大地にできた裂け目の下で【下】

『カァ……ァ……ッ!』 



 鋼食いのガーゴイルの消耗が激しい。これなら、時間を使うだけでもどうにかなる。

 勝利を確信したわけじゃない。油断したわけでもない。

 だがレンは、優勢に戦えていることに素直に喜んだ。



『クルルァアアアッ!』



 他の冒険者を助けに来た狼男の姿を見て、鋼食いのガーゴイルがそちらに意識を向けた。

 が、やはりレンが割り込む。



「絶対に行かせないッ!」


『ガァアアッ!』



 鉄の魔剣が鋼食いのガーゴイルの表皮を砕き、刃が食い込む。

 もはや、木の魔剣の自然魔法を駆使しない方が相手を抑えきれるほど、レンの剣戟が苛烈さを増していた。

 風のように疾い鋼食いのガーゴイルの腕が頬を何度もかすめたが、一歩も引かぬレンの姿には、魔物ですら畏怖を唱えることだろう。



 ――――この間にもまた一人、もう一人と救助が進む。

 集中しすぎたレンにとってはあっという間で、それこそ、気が付いたときには狼男の仕事が終わっていた。



「コイツで最後だッ! 英雄殿も無理はしないでくれッ!」



 遂に救助が終わり、レンは目の前の鋼食いのガーゴイルをどうするかと考えた。

 倒すか、一度撤退するかだ。

 しかし彼の耳に届いた、天空から届く風を切る音。



(……なんだ、今の音)



 迷いが生じたそのとき、だった。



 頭上から、鋼食いのガーゴイルの咆哮と共に圧が近づく。

 鋼食いのガーゴイルは目の前にいるはずなのに、そう思っていると、



『ギィィイイイイイイッッ!』



 それは二匹目、だった。

 これまで相手をしていた鋼食いのガーゴイルよりも更に大きく、黒鉄の体躯が禍々しい光沢に覆われている。



 まばたき一瞬だけ唖然としたレンが頭上に構え、その鋼食いのガーゴイルを受け止める。

 滑空による勢いもあるが、そもそもの膂力が一匹目よりも強いと感じた。



「つ、番だって!?」



 壁を上る最中の狼男が言う。



「冒険者ギルドにそんな情報は……ま、まさか、最近の話だとでも……ッ!?」



 レンも覚えている。

 鋼食いのガーゴイルは一匹だけ。その情報しかなかった。

 新たに現れたのがオスだとすれば、二匹が番になったのはここ最近ということになるだろう。

 どうにか攻撃を弾いたレンが思う。



(さっきの咆哮は、夫を呼んでたってことか)



 これでは話が変わってくる。

 確かにレンは、マナイーターを二匹同時に相手にした。奴らはDランク相当だったから、ここでDランクを相手取るのは同じかもしれない。



 が、リシアが居ない。

 白の聖女が用いるバフはなく、最悪の戦場。

 あまり大げさに動けないこの地下では、レンが圧倒的に不利だ。



『カカッ……ァ……』


『クルゥ、カカカッ』



 怪我をした鋼食いのガーゴイルの傷を、夫と思しき鋼食いのガーゴイルが舐める。

 じり、じり――――と肌を焼くような空気が漂う。

 壁を登っていく狼男が、僅かに震えた声で言う。



「ま、待っててくれ! すぐに助けに来る!」



 しかし、その様子ではあてにできない。

 レンは自身がどうこの場を打開するべきか、どう逃げるべきか考えた。



(……下手に逃げれば、救助した人たちが狙われる。だったら、どうにかするしかないだろ)



 鋼食いのガーゴイルには悪いが、レンも死にたくない。

 手負いの個体から先に倒し、まずは一対一の状況に持っていかなければ。



(余裕があれば、盗賊の魔剣も使ってみたかったな)



