第132話記者会見




和也は、一睡もしていないまま13時の記者会見を開いた。

ここ最近までもっとも目立つ男として、注目を浴びている猪野和也の記者会見。

多くの報道陣が詰め掛けて、会場は熱気を帯びていた。

記者やカメラマンに混じって、海外の記者が大勢で見守っていた。



和也が登場すると、眩しいくらいにフラッシュがたかれた。


「わが社は、金の[資源量]から画期的な取り出し方法を発見いたしました。ごらん下さい100%の純金の塊です」


幾人の警備員に守られて、台車の上に金の塊が載せられて登場。

騒ぐ報道陣から質問攻めを受けて、1つ1つ答える和也に何のためらいもなかった。


「わが社は、年間約500tの金を産出する予定です。勿論、金相場が暴落しないように調整してゆく所存です。その筋の関係者は連絡してくれると対応します」



引き上げてきた和也に、お茶のペットボトルを差し出すと、「このお茶、めちゃくちゃ美味いな」

俺はただのお茶だと、突っ込みを入れたいが我慢する。


「和也、頑張ったわ。きっと美人な彼女が出来るんじゃないかしら」


「よせやい、照れるぜ」


どうやら緊張が解けたのか、額から汗がドッと噴出していた。

近場にあったテッシュ箱から、テッシュでしきりに汗を拭いている。


「美咲先生、交渉はお願いします」


「任せなさい。海外にも知り合いの弁護士がいるから」


「それを聞けたら、安心しました」


「それとあなたの冒険ハンター依頼は、特殊案件以外は全部断っているけど、特殊案件があったなら受けるの・・・」


「受けるしかないと・・・さだめです・・・」


「何か深い事情があるみたいね。聞かないけど・・・」


「誠、それでいいの・・・」


「ああ、それで良いんだ」


俺は強くならないと、最近は思っている。

あのシルバードラゴンの声が、鮮明に今でも耳に残っていた。

あのシルバードラゴンを倒せる実力を、確実に物にしたい。

それが嘘偽りのない気持ちだ。




俺と瞳は、俺が運転する軽自動車内で「わたし車買うわ」


「急になんだ、もう決めたのか?」


「まだだけど、ワンボックスの4駆を買おうかな」


「何故だ、ランクルが良さそうだと思うが」


「わたしは、スラちゃんやピーちゃんを連れて、観光したいの」


「そうか・・・」




我が家に戻った。ドアを開けた瞬間に、俺に飛び付くものがあった。


「ただいま」


『親分、おかえり』


『ママさん、おかえりです』


「ただいま、ピーちゃん」


『エヘヘ』


『ピー、何故、帰ったと分かるんだ』


『親分の足音で分かるんだよ。キーはまだまだ未熟だな』


『そんなので分かるのか?・・・恐れ入りますピーさま』


『分かったか・・・嘘だよ・・・窓から見えただけだよ』


『また、ピーにだまされた』


もぞもぞと他のスライムもやってきて、俺らに抱きついてきた。


「いい子にしていたか?」


『していたよ』



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