第49話 薬の効果
「……さて問題は薬に効果があるかだな」
「……ジャイルなんでおまえがここにきた」
「何を言ってるんだ! 親友が具合が悪いというのなら応援にくるのが普通だろう!
お前に飲ませなきゃ効くかわからないじゃないか」
ジャイルさんがルヴァイス様ににっこり微笑んだ。
あれから私はジャイルさんに頼まれた薬草や薬など【錬成】で組み合わせた。
そうしたらテオさんが鑑定したあと、ジャイルさんが私とテオさんを引き連れてやってきたのがルヴァイス様の執務室だった。
でも心配。ルヴァイス様を覆う黒いもやもやが朝見た時より多くなっている気がする。
「あー」
私が大丈夫って手を伸ばすとルヴァイス様が抱き上げてくれて、私を膝にのせてくれた。
「大丈夫だよ。愛しのソフィア。ジャイルに怒っているだけだ」
頬にキスをされてぼっと顔が赤くなってしまう。
そ、そそそっか。人がいっぱいいるから溺愛演技だった。
急にキスされて顔が真っ赤になってしまって私はあわてて顔を手で隠した。
テオさんが手をあげると、顔なじみ以外の護衛さんたちが退出していく。
「……どうしても私のサインが必要な仕事はあと少しで終わる。これさえ終わらせておけば、最悪弟に任せられる。それまで待てるか」
そう言ってルヴァイス様はペンを走らせた。
顔なじみ以外の護衛さんが出て行ったあと、ルヴァイス様が頭を押さえた。
黒いもやもやが全身を覆っていて、ルヴァイス様本当につらそう。
。
「……ソフィア?」
『黒いもやもやが朝より濃くなってる』
私の言葉にルヴァイス様が困った顔になる。
私たちの作った薬を飲んでも黒いもやもやは全然消えない。
その結果にルヴァイス様はふむと頷いた後。
「ジャイル」
「はい、なんでしょう」
「これが神殿の薬だ。分析してみてくれ」
と、ジャイルさんに薬を差し出した。
「まさか、ルヴァイス様、朝の分の服用をしていらっしゃらないのですか!?」
テオさんがジャイルさんに渡した薬に顔を青くした。
たしかルヴァイス様の薬は神殿の神官の前で飲まないといけなかったはず。
余分な分は渡されない。
ルヴァイス様は飲んだふりをしてとっておいたみたい。
「成分がわからければ研究も何もあるまい。
それにそれは所詮痛み止めであって呪いの進行を遅らせるものではない。
一回抜いたくらいでどうということはない」
「明らかに顔色が悪いのに抜いてどうということはないでしょう!?」
テオさんがルヴァイス様に顔を近づけて怒る。
「そんなに私はやわに見えるか?」
そう言って笑うけれど、その笑みには全然余裕がない。
そんな二人の様子にジャイルさんがはぁーとため息をついたあと。
「よし!!まかせろ!!すぐに分析してやる!!!」
薬を受け取るとジャイルさんは駆け出していった。
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