第7話:第一章 3 | 続かない隠し事 ①
僕、『
これからの成長期に期待する中肉中背で、顔はまあ平均的で、特技は幼少期に習ってたピアノがそこそこ弾けるくらい。
不満も不安も人並みに抱えているけれど、
強いて珍しい悩みを挙げるなら、母の実家が染め物屋を
【
表面的にはそれだけで、他には全部見えないように、見せないようにと努力してきた。
でもそれは続かないのだと、今日僕はこれから、きっと思い知る事になる。
「そろそろ21時か」
そう
彼女が言っていた情報規制とやらの解除まで三十分を切った。
全て夢なら何もないはずだが、あんな鮮明な夢なんてあるはずもなく、何かが起こるという予感もある。
ふと〝ピンポーン〟とインターホンが来客を示す音を響かせた。
物思いに耽っていた僕は突然の事に驚いてスマホを落とし、その落下音は外の来客の耳にも届いたようだ。
「キスキどうした? 今なんか音がしたけど。てか開けてくれ」
「レンか? ちょっと待ってくれ、今開けるから」
誰かと思えばレンだった。めちゃくちゃ焦ったが、知り合いで良かったというべきだろうか。
「よう。暇だから遊びに来たわ、少し話もあるしな」
「いやノーアポでこんな時間に来られても困るけども。何の用? 明日とかじゃダメなの? 帰って?」
「いやだから遊びに来たの。あと話があんの。お前が終業式おわってすぐ帰っちまうからだろ? むしろ今日泊めてくれ」
レンは僕の制止を無視して部屋に上がり込むと、テレビと家庭用ゲームの電源を点け、『大乱闘スマッシュシスターズ』のソフトを起動させた。
は? チョーメイワクマジキモインデスケド? 生まれてきたことを後悔させてやんよ。君のことボッコボッコにしーてあげる~♪
と決意してベッドに放られたコントローラーを手に取る。
レンは既に自分のキャラ選択を終え、ついでに僕の操作キャラも、僕の持ちキャラにしてくれていた。
そのままバトルステージに終点を選び、お互いガチャガチャと操作を始める。
そして2試合が終わり、3試合目も半ばというところで、レンが唐突に告げた。
「今ちょうど
「いいけど…あんまり過激な罰は無しで」
「そうだな。……何でもひとつ、質問に答えるっていうのはどうだ?」
予想して無かった罰ゲームの内容に身構え、どう返事したものかと集中が途切れたところで、レンは「スキあり! 消えな!!」と荒々しくコンボを繋いできた。
そのまま為すすべも無く場外ギリギリまで追い込まれ、立て直すこともできず、最後は横スマッシュでトドメを刺される。
「っしゃオラぁ!!」
「マジかよ。まあ今回は僕の負けということにしといてやろう」
正直めちゃくちゃ悔しいがしょうがない。
悔しいと思っているのがバレるのはもっと悔しいので平静を装って腰を上げると、猛バトルを繰り広げたせいか結構な空腹感に襲われた。
「そういえば晩飯まだなんだけど、レンも何か食う?」
「食う食う。何があんの?」
「インスタントの袋麺くらいかな。豚骨と醤油がある。それかカップ焼きそば」
「醤油がいいわ、サンキュー」
食料の備蓄を確認しつつ言って、「おっけー醤油ね。僕は豚骨にしようかな」とか呟きながら、冷蔵庫の中を漁る…と。
「タマゴとハムあるけど入れる?」
「ラーメンにハム? 入れたことねえな、合うのか」
「まぁ ボチボチじゃないかな、チャーシューみたいなもんだよ」
僕は結構入れたりするのだけど、実は少数派なのかしら…?
