白いビーチサンダルがもたらした奇跡!

水天使かくと

第1話 最後の夏祭りに告白を


高校2年の夏…私はある男の子に恋をした…。

苦手だった…あの彼に…。



私は白瀬優しらせゆう。通称ゆうちゃんと呼ばれている高校2年生。


勉強は苦手だけど部活のバレーボール部ではエースアタッカーをつとめる女の子。


そんな私にもずっと片想いの男の子がいる。

いつかは彼氏彼女になれたらなぁ…なーんて漠然とした夢を描いてる純な女の子だ。



ただ一つのコンプレックスを除いては…。



私のコンプレックス…それは私の身長が高いってこと!!

女子にしては高身長の175㎝!もちろん女子の中では1番だ!

部活では有利だけど…周りからはいつもおどろかれるし、男子にはちょっと引かれちゃってるのはわかるんだよなぁ…自分の身長がうらめしい…はあ…。



キーンコーンカーンコーン…。


授業のベルが鳴ると同時に親友の桃田美百合ももたみゆりちゃんこと通称みゆちゃんと青野夏樹あおのなつきちゃんこと通称なっちゃんが私の席に駆け寄ってくる。


みゆちゃんは小柄で可愛い人懐っこい天然フェミニン女子!もちろん男子からも人気がある!


なっちゃんは頭がよくしっかり者の優等生!大人っぽい雰囲気で高嶺の花っぽく近寄りがたい印象ではあるけど、じつは私の1番の理解者だったりする!


「ねえねえ…ゆうちゃん!この日にね…この夏、最後の夏祭りがあるんだって!みんなで行かない?」

とみゆちゃんが夏祭りのチラシをみせて満面の笑顔で話をする。


いつも落ち着いて物静かななっちゃんも「そうだね!最後の夏祭りだもんね…行こうよ!」といってくる。


私はお祭りのような人が多く騒がしいところが苦手だったけど、みゆちゃんとなっちゃんの勢いにおされ「うん!」と返事をした。


「やった!ゆうちゃん絶対だからね~!ねえねえ…きょうちゃん…」と同時にみゆちゃんが彼氏のとこにも駆け寄りそのことを告げているようだった。



そのうちに彼氏の親友たちも引き連れてこちらに帰ってきた。


みゆちゃんの彼氏…緑川京也みどりかわきょうやくんこと通称きょうちゃん!

明るくひょうきんでクラスのムードメーカー!

この2人…じつはクラス公認のラブラブカップルなんだよな~。ほんとうらやましい…。


あっ!…その後ろの…みゆちゃんの彼氏の親友…赤井知樹あかいともきくん!

男子の中じゃ少し小柄だけど、まじめで優しい優等生で…私の片想いの相手…。

なぜ好きになったか…

それは以前、図書室で本を探しているとき、赤井くんのお目当ての本が届かなく私がとってあげたとき…

絶対に引かれるんだろうなぁ…って覚悟してたら


「ありがとう!きみのその身長が羨ましいよ!僕は168㎝!このとおりの低身長だからね…。」


と笑顔でいってくれた。

今まで身長をほめられた記憶なんてなく、こんな優しくいってくれた人…初めてだった…。


ん?あと…この人もいた…。

同じくみゆちゃんの彼氏の親友…黒崎純くろさきじゅんくん。

いつもツンケンしててちょっと嫌みな塩対応系のクールさをもつ男子!

私はなんとなく苦手だ…。


何が苦手かって?

それは187㎝もある高身長なくせにそんな上から目線の態度で見下ろしてくるから!


どちらかといえば自分がみおろすことが多いし、誰かに見下ろされるのは慣れてない分、苦手でちょっと怖い…。

あと…あんまりしゃべらないから何考えてるか正直わかんない…。



ってな感じのメンバー6人でこの夏、最後の夏祭りに行くことになった。


「じゃあ!せっかくのお祭りなんだし…浴衣で行こ!」とみゆちゃんがはしゃいで言う。


「えっ!浴衣…浴衣はちょっと…私持ってないし…。」私は浴衣なんて着たくなかった…。


「お母さんのがあるんじゃない?去年…ゆうちゃんち行ったとき、ゆうちゃんのお母さんにきいた!」となっちゃんまでもが…。


もう!母さんめぇ~余計なことを…。


私が浴衣を着たくない理由…それは…下駄を履かなくちゃいけなくなるからだよ…。

下駄をはくと必然的に背が高くなっちゃうもん…。

ただでさえいつもぺたんこ靴をはくようにしてるのにこんなの横暴すぎる!


と心で叫んでみてもとおるわけもなく…結局…女子は浴衣で集合になってしまった…。


みゆちゃんははしゃいで彼氏のきょうちゃんと楽しそうにおしゃべりしている。

あのカップルほんと癒しだな~と思いながら2人をみているとなっちゃんが話しかけてきた…。


「ねぇ…ゆうちゃん…。ゆうちゃんの好きな人って…赤井くん…だよね?」

「・・・・・・えー!!な、なんでわかるの?」


私は真っ赤になった自分のほっぺを隠すように押さえながら聞いた。


「やっぱりね!ゆうちゃんみてたらわかるわよ。あからさまに赤井くんを目で追ってるし…ひとりで赤くなってるし…まあ、みゆちゃんは鈍感だから気づいてないと思うけど…。」


「うん…なっちゃんにはかなわないなぁ…。」


「だったらさぁ!この夏祭りに決めてみない?私…協力する!」


「決めるって?」


なっちゃんが満面の笑みで私をみる!


「こ・く・は・く!赤井くんに!」



「えーー!!無理無理!ぜーったい無理!」



私の動揺は大きく、つい声をあらげてしまい、ちらほらこっちをみる生徒もいて焦る…。


「あの2人が羨ましいんでしょ?ここで決めないとズルズルいっちゃうよ?」


それもそうだけど…いきなり告白なんて…。私と赤井くんじゃとても釣り合わないよ…。


「でも…私…頭も良くないし…それに身長だって…男の子はきっと小柄なかわいい娘がいいと思うし…。」


「そんな考えじゃだめ!考え方なんて人それぞれなんだし…あたって砕けろ精神だよ!」


なっちゃんの言うことはいつも説得力がある!やればできるって思わせてくれる!


「う、うん…じゃあ…頑張ってみようかな…。」


「うん!がんばろ!お祭りの日、赤井くんと2人っきりになれるようにセッティングするから!」


「うん…。」


「それとこのことはみゆちゃんには内緒ね!だってみゆちゃんのことだから、ぜーったい彼氏のきょうちゃんに言っちゃうから!極秘でね!」


そういってなっちゃんは私を見て微笑む!


なっちゃんの勢いに押されちゃったけど…どうしよう大変なことになっちゃったー!という動揺は今日1日ずっとかくせないままになってしまった…。



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