前世(異世界)の嫁は高校教師、生徒の俺は何とか付き合いたい!

CAD

記憶を繋ぐ

第1話

その時、時間がゆっくり流れた。


今世に降りて17年間


赤ん坊の頃から面影を脳裏に焼き付けて来た


自然と涙が流れていた


次から次に溢れる涙を拭うのを忘れ


目で追う事をやめられない


あのボサボサの髪、顔も歳も違うのに


なぜなのか分かる


魂が震え懐かしさで前世の名前を叫びそうになった。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


死後の世界、俺はまた戻って来た


前回の俺は死にかけて走馬灯を見ることで


ここで起こった事を思い出した。


今回はその記憶のおかげで異世界を謳歌し幸せのうちに


寿命を全うした、来世を幸せに過ごす為


悪事に手を染めず、勤勉に人の為に生きてきた。


女神様は前と同じく説明会をしている


女神「皆さーん、前の人生お疲れ様でした、


   前回の人生で学んだ事は次回の人生に反映されますからー、


   ステイタスボードを確認して下さーい」


俺「どれどれ、おお、40個もある…

  頑張ったなあ俺、


  前回は3つだったもんなぁ~、

  しかし思い出さないと


  宝の持ち腐れ…」


女神「それでは次の世界に行ってもらいまーす」


回転早いわ、どんだけ人生を繰り返すんだ、


俺「しつもーん!!」

  はいっと手を上げる


女神「えッ!!500年ぶりの質問…」


俺「俺は前回、

  ほぼ死ぬ寸前で思い出したけど


  まずそんな奇跡は期待できません、


  ここの記憶を残した人なんて


  聞いたことありません、


  なぜそんな無茶振りするんですか?」


女神「そんな事ありません、産まれてすぐの赤ん坊は


   皆、今ここの話も100%覚えています、


   スベリ台で下に降りるだけで記憶は消えません


   ただ忘れていくだけです、神の御心を忘れない


   人だけ恩恵を受けるのです」


俺「それにしても… コツだけでも教えてもらえませんか?」


女神「ん~そうですね、女神に質問した勇気を讃え


   忘れないコツだけ教えましょう、


   一つは、記憶のアンカーを打つ事でしょうか


   思い出に残る物を見てその時の空気、感情、味匂いを記憶する


   それを繰り返し、ポイントを作って行って


   記憶を繋げていけばいいのです、実際赤ん坊の時の記憶


   がある人はいっぱいいますよ」


俺「それでも、やっぱり無理ゲーだ…」


俺は手の甲を噛みちぎった


俺「この傷は残りますか?」


女神「無茶しますね、そんなことした人初めてです


   大丈夫ですよ、アザとして残ります」


俺はこの傷を見て、この事を思い出そう


女神「では、前世の経験を生かして

 

   より幸せになれるよう願っています」


次々に下界へ降りていく…


細い糸のような記憶を繋げるようなものだ、


俺は手の甲の傷にヨモギさんの顔を思い浮かべた


前回の人生は嫁のおかげで本当に幸せだった


次も出会える事ができたら…


不安を抱えながら俺も下界に降りて行った


次はどんな世界だろう。   


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