恋路
第1話 新生活は楽しすぎて - AKIRA -
※この話は話ごとに交互に視点が切り替わります。
「
クリスマスイブに正式につき合いはじめて、3ヶ月の遠距離恋愛を経て、わたし
一緒に仕事をしていた頃も楓奈の部屋に入り浸ってはいたけど、あの頃は仕事が忙しくてプライベートの時間もそこまで取れなかったので、多分今の方が楓奈に触れている時間は長い。
夕食の片付けを済ませた後で、背後から楓奈の腹部に腕を回して抱き込んだ姿勢のままわたしは微睡んでいた。邪魔さえしなければ楓奈は触れていても怒らないので、最近は遠慮なく触ることにしている。
ほんの少し前までスマホのゲームに夢中だった楓奈から声が掛かる。
どうやらかまってくれるモードになったらしい。
「顔と名前は覚えたけど、やってることはまだまだこれからかな。でも、今までとやることはちょっと違うから面白そうだよ」
部門は変わったものの、勤務先自体は以前転勤していた時と同じこともあって、大きな戸惑いにはなっていない。
もちろん新しい部門は知らない人だらけだったけど、それは前に転勤した時も同じことが言えたし、そこまで気にはしていなかった。
というか、そういうところの柔軟さが自分の持ち味というか緩さなのだとは思っている。
「なら良かった」
とはいえ、そういうことを心配してくれる楓奈の可愛さに、思わず目の前にあった楓奈の左の耳朶を緩く噛む。
今のわたしには、楓奈をそうやって感じるだけで満たされる思いがあった。
楓奈は自分のもので、自分だけが触れることが許されるのだと思うとつい調子に乗ってしまうところはあるけど、それを楓奈は大抵許してくれる。
「楓奈は2次開発のリリースは落ち着いた?」
「うん。もう大丈夫そう」
最近の楓奈はシステムの導入先に常駐しているので、以前と違って通勤先は別の場所になっている。前のように一緒に出勤はできなかったけど、流石にそこまで我が儘は言えなかった。
「なら良かった。できる時にいちゃいちゃしておこう」
1次開発のぐだぐだっぷりを知っているからこそ、同じ状況にならないかは心配だったものの、楓奈の言葉に少し安心はあった。
仕事が忙しいと残業時間も必然と増える。そうなると楓奈とこうしていちゃいちゃできる時間が減るのでわたし的には大問題なのだ。
楓奈と一緒に暮らす時に二人でルールは作ったものの、楓奈はそもそもまめな性格で、わたしが何かをする前にやってくれていることも多い。
夕食だって、一応先に帰ってきた方が作るにはなっているけど、休みの日に楓奈が下ごしらえをしてくれていることも多くて、かなり簡単に済んでいる。
世話好きで、料理も上手で、おまけに体もわたし好みで相性もいい、と正直に言ってわたしは楓奈以上の存在とは二度と巡り会わないと思っているので、楓奈と恋人になって同棲も始めたことに1ミリも後悔はなかった。
そこを認識するまでに時間が掛かって楓奈を泣かせた過去はあるけど、冷たい楓奈はそれはそれで壮絶に性欲を掻き立てられた、とあの夜のことを言えばきっとまた怒らせるので言ってはいない。
「できなくてもしようとするのが右星でしょう?」
「楓奈がしんどいのに、楓奈にだけ負担は掛けたくないと思ってるよ。楓奈には癒されたいけど」
はいはいと、楓奈はしょうがないという風に頷くけれど、楓奈もわたしと体の相性がいいことは自覚していて、おまけにセックスも嫌いじゃないことも知っている。
自分からは滅多に言い出してくれないけど、誘って断られるのはよほど体調が悪い時か生理の時くらいだ。とはいえ後者は何だかんだと胸は襲ってしまっている。
しょうがないと思う。
楓奈も楓奈の胸も好きすぎるのだ。
楓奈の部屋着の下に手を差し入れて、両手で胸を緩く揉む。
楓奈の胸は張りはあるのに触れると柔らかくて、蕩けてしまうんじゃないかと毎回思ってしまう。その胸を下から掬い上げるように掴んで感触を愉しんだ。
「飽きないよね。毎日触ってるのに」
「飽きません。世界一のおっぱいだと思っているので」
「はいはい」
力説しても楓奈は呆れた声を出すだけなのはいつものことだった。どれだけ楓奈の胸が素晴らしいかを楓奈に説いても通じた試しはないので、気持ち良くなる方向にわたしは集中する。
今のわたしは、どうすればパートナーと長続きするセックスができるのかを本気で考えていたりする。死ぬまで続けたいと思っているので、楓奈にもそれにはつき合ってもらう必要がある。
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