 自嘲し、レンは鉄の魔剣を構えた。

 刹那、二匹の鋼食いのガーゴイルがほぼ同時に飛び跳ねた。

 目を見張る連携でレンの左右、前後、そして頭上を縦横無尽に飛び跳ねて、死角という死角から黒鉄の腕を見舞った。



『シュッ! シィッ!』


「さすがに疾い……けどッ!」



 直接的な脅威は明らかにシーフウルフェンの方が上だろう。

 鋼食いのガーゴイルの疾さはシーフウルフェンに劣る。

 だから躱せるし、受け止めずに済む。

 イェルククゥが最期に放った力も思い返せば、これくらいで恐怖することもない。



「――――悪いな」



 番に対し、小さな声で謝罪する。

 互いに事情はあれど、レンだってここで負ける気はない。



「もう、終わらせる」



 もはや、鋼食いのガーゴイルの動きは見切った。

 レンが手にした鉄の魔剣は一匹目の鋼食いのガーゴイルとすれ違いざまに、幾度もその胸元を切りつけていた。

 強固な鋼の体躯はその影響で、少しずつ柔らかな肉がさらけ出される。



 その弱点へと、軽やかに戦いをつづけていたレンが遂に――――。



「はぁあああああッ!」



 鉄の魔剣の切っ先が、鋼食いのガーゴイルの胸を突く。

 確かに肉を断つ感触と、その奥にあった魔石を砕く音がした。


 すると、レンの腕輪が間接的に魔力を吸い、新たな力を得る。



 ・盾の魔剣  (レベル1:0/2) 

 魔力の障壁を張る。レベルの上昇に応じて効力を高め、効果範囲を広げることができる。



 剣なのに盾?

 思うことはあったけど、腕輪を一瞥したレンはあまり深く考えなかった。

 そうしている間にも、一匹目の鋼食いのガーゴイルが大地に伏す。

 怒り狂ったもう一匹の鋼食いのガーゴイルが背後に迫る中、レンの片手から木の魔剣が消える。



『コァァアアアアアアアアッ!』



 オスと思しき個体は怒りに身を任せ、裂け目の中の壁や床を抉り、濃霧に似た土ぼこりを上げた。

 そして、黒腕で削り取った壁をレンに投擲。

 幾度となく土ぼこりを目隠しにして攻撃を仕掛け、レンの身体を貫かんと試みた。



「英雄殿ッ!? く……なにがどうなっているんだ……ッ!?」



 冒険者を避難させる最中にある狼男には、地下の最下層でどのような戦いが繰り広げられているか見えなかった。

 だが、逆にこれがレンに新たな力を使うことを決意させる。

 見通しも悪く、投擲や死角を突く鋼食いのガーゴイルの剛腕に対し、使うことに迷うことは一切なかった。



『ギィイイイイイッ!』



 迫る。完全に背後をとった鋼食いのガーゴイルの腕がレンの背中に迫っていた。

 もう一秒、いや、それよりずっと早い時間でその身体が貫かれる。鋼食いのガーゴイルだって、勝利を確信した。

 


 ――――しかし、その剛腕はレンの身体に届かなかった。



 手甲に覆われたレンの手がかざされると、その先から金色に光るオーラの壁がレンの手元から現れ、二本の剛腕を隔てたのだ。



『…………ッ!?』



 その壁はレンの上半身を覆うほどの大きさで、まるで黄金に光るガラスのよう。

 驚いた鋼食いのガーゴイルが幾度も剛腕を突き立てたことで、ようやく小さなヒビが入る堅牢な壁だった。



 裂け目の上では狼男がいままさに地下へ戻ろうとしていたのだが、彼は彼で、地下で急に音が止まったことに驚いていた。

 だが、レンは意に介していない。

 彼は盾の魔剣と、この勝負への決着のことだけを考えていた。



(すごいな、コレ)



