【12】 女騎士

 俺をかばおうと前に飛び出るルナ。

 まさか、そんな! ダメだ!


「ルナ、やめろおおおおおおおおおおおおお!!」

「…………!」



 だめだ、もうナイフが彼女の胸に―――――!!!



 グシャァっ…………。



 そんな肉を刺すような音が――――ん?



 違う、寸前のところで何かが!



 そこでナイフは弾かれ、あの大男の弟は吹き飛ばされていた。



「は? んぎゃああああああああああああああッ!!」


「な、なんだ!?」



 ルナではない。


 彼女は恐怖で脱力し、床にへたり込んでいる。

 身動き一つできていない。



「間に合ったようね」

「へ……」


 俺の目の前には、堂々と剣を構える桜色の髪をした女騎士がいた。モミアゲが長いな。いや、そういう髪か。


 いつの間に!


「あんた誰……」

「あんたこそ誰よ。あたしはルナに会いにきたのよ」

「え、ルナ?」


 どうやら、ルナと知り合いのようだ。

 ま、まあ……助かったのか?


「ソレイユ! 助けに来て下さったのですね」

「……いやぁ、それが、また・・お金を借りに来たのよね。ごめん、偶然」

「えー……」

「そ、そんな目で見ないでよ、ルナ。とにかく、あの人相の悪い二人をぶっ倒すから」


 男たちが起き上がる前にもソレイユとかいう女騎士は、凄まじい瞬発力で高速移動。稲妻いなずまような鮮烈な動きでヤツ等の鼻先に剣を向けた。


 おぉ……見事。人間離れしすぎだけどな!

 相当レベルが高いと見た。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る