31話目

「う、わ……っ」

階段を降りようとして踏み外した足。

けれど想像した痛みはやって来なかった。

「あっぶねぇな」

「え」

耳元でした声に驚いて振り返る。

私が落ちないよう支える片想いの彼に心臓が跳ねた。そして距離の近さに気づき、少し赤くなる彼に私は少しくらい期待してもいいのだろうか。

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