鍋に水を張り、IHのスイッチを点けて加熱を始めると、レンも腰を上げキッチンに入って来た。
「あーなるほど。同じ加工肉だもんな。てか俺も手伝うわ」
「いやいいよ、たいした
麺を茹で、適当に具材を切って卵と一緒に落とすだけ。
本当に一人の方が早いし、一人暮らしの狭いキッチンで男二人肩を並べてクッキングなんて気持ち悪いし、素直に邪魔なのでお断りする。
しかしレンは制止を無視して僕の横に立つと、水を張ったばかりの鍋を見ながら口を開いた。
「そうでもねえぞ。
そして右手でデコピンの構えを作ると、鍋の側面を〝カーン〟と指で弾いて見せた。
すると即座に水面がボコボコと音を立て、併せて湯気が立ち込み始める。
一瞬で水が沸騰したのだ。
……これは、つまり。
「これが俺の【
つまり、やはり昼間の出来事は夢では無かったのだ。
ああそうか。全部見えないように、見せないようにと努力してきたけれど。
でもそれはもう続かないのだ。
「………ラーメン食べながらでいい?」
僕は沸騰したお湯に麺を落としながらそう言うと、レンは一瞬呆けた表情になってから、微笑と共にコクリと頷いた。
キッチンにある壁時計を横目で見ると、時計の針は21時05分を指していた。
◇
◇
◇
『 ─── 次の神様になってほしいのさ』
彼女、ケイナはそう言ってから、一呼吸を置いて話を再開する。
『
もしも願いが叶うなら? と 誰でも一度は考えるよね?
例えば金欲!
宝くじが当たったらいいのに。
道端に大金が入ったバッグが落ちてないだろうか。
石油王になりたい。
5000兆円欲しい。
例えば名声!
誰かに慕われたい、誰かに求められたい。
偉くなって、チヤホヤされたい。
人がゴミのようだと言える立場になりたい。
例えば縁!
憧れの人と繋がりたい。
それは家族か恋人か、それとも友人か。
一度の思い出が欲しいのか、生涯を共にしたいのか。
例えば夢や幻!
憧れの職業に就きたい。
人生をやり直して、あの頃に戻りたい。
あるいは全く別の人生を生きてみたい。
もしも、たられば、無いものねだり。
十人十色、人の数だけ様々な願いが浮かぶと思う。
現実が辛いとき、好きになれない自分を思うとき、もしくは更なる高みを求めて。
人は欲しい何かを妄想し、
けれど誰もが意味ない逃避だと、
しかし君達はそうじゃなかった。現実の中に願いを見た。
いいかい? 純粋な願いというものにはエネルギーがあり、力が宿る。
人が大願を抱く時、それが少しの迷いも
私達 神は、その才能の事を、願い得た才能として【願能】と呼んでいる。
そしてここにいる君達は全員、その願能か、願能を開花させる可能性を秘めているんだ!
ここ、
』
そこまで話してから、ケイナは一度言葉を切った。
恐らくカンペか何か手元に置いているのか、時折チラチラ視線を落としながらどうにか話し終えたといった感じだ。
その真剣さが、彼女の言葉の信憑性を高めていた。
いやまあ本当に真剣ならカンペ必要ないくらいまで練習しなよと思わなくもないけども。
『
さっき一部の者の記憶を一時的に封じると言ったね?
記憶を封じる者とは、現状まだ願能に目覚めてない者の事だ。
つまり、願能に目覚めている者の記憶は残し、来年度から通常授業以外に、次の神様になる為に必要な事を学んでもらう。
逆に目覚めてない者の記憶は封印し、目覚めるまでは今まで通りの学園生活を送ってもらう事になっている。
先に言っておくと、君達は卒業するまでこの学園を離れる事は許されない。
そしてこの学園で学ぶ事を口外する事もできない。
私達 神か、願能を持つ学友以外に話そうとしても、関係無い別の情報として伝わるようになっている。
会話、筆談、身振り手振り、例外なく全てだ。
徹底的な情報規制がされていると思ってくれたまえ!
また、パニックを避ける為、今夜21時まで記憶が残っている者同士の会話にも同じ情報規制を行う。
よって今夜21時まで、【願能】及びこの終業式について、一切の情報共有ができなくなる。
他にも話したい事はあるけれど、どうしても時間が無いからね。
質問できない状態で一方的な通達をして申し訳ないが、今日のところはこれくらいにしておこう。
春休み中に、来年度からのカリキュラムに必要な教材や書類が届くから、各々目を通しておいてくれたまえ!