 レンには確信と、この魔剣が駄目だった際にも反撃できるという自信があった。

 だから、不敵にもこのように振舞ってみせた。

 やがて盾を解除すればそれは砕け散り、陽光を反射して、ダイヤモンドダストが如く美しい光景を作り出す。



 度重なる攻撃で疲弊した鋼食いのガーゴイルに対し、レンは振り向きざまに鉄の魔剣を何度も叩きつける。

 最後はごめん、と口にして、



「お前たちの住処を荒らしたのが、俺たちだってことはわかってるんだ」



 相手が番だから、少し思うところがあった。

 しかしレンにも譲れないものがある。

 ここにいた人たちを助けたかったし、自分も死にたくない。

 つまり、戦うしかなかった。



『ガッ――――グルァッ……カァッ!』



 応戦する鋼食いのガーゴイルの剛腕を躱し、更に鋼食いのガーゴイルの胸を狙う。やがて、一匹目と同じように肉が見えたところで、レンは最期の一突きを見舞った。



『ッ……ァ……』



 力なく斃れていく鋼食いのガーゴイル。

 地響きに似た音が鳴り、一匹目と違う巨躯を横たわらせた。

 それを見て、レンは溜息を吐く。

 そして小さな声で、



「……やっと、終わった」



 予定にない戦いで大きく疲弊してしまった。

 一応、シーフウルフェンと違い戦いやすかった気はするけど、かといって余裕があるかと言うとそうではない。



 一瞬でも油断すれば、倒れていたのは自分だった。

 鋼食いのガーゴイルの剛腕を一度でも素直に貰っていたら、身体が抉られていたことは必至だ。



「ば、馬鹿な……英雄殿、君は……ッ!?」



 土ぼこりが収まり、ようやくやってきた狼男が驚きの声を漏らした。

 その狼男が見たレンは、疲れで地べたに腰を下ろしており、もう魔剣の姿は垣間見えない。

 見えたとしても鉄の魔剣程度だから、特に不審に思わぬだろう。

 するとレンは大の字に倒れ込み、「疲れました」と呟いた。



「当たり前だとも! だが、なんて偉業なんだ! 英雄殿ほどの少年が、たった一人で鋼食いのガーゴイルを二匹も討伐するなんてッ!」


「運が良かっただけですよ、きっと」



 疲れのせいで、あまりちゃんとした返事を返せない。

 倒した鋼食いのガーゴイルの素材はどうしよう。運ぶのが面倒だ。救助した人たちを急いで町に運ばないと。

 考えることがいくつもあった。



(盾の魔剣、これまでで一番の消耗っぷりだったな)



