輪廻転生

平 遊

1.最初の人生

雅な、時代。

私は男で、何不自由なく暮らしていた。

大切に大切に育てられ、歌も学問の才もあり、蹴鞠や音楽も人並み以上。

容姿も、母上譲りの見目麗しいものだった。

何もかもに恵まれていた。

だが、ただひとつ。

私には、苦手なものがあった。

それは、「恋の駆け引き」なるもの。

面倒なのだ。早い話が。

女人ひとりと一夜の床を共にするために、なぜこのような回りくどいことをせねばならぬのかと、よく嘆いたものだった。

それでも、身分、容姿、才、いずれも申し分のない女と結婚し、私の地位は安泰だった。

私は誰が見ても、申し分のない幸せ者だったといえよう。

だが、果たして本当にそうだったのだろうか。

私は本当に、幸せだったのだろうか。

疑問に思うこともなく、いわゆる「この世」を去るまで、私は自分はこれで幸せだと思っていた。


しかし。

私はまた「この世」に生まれた。

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