追放された付与魔法使いの成り上がり 〜勇者パーティを陰から支えていたと知らなかったので戻って来い?【剣聖】と【賢者】の美少女たちに囲まれて幸せなので戻りません〜
第93話:付与魔法使いは言い当てられる
第93話:付与魔法使いは言い当てられる
翌日の朝九時。
ピンポンと部屋のチャイムが鳴った。
「俺だ、クリスだ」
ガチャ。
俺はすぐに扉を開け、クリスを招き入れた。
「まず、エルフの件についてわかった」
「本当か⁉」
「ああ。それで、肝心の購入者なんだが……これが少々厄介そうでな」
「譲ってくれなさそうなのか?」
クリスはこくんと頷く。
「フィーラ・フォレストという女勇者が買ったらしい」
「フィーラ……って、あいつか!」
謁見の間でガリウスたちと一緒にいた新勇者の一人だ。
「でも、勇者がなんで奴隷なんて……?」
「それはわからん。で、奇妙なことにフィーラはここ一週間ほどでマリアを含めて男女合計で百体以上の奴隷を買い漁っているらしい。はっきり言って、この数は異常だ。何か臭う」
これほどの数の奴隷の用途……となると、労働力として使うくらいしか思いつかない。
しかし、勇者がわざわざ奴隷を買って労働させるのか? というと疑問が湧く。
「かなり不気味だな」
「売ってもらえればいいが、用途によっては果たして手放すかどうか……」
「とりあえず、連絡を取ってみるよ」
勇者も依頼を受ける際には必ずギルドを訪れる。
そのため、ギルドを通せばフィーラと連絡が取れるはずだ。
「クリス、サンキューな! すぐ行ってくる!」
持ち主さえ分かれば、後は交渉を持ちかけるだけ。
ということで、ギルドへ向かう準備を始めようとしたのだが――
「おい、待て! まだ話は終わってない!」
「え?」
「アルスに伝えておきたいことがもう一つあるんだ」
「俺に……?」
「アルス、王国に来る途中に誰かに襲われなかったか?」
確かに、俺は魔の森を抜けた先のキャンプで何者かが寄越したという暗殺者に狙われた。
「どうして知ってるんだ……?」
「昨日、ちょっとした噂を耳にしたんだ。やはり事実だったか……」
クリスは、心配そうに俺を見つめた。
「暗殺者は『レッド・デビルズ』の一味だったな?」
「そ、そこまでわかるのか……⁉」
どこをどう調べたらこんな情報が出てきたんだ……?
「となると、アレも事実の可能性が高いな……」
「他にも何かあるのか?」
「アルスは、暗殺者が誰の依頼を受けていたかは知らないな?」
「ああ。聞き出そうとしたら、暗殺者が呪刻魔法で口封じされてて、どうにもこうにも……」
「そうか、なら調べてきて良かった。……良いか、よく聞け」
クリスは大きく息を吐いてから、説明を始めた。
「アルスに刺客を仕向けたのは、勇者ガリウスの可能性が高い」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます