第118話国の歩み




ホテルの最上階の部屋で、ジョージを含む4人が深刻そうに俺を見ていた。


「どうですか、アポは取れそうですか?」


「大使に頼んで、王族の代表に会えるそうだ」


「もしもの時は、アメリカへの亡命を許すのもOKですか?」


「本当はしたくないが、それで解決するならやむを得ないな・・・」


「多分、ならないと思うけど、相手との話の口実に使うだけだから心配しなくていい」


「それならありがたいが・・・」



5時間以上も待って、王族の代表がホテルに到着したと、フロントから連絡があった。


警護の人間を6人も引き連れて、このフロア端の部屋へ入ったらしい。

警護の人間が部屋の隅々まで仕掛けがないか探したようだった。



「早速、会いに行くか?あなたちは遠慮して欲しい」


「何故ダメなんだ」


「その方が後々いいからだ。俺に任せる約束だった筈だと記憶しているが」


「任せて大丈夫なんだな」


「任せろ」


部屋の前で、入念にボディチェックされて、ようやく部屋へ入れた。

この国の王族代表が座るテーブルに、ようやく座れるようになった。

そして、俺はラモレスと名乗って席に座った。

代表の名は、カザス。


「アメリカが亡命を許す話は、確かなのか?」


この男は、それしか考えていなかった。

よっぽど反乱軍に恐怖を抱いているようだ。

軍の半数が反乱軍になってしまい、民衆も向こうに付くと考えていた。

スキルの支配・カリスマを発動して、相手を安心させてから話した。


「亡命の許可は貰っている。それは最悪を想定しての最後の手段ですよ」


「それは、助かる」


「約束します。あなた方を死なすことは絶対にしません」


「・・・」


「反乱軍の代表とも話を通しています。心配無用です」


「私達はどうすれば・・・」


「日本をご存知ですか?」


「ああ、知っている。1年近く住んだことがある」


「あの国のように、ここも国の仕組みを変えるのです」


「皇族のように政治から身を引けっと言っているのか?」


この男も分かっていた。

そして民衆を敵に回すと、最悪の結末なるだろう。

具体的な話2時間以上は掛かっただろう。


代表は帰っていった。


次の日には、王族を5人も連れてやってきた。

そこで、俺はスキルを使って説得を続けた。


その次には、年老いた王族10人がやってきていた。

何度も話し合い持ち、辛抱強く説得。


20日後に、ようやく反乱軍との対談が持たれた。



このホテルの広い会場が、対談の場になった。


反乱軍の代表はベッカム。王族の代表はカザス。

それぞれ、20人が同席しての対談だった。


王族から折れる形ではじまり、穏やかに対談は終わった。

俺も同席してスキルを発動して、穏やかになるように仕向けたからだ。


反乱軍は俺のことを、ジュレートだと思っている。

顔も1人1人が違って見えている筈だ。

俺が、そうなるよに仕向けたからだ。

個人がのぞむ英雄の顔を、俺の顔に置き換えて見ている。


なので、この場から離れて会ってもばれないだろう。

王族も同じだ。俺のことをラモレスと思っている。

なので、カメラなどに写らないように、全範囲探知で探知して写らないようにしている。


そして会談が終わった。

立ち会ったアメリカ大使の補佐官も、驚いて見ていた。


その2日後には、新体制の協議がはじまった。その2日後には、すり合わせが本格に進み法改正に移った。

この国は、資本主義として歩み出した。


動き出した政治の動きは、民衆を巻き込んで選挙が行なわれる事と成った。

議員には王族枠が3割が振り分けられて、残り7割が選挙で選ばれる仕組み。

今まさに選挙活動がはじまっている。


ベッカムは、自由党を立ち上げて選挙活動中。

その他にも3つの党が立ち上がって、互いをけん制しながら活気がみなぎっていた。



日本からも魔石電力の施設建設の確約がなされて、更なる絆を結ぼうと動き出した。

アメリカも負けじと、資本の投入がはじまっている。

そのせいで建設業が賑わい、経済も賑わっている。


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