第113話猪野研第2究所でのテスト
猪野研第2究所の広いスペースで、そのテストが行なわれようとしていた。
「只今よりテストを行ないます。準備は整いましたか?川村さん」
「はい、
「始動させて下さい」
目の前の20センチ程の円盤タイプが、急に高さ3メートル上空に浮かぶと、ピタリッと止まった状態で浮かんでいた。
「敵ダミーを放って下さい」
四方に設置されたボックスから、ラジコン機が飛び出して好き勝手に動き回っていた。
俺らは巨大モニターを見ていた。
上空のカメラで撮られた映像が映し出されて、このフロア全体をカバーしていて、ラジコン機の動きを見て取れていた。
そしてもう1台の巨大モニターには、白い画面に赤い点がラジコン機の動きとリンクしていた。
「数を増やして下さい」
ラジコン機4機が投入されて、AI制御で当たらないように動き回っていた。
2つのモニターにも、同じ動きが映し出されていた。
「動きの誤差はありません」
「第1のテストは合格だな」
「先生、おめでとうございます」
「ありがとう・・・照明を消して下さい」
周りの照明が消えても、ラジコン機の動き回る音は聞こえている。
1つのモニターは黒くなり、モニター付近だけが薄っすらと見えているだけだった。
もう1つのモニターには、白い画面に5個の赤い点がしきりに動き回っていた。
「暗視機能に切り替えてくれますか?」
「動きの誤差はありません。成功ですね」
「どうだ誠、凄いだろ」
「何が凄いのか説明しないと分からないだろ。何の説明ナシに連れて来て分かる筈ないだろ」
「これは、お前が持って来たメタルXIの機能だ。動く物を探知するらしい」
「それで」
「それでって、呆れた奴だな。コイツは1キロ内を探知出来るんだ。メタルⅢで飛び回って防犯を担当させれば恐いものナシだ」
「成る程、ここの施設で実施するのか?」
「24時間体制で実施するよ、それにコイツは壁や障害物の中の動きも探知するんだ」
「すると研究員の動きと、不審者の動きをどうやって見分けるつもりだ」
「それは、研究員の体と動きをデータ化した物をインプットすると、青い点表示になるんだ。不思議な機能だよ」
「しかしな、見つけるだけで捕まえるのは大変だぞ。強い冒険者も居るかも知れない」
「まあ、見ていてくれ。第3テストを進めてくれ」
照明が辺りを照らしだすと、ドラム缶が運び込まれてきた。
「このドラム缶には水が一杯に入れられている。見ていてくれ」
和也が研究員に目配りで合図すると、研究員の2人は準備を開始。
あの円盤が、ドラム缶に近付きバチバチッと電撃を放っていた。
「心配するな、本番では気絶するだけにする」
「衝突テストもしますか?」
「そうだな、やってくれ」
あの円盤がドラム缶から距離を取って、急にドラム缶へ飛んで行き、ドラム缶に衝突してぶち抜いた。
周りには水が散らかり、別の研究員が強力な掃除機で水を吸取っている。
「心配するな、これも本番では手加減する」
「過剰防衛にならないか?」
「その為に、警察関係者と話し合う予定になっているよ。美咲先生も同伴してくれるから心配ない」
和也なりに色々と考えていたんだ。
それに瞳を、俺の家に行くようにけしかけたのも、和也の仕業だと瞳から聞いた。
何処までもお節介な奴なんだ。
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