたら耳たぶに触れてしまいそうなくらい近くまで寄っている。
はあああああ、桑藤さんいい匂いがする。
女の子って、いい匂いするよなぁ。
桑藤「かっ、三波君、チョット・・・」
俺の二の腕を右手でつかむ桑藤さん。
抵抗するかな?
俺、もう先行っちゃうけどいいよね。
海人「下の名前で呼んでって、俺言ったよ」
教育的指導。
調教と言うのだろうな、本来こうなってしまったら。
桑藤さん、状況解っている?
えっと・・・何かのマンガにあったなこんなセリフが。
「既に拷問に変わっているんだぜ」
だったかな?
俺はもう攻撃をやめない事にするよ。
海人「早く下の名前で、お願い」
お願いしちゃったよ俺。
桑藤さんどうする?
桑藤「んかっ、いと君」
唾をのみ込みながらか。
まあまあ、よく言えました。
でもそれじゃ許さないけど。
喉がカラッカラになってるのか。
カルピス飲んだ方がいいんじゃないかい?
フフ。
海人「え、何て言ったか解らないからもう一回言って?」
囁く。
吐息も出来るだけ出ない様に。
だが桑藤さんの耳には、振動が伝わる。
俺が単語を言い放つ毎に、桑藤さんの首はブルッブルッっと震える。
そしてその反動で桑藤さんの頬と俺の頬が接触し、それの反射で彼女の身体がビクンッビクンッと跳ねる。
最 高 に 楽 し い 。
こんなに楽しい事はめったにないだろう。
ずっとこうしていたいよ桑藤さん。
もっと楽しもうよ。
桑藤「海人くぅんっ!」
名前を呼ばれてすぐに、わざと下唇を伸ばして耳たぶに触れてみた。
その瞬間、桑藤さんの全身にギュウっと力が入ったのを感じた。
・・・悶えている!
女の子が、俺の腕の中で悶えてるよ!!
俺は瞬発的に、初えっちした時を急に思い出した。
あの時は何かもう一生懸命だったし、実はほとんど覚えていない。
緊張でイけなかったくらいだ。
あの時ですら、究極の状態であるあの瞬間ですら、こんな衝撃は無かった。
そんな事しなくても、えっちなんかしなくても、全然興奮できるのかスゲー!
これは・・・癖になるよ桑藤さん!
海人「あ、ゴメン、耳たぶ触れちゃったね」
と言いながらもう一回耳たぶに触れる。
彼女の振動をもっとよく感じたくなった俺は、右手を放し、桑藤さんの左腕を掴んだ。
桑藤「ィィィッ!」
桑藤さんがEともYともIとも違う様な声を出した。
足つぼマッサージで想像もしていなかった「押しちゃダメなトコ」を強引に攻められた時のような声。
絶対に俺、にやけてる!
もしかしたら興奮しすぎている俺は荒い息で桑藤さんの耳を犯し続けていたのかも知れないが、俺自身は息遣いを抑えているつもりではあった。
桑藤「かいっと君待ってっ・・・」
ものすごくか細い声でそう言うと彼女は、両手を俺の胸に当てた。
待ってってなんだよイミワカンネ。
待つ訳ないじゃん、てか、そんなんじゃクリボーも待ってくんないよ?
多分桑藤さんの残機はゼロなんだろうなぁ。
海人「俺ね、こういういじわるするのが大好きなの」
初体験だけどね。
正直に告白しますよ。
もう大好きですホント。
海人「皆には黙っててくれるよね?」
と言いながら今度は耳の中へ唇を近づけた。
桑藤「ぅあっ!!!」
完全に耳の中の空気を吸い込んでます。
桑藤さんも初めての体験だったのか、たまらず喘いだ。
声だけ聴いている人がいたら、ペッティング以外の何物でもないだろう。
いや、正直、それ以外の何物でもない訳だが。
桑藤さんの両手は、俺のワイシャツを引きちぎりたいかのように強く握りしめている。
海人「いい匂いだし、あーもうこのまま耳食べちゃおうかな」
そう言って大きく息を吸った瞬間、桑藤さんがかなり大きくブルブルと震え出し、
桑藤「待ってっ!!!」
グイっと俺を前に押し出した。
おおお桑藤さんやるぅ!!
罠から抜け出したよすげぇ。
見くびっていたよ、このままずっとどこまでもやられっぱなしのままだと思ってた。
もちろんどこまでもやるつもりだった。
パンツの中に手を入れて股間を弄る所くらいまではやる気でいた。
しかし君って子は・・・。
良いよ! 桑藤さん!!!
桑藤「はあ、はあ、はあ」
息あがってますけど大丈夫ですか?
と聞きたかったが、やめておく。
呼吸を止めていたのか?
でも、その息遣いだけでも、見てて俺は、
全 然 興 奮 が 収 ま ら な い よ 。
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