第41話 ほのぼの迷宮クリア
「すいませんっ!!ガチですいませんでしたっ!!ていうかもう本当にごめんなさいっ!!」
地面に頭を擦り付ける9人のプレイヤーたち。
のの花が手始めにと【雷帝の怒り】を撃って1人吹っ飛ばした瞬間、盗賊たちは勝てないと悟ったらしい。
すぐさま武器を捨てて、見事にシンクロした土下座をかましてきた。
勝算がないと分かったらすぐ諦めるあたり、第1回イベントでリベンジしようとした黒仮面どもより賢いと言える。
「あ、あの、俺たちのコイン置いてきますんで勘弁してください…」
盗賊たちはコインを差し出すと、一目散に逃げていった。
銀が6枚に銅が10枚。
大した量ではないが、せっかくなのでもらっておく。
「さて、私たちも行こうか」
「そうだね」
盗賊たちが逃げていった先には大きな扉があった。
のの花たちも扉を押し開けてその奥へと進む。
すると、さらに3つの扉があった。
最初と同じで分かれ道になっているようだが、やはりヒントらしきものはない。
「今度はどう進む?」
「またじゃんけんでいいと思う」
2人は再びじゃんけんで進む方向を決めることにした。
「最初はグー、じゃ~んけ~ん」
「「ぽいっ!!」」
のの花はチョキ、花音もチョキ。
あいこなので進路は真ん中だ。
のの花がゆっくりと真ん中のドアを開ける。
「今度は階段じゃないみたい」
扉の奥には平坦な道が続いていた。
両サイドに壁が立ちはだかり、よくある迷路らしき雰囲気だ。
暗いは暗いが、真っ暗闇というほどでもない。
花音と一緒に向こう側へ踏み出し、のの花は扉を閉じた。
20分ほど同じ道を行ったり来たりした末に、のの花たちは最後の部屋へたどり着いた。
部屋の中央に宝箱が置かれている。
中を開けてみると、サクラの言っていた通りコインが入っていた。
金が2枚に銀が6枚。
2人分の報酬ということだろう。
「はい、ユカの分」
「ありがと」
コインを分け合い、のの花は入ってきたのとは逆のドアを開けた。
その先には森が広がっている。
「「せ~の、クリア!!」」
のの花たちは迷宮を脱出すると、ハイタッチで喜んだ。
「コインも大きいけど、やっぱりこれだよね」
そう言って、のの花は《魔法のランプ》を取り出した。
現状では自らの足かところどころに設けられた転移門以外に移動手段がないSSOにおいて、空を飛べるというのは大きな武器になる。
「あと1時間ないくらいか…」
のの花が目を付けた数か所を回るのに1時間。
そしてアラビアン迷宮で1時間強くらいの時間を使った。
残り時間はそう多くない。
「何か疲れたね」
「うん」
のの花が言うと花音も同意した。
「休む?」
「休もうか」
すでに十分すぎる数のコインが集まっている。
必死にコインを探し回らなくても大丈夫だ。
しかし、イベントが終わるまではイベントフィールドを出ることが出来ない。
休むなら、出来るだけプレイヤーの近づかない場所を探す必要がある。
「どっか洞窟みたいなところで休んでさ、コイン奪いに来た相手だけ返り討ちにしようよ」
「そうだね」
花音の提案に頷き、のの花はマップを眺める。
事前調査の段階で、あまり人が近づかない洞窟を1つ見つけていた。
そこには危険なモンスターもいない。
そもそも、のの花にとって危険なモンスターなどほぼいないのだが。
「いい場所あるから行こうか」
「オッケー」
2人は並んで、鼻歌交じりに潜伏場所へと歩き始めた。
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