 度重なる攻撃に耐えきれずに砕け散った盾の魔剣は、レンが思う以上に堅牢だった。

 代わりに魔力の消耗が激しかったせいで、こうして大の字に倒れ込んだのだ。

 だが、我ながら使う判断は間違えていなかったと思う。

 土埃で見通しが悪く、投擲も交えた攻撃が戦いにくい場所と相まって、間違いなく脅威だったからだ。



「俺はもう少し休んでいたいので、救助した人たちの下に行ってください」


「いいのか?」



 裂け目の最下層に降り立ったばかりの狼男が驚いた。



「はい。こっちはもう、どうにかなりましたし」


「……わかった。すまないな。後でまた迎えに来るよ」


「いえ、少し休んだら自分で戻れるので、お気になさらず」



 レンは呑気な声で言い、軽く手を振って狼男を見送った。

 その姿に苦笑した狼男は来た道を戻っていく。

 一人残ったレンはふぅ、と息を漏らして、



「俺も、少しは成長してるのかな」



 空に向けてかざした自身の手を眺め、小さく微笑んだ。




◇ ◇ ◇ ◇




 街道を抜け、クラウゼルへ入るための城門の前で。

 鋼食いのガーゴイルの死体が二匹分、誰しもが決して無視できない存在感を放っていた。



「お、おいおい」


「嘘だろ……アレって……」



 傍に立つレンは門の番をする騎士と言葉を交わしながら、多くの大人が口々に発する驚きの声を聞いていた。



「レ、レン殿!」



 その騎士に両肩をがしっ、と強く捕まれたレンが、慌てて「はい!」と言う。



「このような偉業をお一人で成し遂げられたのですか!?」


「い、いえ……いいとこどりだった気がします」


「むっ、というと協力者が?」


「そうでもない感じなので、何と言えばいいのか……」



 はっきりしない返事をしていたのは、一匹目は最初から最後まで自分が相手をしたと言い切れないからだ。

 一応、一匹目は若い冒険者たちや狼男、その相棒の男も戦っていたはず。

 だから自分だけと言えるのは、二匹目の個体に限られる。



「そんなことはない。どちらも英雄殿の偉業さ」



 そこへ、狼男がやってきて言った。

 いまの言葉を聞いた騎士は「やはり!」と言って驚く。



「一匹目も私たちが特筆すべき攻撃をできていたわけではない。だから、どちらも英雄殿の偉業さ」



 彼はそう言い終えると、



「ギルドには連絡してきたよ。英雄殿が倒していた他の魔物も運んであるから、一緒に金を貰ってくれ」



 つづけてこう言い残して立ち去ろうとした。



「待ってください! 全部俺が貰うのは――――ッ」


「こちらは運ぶのを手伝っただけさ。助けられた若い奴らも、自分たちは何も受け取れないと言っていたぞ」



 それどころか、裂け目の地下にあった資源の買取金もレンに渡すよう言っていたとか。レンは受け取らないと言ったけど、狼男は受け取るべきだと言い、それ以上は言わずに城門を後にしてしまった。



「レン殿。彼ら冒険者は恩義に報います。そうでなければ、悪評が広まることもあるからです」


「では、受け取るのも彼らのためになるのですか?」


「そうなりますね。――――レン殿が助けたのは事実なのですから、遠慮せず受け取ってよろしいかと。それでアシュトン家の村へ、新たな魔道具もお買いになれるでしょうから」



 そう言われるとレンは弱い。

 門番を務める騎士にまた受け取るべきと言われ、最後は頷いた。せっかくだから、受け取った資金は村のために使わせてもらおう、と。



「……賑わってるなぁ」



 辺りの様子を見て呟いたレンの声を聞き、騎士が笑う。



「何をおっしゃいます。驚かれて当然なことをなさったのは、レン殿ではありませんか。それが情報にない個体も居たとあれば、殊更でしょう。特にレン殿はまだ幼いですから、注目の的になるのも致し方ありません」


「俺としては、旧館に戻ってからのことを思うと気が重いですが」


「はい? と言われますと?」


「……レザード様はもちろんですが、リシア様にも相談せずに戦っちゃいましたからね」


「ははぁ……わかりましたよ。レン殿はアシュトン家の方ですからね」



 立場を鑑みれば、相談もなしに危険な魔物と戦うことを咎めれてもおかしくない。

 だから鋼食いのガーゴイルと戦う予定を組む際は、必ずレザードたちに相談をしてからするつもりだった。



 しかし、今回は仕方のない面もある。

 あれは急な事故だったし、見過ごせなかったからだ。

 またレンは、レザードに頼まれた仕事の一環として魔物の調査をしていたこともあって、見過すのはどうかと思った。



 あの場で自分が見過ごしたことで、万が一にもクラウゼル家が冒険者を見放したと誰かが思うことがあれば……これを危惧したからだ。

 いくら相手が自由に生きる冒険者であっても、である。



 ――――と、考えていると、やってきた冒険者ギルドの職員が驚きの声を上げた。



 レンは何度目かわからない苦笑いを浮かべ、査定を頼む旨を口にした。

 が、クラウゼルの冒険者ギルドではあまり例のない金額になるのは決定的らしく、時間が掛かるとのこと。

 結果は後程、クラウゼル家の屋敷へ連絡する、と職員は言った。



「わかりました。では、それでお願いします」



 それからレンは、辺りの賑わいから逃げるように城門の傍を立ち去る。



 でも途中で何度も声を掛けられ、仰々しく祝福されたりで気恥ずかしかったけど、クラウゼル家の屋敷に近づくにつれて収まった。

 ようやく息を吐けるようになったら、今度は身体の気だるさに気が付かされる。



(盾の魔剣か)