』
◇
◇
◇
「「いただきます」」
二人して遅めの晩御飯開始の挨拶をして、ズルズルモグモグといただき始める。
いや~この時間のラーメンとか太るよねヤバいよねマズいよね、いやウマいけども。
でも美味いから良いか! ていうかこんなに美味しいものが身体に悪いわけないし、身体に悪く無いという事はつまりゼロカロリーでは? むしろ食い得まである!!
なんて現実逃避をしながら食べ進め、そろそろ大事な話とやらをしなくてはと現実に戻る。
「……ていうか、やっぱりあれ夢じゃ無かったんだな」
「あんなリアルな夢あるわけねえだろ。麦茶ある?」
机の脇に置いていた麦茶を手に取り、レンのコップに注いでやる。
「はいよ。氷いる?」
「いやいい。……ちょっと見ててくれ」
冷凍庫から氷を取ってきてやろうかと思ったが、レンは短くそれを制すと、机の中央へと自分のコップを動かした。
そして先ほどと同じように、コップの側面を〝カーン〟と指で弾いて見せる。
途端、コップの側面に無数の水滴が浮かび上がった。
「へー。便利そうだな、地味だけど」
そう言ってまた麺をズルズル啜る。やっぱり美味い。
つまり温めるだけじゃなく、冷ます事もできる訳か。
「リアクション薄くね? あと地味は余計だっつーの」
レンはそう言うと、今度は机を人差し指で〝カツン〟と叩いた。
何事かと思ったが深く考えず、れんげにすくったスープを口に運ぶ…と。
「アッッッヅ!! ハァ!? めちゃ熱いんですけど、急になにこれッ…!!」
「いやなんかリアクション薄くてムカついて……すまん」
今度はれんげの中のスープを瞬時に温めたのだろう。
ちょっと何てことするの!? おこだよ!!
ギリギリ
つまり火傷をしないスレスレの温度への調節もできるという事だろうか。やはり便利な能力なようだ。
「まぁ つまり俺は、
「なるほどなぁ。じゃあレンも、昼間の話し通りなら神様になる資格があるって事になるのか」
昼間は色々聞かされたが、ここで抜き出しているのは
『この世界は願いを叶える為の才能を返す。そして才能を持っている人間には、次の神様足りうる資格がある』という部分だ。
「そうなるな。キスキ、お前の能力も教えてくれ。俺だけ教えるのはなんか嫌だ」
確かにレンにだけ秘密を話させるのは悪いだろう。
しかし、じゃあどこまで話すべきだろうか。
昼間の情報だけでは、僕は自分の秘密全てに納得できない。
それはレンの能力を目にした今も同じで、だから僕は自分が納得している部分だけを、レンに教える事にした。
僕は意を決すると、別に必要は無いが、レンに
そして、コップの中の液体に向けて、僕の【願能】というものを行使する。
「僕は
本来なら素材的に着色できない筈の色にも変えられる。
あまり試行錯誤した事はないけど、見たことのある色ならいくらでも再現できる」
僕は指で弾いたコップの水面が落ち着くまでの間に《赤・青・黄・緑・白・黒》の順で麦茶の色を変更した。
「いや俺以上に地味じゃねえか! よく人に地味とか言えたよなお前……なにか役に立つのか?」
「……その日の気分次第で着る服の色を変えたりできるし、色落ちした物とか新品っぽくできるし、ボールペンとか3色のやつ買わなくて済むし、結構……そこそこ便利…みたいな?」
「予想以上に地味だな。ごちそうさまでした」
むむ…確かに地味かもしんないけど言い方ヒドくない?
悔しいので、こんな事もできるよ! 見て見て! とばかりに、今度はオシャレカクテル顔負けの七層に光り輝くステキ麦茶にしてみる…が「ふーん、キレイじゃん」くらいの反応しか返してくれない。
「まぁ お前が記憶を消されてる組じゃないのは助かったよ。とりあえず、俺達が知ってる事を教えてやる。……と、その前に」
レンは何やら呟きながらスマホを取り出すと、どこかにラインで通話を掛け始めた。
……
「──ああ、じゃあ1分後に来てくれ。………ここにマコトを呼んだ。今からちょっと面白いものが見れるぞ?」
どうやら通話の相手はマコトだったらしい。
にしても一分後とは急だな。マコトはすぐ近くまで来ているのか。
レンは制服のポケットから何やら十円玉? のような物を取り出すと、さっきまで晩御飯を食べていた机の上に置いた。
そして僕とレンが食べ終わった食器を重ねると、まとめて流しへと下げにいく。
偉いね、ありがとうね。
「そろそろだな、来るぞ」
キッチンから戻ってきたレンはそう言うと、顎でクイッと机の方を示し見た。
なんだ…? 食器を片してくれたおかげで、机の上にはさっきレンが置いた10円玉しか無いぞ?
