追放された付与魔法使いの成り上がり 〜勇者パーティを陰から支えていたと知らなかったので戻って来い?【剣聖】と【賢者】の美少女たちに囲まれて幸せなので戻りません〜
第52話:付与魔法使いは相談する(2)
第52話:付与魔法使いは相談する(2)
「パーティを作ったばかりだろ? 急に勇者とか言われても困るっていうか……」
「そんなの気にする必要ないですよ⁉」
う~ん、意図が伝わっていない気がするな。
二人とのパーティを解消すること自体も嫌なのだが、理由は別にある。
「セリアさんとユキナさんも一緒に加入する方向で相談してみてはいかがでしょう。実際、お三方で攻略されたわけですし、きっと理解を得られるかと――」
「違う。そうじゃないんだ」
一旦受付嬢の言葉を遮った後、俺の考えを説明する。
「他の勇者がどれほど強いのかわからないが、セリアやユキナほどのポテンシャルがあるとは思えない。下手に人数を増やすよりも、まとまってる今のパーティの方がいい。無理に俺たちに合わせれば、最悪死ぬことになる。そうはさせたくない」
この世界には、乗り越えられない壁もある。
『剣聖』と『賢者』は、どちらもユニークジョブと呼ばれる特別な職業だ。
二人は俺と行動を共にするようになってから、驚異的なスピードで成長を繰り返している。
他の勇者が一歩進む間に、二人は十歩でも百歩でも先に進んでしまうのだ。
パーティの構成員には、突き抜けた強さを持つ者も必要だが、同時に目立って弱いメンバーがいないことも重要だ。
他の勇者の底上げをするにしても、限界がある。
足手纏い……とまでは言わないにしても、パーティのバランスが上手く取れないまでに脳力格差があるのは深刻な問題だ。
俺たち三人に無理やり合わせるよう求めれば、無為な犠牲が生まれるかもしれない。
「アルスさんの仰ることもわかります。しかし、それでも断るというのは……」
なんとも言えない表情で言葉を濁す受付嬢。
国王からの指名が、実質的な命令に等しいことは俺も理解している。
「王都には行くよ。一旦断ってみて、反応を見ることにする」
「そ、そうですか……確かにそれなら……」
何か言いたげだったが、これくらいなら問題なさそうだ。
「私どもとしては、アルスさんたちにご恩を感じています。できる範囲のことがあれば、なんでもご相談ください。それでは、ご武運を」
こうして俺たちはフロイス国王からの手紙を受け取った後、冒険者ギルドを後にした。
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