第10話

「そっか。あ、健太郎送ってたげたら?」



一緒に葬儀場へ来ていた健太郎へ向けて、あたしは言った。



「え、俺?」



健太郎は戸惑った様子であたしと明日香を交互に見ている。



「健太郎も、今日はもう帰るんでしょ?」



葬儀場に来る前に、今日は用事があるから家に帰ると聞いていた。



「まぁ、そうだけど」



そう言って頭をかく健太郎。



なにか不都合でもあるのか、あまりパッとしない返事だ。



「あたしなら、大丈夫だから」



明日香があたしへ向けてそう言った。



「本当に?」



「うん。バスに乗って帰るだけだから、心配しないで?」



「そっか。じゃあ、無理しないでね」



あたしはそう言い、1人で帰って行く明日香を見送ったのだった。

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