第84話:付与魔法使いは提案される
必死のアイコンタクトを送っているが、応じてくれるかはナルド次第だ。
「……実際、俺たちとアルスは共に戦い、協力してボスを倒しました。非常事態だったので、不仲がどうとか言ってられない状態でしたので……。概ねアルスが言う通りだと思います」
ナイス!
微妙に嘘にならない範囲で援護射撃になる答え方をしてくれた。
「むむ……⁉ では、話がまるっきり変わるではないか!」
「おっしゃる通りです。ですので、俺は辞退するということで……」
「いや、だとしてもこれだけで結論を出すのは早計じゃろう」
「え?」
評価されている部分は、ゲリラダンジョンを独力で攻略したという部分だったはず。
この部分はさっきの説明で完璧に崩したと思ったのだが、まだ何かあるのか?
「私は、ミスをしたとしても、ギルドがまるっきり違う報告書を出してくるとはどうも思えぬのじゃ。アルスよ。ナルドたちと協力して倒したのだとしても、アルスの助力は大きかったのではないか? 私はそのように睨んでいるのだが、その辺りはどうなのかね?」
……ギクッ!
かなり勘がよろしいようで、痛いところを突いてくる……。
「お、俺は大したことないですよ……」
「そうなのかね? ナルドよ」
た、頼む……。
だが、今回は俺が思うような答えは返ってこなかった。
「いえ、実際アルスの力は大きかったです」
「ほう! そうなのか! 詳しく聞かせてもらおう」
「アルスの付与魔法には、普段から助けられていました。ゲリラダンジョンでも役立たないはずがありません。そもそも、役に立たないようでは勇者として相応しくありません」
「そうじゃろうな」
「しかし、アルスの力は味方あってのものでもあります。アルスの能力は味方を強化することができますが、逆に言えば強化された味方が戦えなければ十分に効果を発揮できません」
おおっ!
想定していたのとは違ったが、めちゃくちゃ助かる答えだ!
「ふむ……それはそうか……。つまり、ナルドたちの貢献も大きかったと……」
「どうしても気になると思われるなら、ここで試されてはいかがですか?」
「というと?」
「そこに新たな勇者がいるでしょう。例えば、ガリウス殿とアルスが一対一で戦えば、はっきりするのではないですか?」
「なるほど、妙案じゃな」
想定外の流れになってきているが、間違いなく良い方向に進んでいる。
ありがとう……ナルド。
「では、これよりガリウスとアルスは決闘を始めよ。ただし、寸止めにするのじゃ。しかとその実力、見極めさせてもらおう」
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