異世界で貰ったスキル【賢者】でハーレム作って幸せに暮らしたいんです。

@rubeberu

第1話 【賢者】があれば人生勝ち組


「や、やった!ついに戻ってきたぞ!」


 部屋の中ではしゃぐ青年がいる。

それはこの俺、朝田晴夢あさだはれむである。


 10年前、普通の男子高校生だった俺は突如目の前に現れた謎の女神によって、無理やり男だらけの異世界に転移させられた。

それで10年かかって何とか、向こうの世界の平和取り戻し、この日本に帰ってきたのだ。

正直めちゃめっちゃ辛かった。

もちろんチート能力はもらっていた。しかし辛かった。

敵は多いし、倒しても倒しても復活してくるし、女性はみんな魔族に攫われたとかでいないし、本当に体力的にも精神的にも辛くて、10年間地獄だった。

しかし幸いなことに、こっちの世界じゃ時間が進んでいなかったようで、体はそのまま17歳だったんだが……。

なんの報酬もなしじゃ割にあわねぇ!

ってことで、俺はスキルを持って帰られるように頼み込んだ。

本当はダメらしいのだが、5時間くらい粘り続けたかいあって、なんとか一つのスキルを持って帰ることに成功した。

そう、そのスキルとは【賢者】である!


色々悩んだ。【瞬間移動】に【念動力】に【超回復】etc……どれも捨てがたかった。

しかし俺はこの【賢者】を選んだ。

それはなぜか……。ずばりハーレムを作りたかったからだ。

アホらしいと言う人もいるだろう。自分でそう思う。

けど仕方ないじゃないか!

10年間男どもに囲まれつづけたんだ。

そんな中で10年間も過ごしていたら普通誰だって狂ってしまう。

そんなわけで、俺は女性に囲まれるべく、【賢者】を選んだ。

【賢者】があれば、相手の好きな事、相手が欲しい物、相手の考えている事まで丸わかりだ。


もちろん分かるのはそれだけじゃない。

株の動きや、競馬などの賭け事の結果など簡単に分かる。

つまり、こっちの世界じゃ【賢者】は最強ということだ。


しかし、そんなもの俺にとってはおまけにしか過ぎない。

なぜなら、俺の目標はただ一つ、ハーレムを作る事だけだからだ。

あっちの世界じゃ超辛かった分、こっちの世界ではのんびり、ゆっくり、ハーレムでも作りながら暮らし行くんだ!

俺はそう胸に決意し、久しぶりのマイホームを満喫した。



———翌日。俺は日が明けるのを待ち学校に朝一で向かった。


「ははっ。女子がいっぱいいやがる。」


こっちの世界に戻ってきて久々に登校した俺は、久しぶりの女子に少々緊張すると共に、テンションも上がっていた。

 グヘヘ、この女子みんな俺のモンだぜぇ。などど変態的な事を考えながら、昔の記憶を頼りに教室へと向かう。


「みんな、おはよう!」

勢いよく教室のドアを開け、挨拶をする。

が、ザワザワするだけで誰も返してくれない。

聞こえなかったのかと思いもう一度大きい声で挨拶をする。しかし誰も返してくれない。

おかしいな?前の世界じゃみんな、「勇者様、おはようございます!」とか言って元気に挨拶してくれたのに。


高校生ってこんなもんだったか?

そんな事を思いつつ、テキトーな席に腰をかける。

すると、


「おい。テメェ何調子こいてんだ?そこは俺の席だろうが!」

大柄のイカツイ男が喋りかけてきた。

といってもあの異世界の男共と比べたら可愛いいくらいだが、


「ごめん!ごめん!自分の席忘れちゃってさ!良かったら教えてくんない?」


「あぁん?知るかよ!テメェの席くらい自分で考えろ!どけや、くそインキャが!」

そう言って突き飛ばされた。


—なんだよ。短気な野郎だ。

自分で考えろつったて、忘れたもんは仕方ないじゃないか。

どうしたものか……って、そうだ俺には【賢者】があるじゃん!

忘れてた忘れてた。

早速聞いてみよう。


『賢者よ、俺の席はどこだ?』


と頭の中で賢者を呼びかける。


こんな感じでよかったんだっけかな?

向こうの世界じゃ、ほんとんど使う機会なかったから、あまり自信はないが…


『答: 1番後ろの席の、1番窓側です。』

頭の中に賢者の声がした。


よかった。ちゃんとスキルは使えるようだ。


『了解、ありがとう賢者。』

『はい。必要な時は何でも聞いてください。』


 何でもとは。流石賢者、頼もしいな。

とりあえず、席も分かった事だし座りながら誰を第一のターゲットにするか考えるか。

俺は席に着き周りを眺めた。


ニヤー。

自分の顔がにやけるのを感じる。

女子が近くにいると思うだけでニヤけが止まらなくなる。

いかんいかん。

このままじゃ変態扱いされてしまう。

俺はなんとか理性を保つよう必死で平静を装う。

そしてもう一度周りを眺める。

じーと獲物を狙うかように眺める。

しかし誰1人として名前が分からない。

 まぁそれも仕方がない。

俺にとっては10年も前の話だ。覚えてる方が逆にすごい。

それよりも、そもそもクラスでの俺のキャラがどんなんだっかすら覚えていない。さっきの奴にインキャとか言われたけど俺って、本当にインキャだっのか?

んー思いだせないなぁー。

賢者に聞いてみるか。


『賢者よ、クラスでの俺のキャラってどんなんたった?』

『答: 陰キャラです。』


っんな!まじか!やっぱりインキャだったのか。

向こうの世界で勇者として、チヤホヤされながら生活してたから忘れてたぞ。もちろん男どもにチヤホヤされても何にも嬉しくわなかったが…

そうか、となると教室に入ってからの俺の態度、かなりやばいよな。

急におかしくなったヤバい奴認定されてるに違いない。

俺にとっては10年でも、みんなにとっては、昨日の今日だからなぁ。

うーん。少しずつキャラ変してくしかないか。


 


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