第76話 これから



「お兄ちゃん!!!

思い出したのね!!??」


花瓶を借りて戻ってきたエミリーは、二人の姿に驚いている。

危うく花瓶を落としそうになっていた。


「お母さんのことを少し。

あと妹が居たことも思い出したよ、エミリー。」


エミリーが花瓶をテーブルに置き、オリバーに抱きつく。


「やっぱりお兄ちゃんだったのね!!!

嬉しい!!!」


オリバーが抱き止め、微笑む。


「お兄ちゃん!!!

これから私たち一緒に居ましょうね!!!

って、、、あ、、、。」


ニコニコしていたエミリーの顔がすぐに暗くなった。


「どうしたんだい?エミリー?」


ルーナさんが心配そうにエミリーを見つめる。


「何でもないわ!お母さん!

あのね、今日は外で殿下や伯爵様がお待ちになっているから行かなきゃ、、、。

またすぐに会いに来るわね!」


笑顔を作ってルーナさんに向ける。


「あら!それは大変!

お母さんご挨拶が出来なくて、申し訳ございませんって伝えておいてね。

オリバー、あなたもまた顔を見せに来てくれるかしら?」


「もちろん。

またすぐに会いに来るよ。」


屋敷から持ってきた花束を花瓶に飾り、ルーナさんに挨拶をして部屋を出た。

僕にたくさんお礼を言ってくださった。


「エミリー、お母さんはどこまで知ってるの?」


「私が聖女候補から外されたことしか知らないわ、、、。

私が何をして、これからどうなるのかは何も伝えていないの、、、。」


オリバーと再会したルーナさんは、これからすぐにエミリーと離れることになる。

その気持ちを考えると、胸が痛くなった。


「でも、仕方ないわ!

私はこの国には居られない。

お兄ちゃんが見つかってよかった!

お母さんが一人にならないから、、、。」


本当は自分も家族と暮らしいたいだろうに、、、。




「オリバー、報告を。」


教会の外に出ると、父がすぐにオリバーにそう言った。


「私はエミリーの兄で間違いないということを、母と話して確信しました。

私達親子のため、ここまでご足労頂きありがとうございました!!!」


父、殿下、アンに頭を下げる。

兄の様子を見て、エミリーも一緒に頭を下げていた。


「、、、そうか。

オリバー、お前を解雇する。

数日中に仕事の引き継ぎ、荷物をまとめて屋敷から出て行くように。」


「えっ、、、。」


父からオリバーへの、突然の解雇通告だった。


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