#180 エイカの投銭

「おばさん、こんな連中に土下座する必要なんて、ないぜ」

 あなたはメイカケイの腕を取り、立ち上がらせた。続いてあなたは腰に隠していた小袋を外し、そのままナミタツホノウミの胸に投げつける。

「授業料だ!」

 ホノウミは小袋の中身をあらためる。

「うひょう!」取り巻きの一人が声を上げた。「皆、すげえ額だぜ!」

 実際、それはあなたにとって貴重な高額貨幣ばかりからなる、ざっと半月分の生活費だった。授業料にしては明らかに高すぎる額だ。

 あなたはメイカの手を引き、悠然と農場を後にする。

「おい!」ホノウミの声がした。

 彼はあなた達を取り囲もうとするのではなく、後ろから当惑気味に呼びかけるのみだ。彼らの秩序とやらは、あなたの授業料を手にした後では随分おとなしくなったらしい。

「金が要らないならかかって来い!」あなたは彼らに向き直って叫ぶ。「金が惜しいなら、黙ってそこに突っ立ってろ!」

 ホノウミの子分が、あからさまに彼の袖を引いて説得する。あなた達は再び悠然と農場を後にした。

 #181へ進む。

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