偉いね、ありがとうね。
……あれ? もしかしてその10円って晩御飯代のつもり?
さすがに安過ぎない? いや元々お金取るつもり無かったけども。
こんな小銭ならむしろ貰わない方が良いまである。
なんて、どうでもいい思考を巡らせていたその時だった。
マコトが、
いきなりの事に驚いて、空中のマコトから目が離せなかった。
具体的にどう目が離せなかったかと言うと現れたマコトは制服でスカートで重力が仕事してくれたおかげでその中身は座っていた僕からはもちろんばっちり見えていてだからとどのつまり──
「── 水色と白のストライプ!!」
「…… あんたぶちのめしてあげる」
マコトは顔を赤くしながらスカートを直すと、着地した机の上から飛び蹴りを繰り出した。
◇
◇
◇
「私は特定の場所に瞬間移動できるのよ。いくつか条件があって全部を説明するのはダルいしやんないけど、とりあえずコレがある場所にしか跳べないわ」
マコトはそう言いながら、さっきまで机の上にあった10円玉らしきものをヒラヒラと振って見せる。
「めちゃくちゃ便利じゃん。勝ち組かよ…」
「いやだから条件が厳しいのよ。あんたの色を変えるってよりはマシな能力かもだけどね。
レン、あたし達の事はどこまで話してる?」
自分の能力をディスった後、でもお前よりはマシだと示す事で一回り余計に相手をディスる高等テクニックである。
直後に間髪入れず
……エグい。エグくない?
いつもより塩対応だし声音も冷たいので、さっきのラッキースケベがまだ尾を引いているらしい。
いや僕悪くなくない? あんなの見るじゃんね男なら。
そりゃ柄を大声で叫んだのは悪かったかもしれないけど…いやそれに関しては間違いなくギルティですね、すみませんでした。
「まだ全然これからだ。俺とお前の能力くらいしか伝えてない。俺たちの役割についてもノータッチだ」
「なら何であたし呼んだの? 説明がややこくなるから自分一人に任せてくれって言ってたのに」
「すまん。最初はそれでいこうと思ってたが少し状況が変わった。
……マコト、ちょっと確認だが、
レンはそう言いながらマコトの手にある10円玉らしきものを見やった。
へー、あれマーカーというのか。ん? 今ちょっと変なこと言わなかった?
「……もちろん。学校や通学路、キスキがよく
「うっそマジかよ。え? 何でそんな事してんの? もしかしてストーk」
「キスキは少し黙ってろ。なら今すぐ隣の部屋に跳んでくれ。
レンの言葉を聞いた瞬間、マコトは持っていたマーカーを空中に放り姿を消した。
その直後、隣の部屋のベランダに瞬間移動したであろう彼女が、窓ガラスを盛大に叩き割る音が鳴り響く。
「エ? ナニナニドウシテバレタノチョットマッt──eごめんなさいごめんなさい! 髪掴むのやめて!!」
何やら壁越しにくぐもった声が聞こえたと思えば、その抗議が終わるよりも速く、マコトが部屋に舞い戻っていた。
今度は隣の住人を連れて瞬間移動して来たようだ。
ていうか即決で他人の部屋の窓を叩き割って不法侵入して
この一瞬でどれだけの犯罪を犯しているのだろうか。
「…… や、やぁハニ君。こ、こんばんわ~」
「── 僕のことは苗字で呼んでもらってもいいですか。そもそもどうして下の名前知ってるのって感じですし、聞き耳立ててるのも怖過ぎますし、なにより何でここにいるんですか、理事長先生」
マコトに拉致られてきたのは、終業式に乱入してとんでも発言をした真弾高校理事長にして自称神様、ケイナだった。
意外な人物の登場に戸惑い一瞬言葉に詰まってしまう。
名前で呼ばれた時によく使っている台詞を思い出してどうにか切り返すと、それを口火に罵倒混じりの質問が次々と出てきた。
