第8話 波と峠越
次の町への又峠越えだが此処は高さも無くコーナーも緩く、しかも道は広いし外灯も在る。
途中には人家も有る上、谷合だから風も弱い、楽々駆け抜けて到着した。
「さ~て、此処からが本番」
一旦西の尾根に上り、其処から連なった山の尾根伝いに東に向かう。
書くと簡単だが、普段は山の手入れに向かう林業の方と更に先に在る唯一の温泉街へ少し大きい町からの客を乗せた、朝、夕のバスが通るだけ、日中に対向車にすれ違った事が無い位使用され無い道路、山肌の尾根伝いにショートカットする様に作られた道である。
少し走って思ったより風雨共に激しくない、行けると思いスロットル開ける。
最初は直線部分が長くコーナーまでの距離が有るので、快調だったがその先に罠が在った、木々がトンネルの様に覆い隠す、そう兎に角暗い、街灯も無い、人家も無い、更に直線が短くなり速度が上がらない。
<GR50>は6V電装でフラマグの回転上げないと充分な電力が確保されない、従ってヘッドライトも暗くなり見えないので更にに速度が落ちる、比例して暗くなる。
「くそったれー」と思い付きで走ってしまった後悔もあったが、此処でやめても如何にも為らないから走り切るしかない、根性のみでスロットル開け走り続ける、コーナーが見えない、風に車体を振られる、路面が見えない恐怖を抑え込んだ、幸いに暗い以外にトラブルなく走り切った。
学校前に到着し商店の自販機でコーヒタイム、でも此れが悪かった。
一息入れたため、此の先まだ走らないと為らない事が頭を過る、ゴールまで後15キロ、大きな湾内とは言え又海沿い、腕も足もパンパンで体が重い、しかも雨合羽来てるとはいえ、中は雨だか汗だか解らない位ビショビショに為って居り、張り付いて気持ち悪い。
<でも走らなきゃ>と跨りエンジン掛け走り出す。
到着したのは日付の替わった12時半位、残念ながらどう走ってきたのか記憶に残ってない。
明け方近くに上陸した台風は速度を上げ、3時間ほどで抜けて行きその後は眩しい位の良い天気、でも帰宅した後は何度起こしても起きない位に爆睡していたらしい。
唯、妹の手に熊が居る事だけは覚えている、約束は果たせたようだ。
日は変わりまだまだ日中は暑いが、朝夕は涼しく為るそんな時に幼馴染から連絡あった。
元々は先述の大きい町で幼少期を過ごし、義務教育が始り翌年に今の処に移り住んでいるので、此方にも向こうにも友人がいる。
「県庁が所在する市内まで行かないか?」
欲しい本が有るからと言った、奴のいる所からでも其処迄120キロあり、此処から奴の居る所まで更に60キロ、俺の居る所から片道180キロ、しかも往復、其処までして欲しい本とは?。
信じれ無いかも知れませんが、当時我々の処では、例えば皆さんご存知の週間の漫画雑誌なら月曜発売なら早くて木曜、遅いと土曜日、単行本は更に酷く、売れ筋は入荷するも其れ以外は注文、普通は注文すれば届くじゃないですか?でも待てど暮らせど届かない。
冊数が足りないと発注受けて貰えないらしいのです、さすがの友人も切れてそこまで行けば在庫が在り手に入る事確認したらしい、勿論行くついでに10冊ほどは買い込んで来る様で他の友人達に当たったらしいが、皆距離に尻込みして此方にまで声が掛かったらしい。
長かった海、山編が終わりました、別の内容が始まります。
此方も又変わったエピソード、開始早々事件は起こります、前にも書きましたがウソのような事実。
設定をいじっては在ります、少々の脚色や多少の誇張が入ってますが起きた事は粗事実です。
どうぞお読みいただければ幸いです。
奴らに見られたら何でバラしたと怒られるかな?そうです奴らの黒歴史ですから・・。
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