第28話 ルヴァイス視点


「竜神官達がソフィアと接触を図っただと!?」


 遠征先で報告を受けたルヴァイスが、報告したテオに詰め寄った。


「はい、どうやらルヴァイス様の従弟にあたる王族のデラファン様の薬を作るためと、無理やり王室の温室に押し入ったようです。

 書類に王族の王印があったことから竜騎士達も入れないわけにもいかず、入れてしまったと」


「……こちらがソフィアに会わせないからと強引な手段をとったわけか」


「はい、護衛の話では、神官の一人が【聖気】を図る装置をもっていたことから、おそらくソフィア様の【聖気】が本当に存在しないのか確認をしたのかと」



「なるほど。

 【聖気】を所持していないことを不意打ちで自分たちの目で確かめぬと安心できぬというわけか。

 それでソフィアのほうは?」


「はい。おびえて気を失ったと報告を受けています。ですが命に別状がある等ではありません」


 テオの報告にルヴァイスは舌打ちした。

 まさか竜神官達がここまで強引な嫌がらせをしてくるのは予想外だ。

 もしこれでソフィアが番でなかった場合、ルヴァイスは引き返さずに、弟を優先するだろう。

 番だったとしても国政よりも番を優先する竜王と印象づけられる。

 どちらにせよあいつらに不利にならない。ルヴァイスの印象が最悪になる以外は。

 

(呪いで死期のわかっているこちらの事など眼中にないということか。馬鹿にしてくれたものだ)


「テオ、今すぐ引き返す。竜騎士の本隊はそのまま弟に派遣し、私だけ数名の護衛をつけて戻る。

 騎士団長にあとは頼むと伝えてくれ」


「よろしいのですか?」


「あいつらの狙いはソフィアの聖気もだが、ソフィアが【番】であるのを確認するのもある。

 私が帰らねば【番】であることを怪しむだろう。

 ラディスなら兵力さえそろえば一人で解決できる。一筆書いて持たせればいいだろう」


「かしこまりました」


 そういってテオはすぐに竜騎士たちに指示を飛ばすのだった。



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