 予定になかった戦闘で得た、新たな魔剣。

 もうその効果は試したから強さは把握している。



 使ってみての感想は、使い勝手が良く性能も良いが、その代わりに魔力の消費が多いというものだ。

 これらのことを再確認したレンが、そういえば――――と思って腕輪を見る。

 いままで確かめていなかったことを思い出したのだ。

 もちろん、熟練度周りのことである。


 ――――――


 レン・アシュトン


[ジョブ]アシュトン家・長男


[スキル]     ・魔剣召喚(レベル1:0/0)


         ・魔剣召喚術(レベル3:1055/2000)

          レベル1:魔剣を【一本】召喚することができる。

          レベル2:魔剣召喚中に【身体能力UP(小)】の効果を得る。

          レベル3:魔剣を【二本】召喚することができる。

          レベル4:魔剣召喚中に【身体能力UP(中)】の効果を得る。

          レベル5:*********************。


[習得済み魔剣]

         ・木の魔剣   (レベル2:1000/1000)

          自然魔法(小)程度の攻撃を可能とする。

          レベルの上昇に伴って攻撃効果範囲が拡大する。

         

         ・鉄の魔剣   (レベル2:814/2500)

          レベルの上昇に応じて切れ味が増す。

         

         ・盗賊の魔剣  (レベル1:0/3)

          攻撃対象から一定確率でアイテムをランダムに強奪する。

        

         ・盾の魔剣  (レベル1:1/2) 

          魔力の障壁を張る。レベルの上昇に応じて効力を高め、

          効果範囲を広げることができる。


 ――――――


 それはもう潤沢な熟練度を得られていた。

 でも、苦笑いが浮かぶ。

 あれだけ苦労して倒したイェルククゥやマナイーターから得た数字と比べ、鋼食いのガーゴイルから得られるそれが多すぎる。鋼食いのガーゴイルは二匹だったし、経験値が多い魔物で有名だったが、筆舌に尽くしがたい気分だ。



 しかし、素直に喜ぶべきだとも思った。

 強くなれたことは事実だし、かねてからの謎、、、、、、、もいくつか解消しているからだ。



(ユニークモンスターから得た魔剣は、やっぱり同種族の魔石じゃないと熟練度を得られないんだな)



 手に入れたばかりの盾の魔剣の熟練度を見てそう思う。

 別種でもユニークモンスターの魔石であれば熟練度を得られる――――この可能性については、盗賊の魔剣の熟練度を見るに違うらしい。



 ついでに、木の魔剣がまだカンスト状態である。

 こうなれば、魔剣召喚術のレベルを上げて、レベル5になった際に得られる効果に期待せざるを得ないところだ。



「というわけで、問題はリシア様に――――」



 今日のことをリシアにどう説明するかに尽きるのだが……。



「私がどうかした?」



 どうしてか、そのリシアの声がした。

 レンは自身の顔をゆっくり、その声がした方に向ける。顔を向けた路肩には、リシアがヴァイスを伴い立っていた。



 ああ……そういえば、もう屋敷が近かった。

 頬を引き攣らせたレンの足が、自然とリシアから一歩後ずさる。



「ねぇ、私がどうしたの?」


「……いえ、その、」



 しかし、リシアがその一歩を詰めた。

 彼女の後ろではヴァイスが仕方なそうに笑って、唇の動きだけで「諦めるのだな」と言っているようだった。



「とりあえず、屋敷に帰りましょ? ……色々聞きたいことはあるけど、まずは神聖魔法を使ってあげるから」



 だが、事情はどうあれ仕方ない気もする。

 レンは言い逃れることを諦め、リシアに近づく。

 そのリシアは仕方なそうに微笑みながらも、頬に浮かべた心配は隠しきれていなかった。



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