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<死ねない者>であることは、普通に考えたら<チート能力>ってことなのかもしれない。が、俺の戦闘力そのものは凡庸だから、


『でかい岩に挟まれて潰された状態で放置される』


なんて状態になったらもうどうにもならない。再生すると同時に潰されて死ぬからだ。延々と苦痛だけを味わう羽目になる上に、精神状態もリフレッシュされるから、正気を失うことさえできないだろう。


だから大して有利でもないんだよ。しかも、<不老不死>なのかどうかはまだ分からない。というのも、十二の時に<死ねない者>になったのに、ちょっと成長してるみたいなんだよな。


なのでひょっとすると寿命では死んだりするのかもしれない。でもその<寿命>がどれくらいを言うのかが分からない。成長が止まればそこからは老化しないのか、老化しても死ねないのか。


後者だとただの地獄だな。


なんてことを思いつつ、


「とにかく俺は、たまたま迷い込んじまっただけで他意はない。信じなくても構わないが、事実は変わらない」


俺は告げた。するとノーラは、


「……そうですか。その言葉を信じるに値する根拠はありませんが、あなたからは大きな脅威も感じません。なので、マスターにあなたの処分について指示を仰ぎます」


やっぱり冷たい目で俺を見つつ応えた。ま、知らずとはいえこういうところに踏み込んじまったのは事実だし、取り敢えずはおとなしくしておくか。


都市部じゃそれなりに<法の支配>も及んでるとはいえ、この手の僻地じゃ今なお、


『法律とか知ったことか!!』


な連中がうようよしてるからな。典型的な<自己責任>だけが支配してるんだよ。盗賊でさえ、襲えば逆襲されて皆殺しになるのだって日常だ。俺は<不死者>だからあんまり気にせずにいられるけどな。


そんなこんなでノーラに連れてこられたのは、岩山を削って作られた<屋敷>だった。たぶん、ゴーレムに作らせたんだろう。実際、十歳前後の子供くらいの大きさのストーンゴーレムが何体も屋敷の中から岩の欠片が入った桶を運び出していた。今も拡張工事が続いてるってことか。


その屋敷の前にも岩を削って作ったらしい<小屋>があって、


「ここで待っててください」


入るようにノーラに促された。小屋の周りには、こっちは大人くらいの大きさの警備用らしいストーンゴーレムが控えてて、『抵抗しても無駄だ』と言わんばかりの威圧感を発してる。


別に俺も抵抗しようとは思わないけどな。したところで意味がない。もしかしたらまたあの<実験の日々>に戻るかもしれないとゲンナリしただけだ。


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