「ちょっとちょっと、いっぺんに聞かないでくれたまえ! 私だって困惑してるんだ。せっかくマイブームのハニ君の盗聴をしてたのにびっくりだよ! なぜバレたんだい? というか問答無用で窓を割って不法侵入とかプライバシーの侵害だろう! 恥ずかしくないのか君たち!!」
「はぁ!? どの口が言ってるんですか! 盗聴してプライバシーを侵害したのはソッチが先でしょう!! ていうかなんて? 僕の盗聴が? マイブーム? この変態が!!」
「キスキ落ち着けよ。お前のプライバシーとかどうでもいいだろ?」
どうでもいい訳ないんだよなぁ…
むしろ僕には何よりも重要まである。
生活圏にはマーカーとやらを仕込まれ、このままだと瞬間移動で拉致られる恐怖に怯え続ける事になるし、隣の住人の自称神様とやらは僕の盗聴がマイブームとかいうし…
「それより今はなぜ貴女がここに居たかだ。目的はなんだ? 敵なのか、貴女は」
「……なるほどね。やはり君達には敵が居るのか
少なくとも私は君達の敵じゃないよ。私は
ついでに言えばハニくんのファンも兼任してる。盗聴は趣味と実益を兼ねてのもので一週間ほど前から堪能してたんだ。
今の目的はとりあえず、
懲りずに名前で呼んでくるのを指摘しようと思ったが、それよりも気になる事ができて何も言えなかった。
なんだと? 僕を死なせないのが目的? 盗聴もその為?
「私からも3つ質問しよう。
1つ、さっき悲しいことにスルーされたけれど、なぜ私が聞き耳を立ててると分かったんだい?
2つ、君達こそどんな目的で、誰の指示でここに来た?
3つ、君達の敵とは誰の事だ?」
レンとマコトは顔を見合わせると、どちらが質問に答えるか目配せで思案しているようだった。
しかしレンが「俺の能力を説明する必要がある」と短く言うと、マコトも納得したのか無言で頷く。
「1つめ、俺はモノの温度を上げ下げできる願能を持ってる。おかげで周囲の温度が
だから隣の部屋で聞き耳を立ててた貴女の体温を、壁越しに感知できた」
「2つめ、俺達の目的はキスキを手助けをする事だ。そして
今日はその為に知ってる情報を共有しに来た。
誰の指示でもなく、ここに来たのは自分達の意志だ。そしてもちろん、俺達もキスキの味方だよ」
「3つめ、俺達の敵って奴だが正体は知らない。でも確実にいる。
恐らく個人じゃなく団体だ。そしてヤツらの目的は次の神様になることで、その手段として
俺達の敵というよりはキスキの敵なんだよ。だからキスキの味方をする俺達とも敵になるってだけだ」
「待ってくれ、さっきから物騒すぎる! 僕の命に関わることなのに僕を蚊帳の外にするなよ!
そんなにヤバい状況なのか僕は。急に敵がいるとか言われても困るし、何で僕を殺す事が神様になることに繋がるんだ! そもそもどうして──」
そう僕が言い終わる前に、何かが窓の外から投げ入れられた。
──なんだ? あれはいったい……
「──マコト! どこでもいいから今すぐ跳べ…!!」
レンが声を張り上げると、その前から動き出していた彼女はケイナとレンを引っ張りながら僕に向かって体当たりをしてくる。
普段だったらぶつかった感触を喜んだのかもしれないがそんな余裕は全く無かった。ていうかふつうにめっちゃ痛いし。
柔らかな胸の感触が中和してくれなければヤバかったかもしれない。ていうかふつうにめっちゃ柔らかいし。
マコトの肩越しにその投げ込まれた物を見ると、それはひたすらに眩く輝いて、まるでエネルギーの塊のようだった。
恐らく何か願能の産物。明らかな敵意をもって投げ込まれた光輝くそれを見て感じた。
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