第108話見たい番組




俺達は、紫のダンジョンの20階層に立っていた。

ここは、北海道の知床の未確認ダンジョンであった。

ここも他のダンジョンと同じく、一本道なのでこの奥にボスが居るのだろう。


誠黒ダンジョンの3階層を攻略する為には、まだまだ力不足と経験不足を実感。

その為に、紫と白を攻略すれば強くなれると考えた。


耐性が付くことからダンジョンは、俺にそのダンジョンを攻略しろと言っていたのかも知れない。

ダンジョンが俺に示した通りにやってやる。

どんな結果に成るか分からないが。



初めの異変は、始や仁助のスライムだった。

透き通った体が紫に変色していて、動きも鈍くなっている。


「始、仁助大丈夫か?返事がないな。スラ、大丈夫か聞いてくれ」


『どうも大丈夫じゃ無いようだよ』


「結界オーブを発動する。多分、毒が充満してるようだから、結界から出るな」


この結界オーブの限界まで結界を張ったが、ボスの2メートル手前で止まってしまった。

結界オーブを持って進もうにも、オーブは動かない。



俺はポーションを取り出すと、スライムらに掛けてゆく。


『親分、おいらはいいよ。毒系だから』


そうだった、スラは毒系の従魔だった。

アイの目が充血しているので、スラ以外にポーションを掛けてゆく。

アイの充血した目は治り、スライムも透き通って元気に跳ねている。


「お前らは、ここで待機だ」


『主、申し訳御座いません』


「気にするな。ここからはスラとゆくから見守ってくれ」


『親分、見守るよ』


『そうだ、そうだ』


従魔らを残して進んだ先には、ピンク色をした豚が1頭が睨んでいた。

高さ2メートル程もあって、口からは紫の煙を絶え間なく吐いていた。


毒に強いスラでも、2メートル前で動きが止っている。


『親分、無理だ。急に痺れてきたよ』


「無理しなくていいぞ、戻って来い」


『分かった』


結界を張ったことで、紫の毒が濃度を増したみたいで、結界を解除も無理だ。

俺はエナジーを発動。

エナジーが紫の毒を消滅させている。

濃度が高いせいで、消滅にも時間が掛かってしまう。


1時間も掛けてようやく豚に辿り着いた。

一瞬、豚は暴れだしたが、すぐに紫の泡を吹きつつ倒れた。


徐々に体がダンジョンに吸収されて無くなると、1枚のカードと紫魔石が残っていた。

カードをかざして念じる。


すると、癒の耐性が防御スキルに追加されていた。

今度は、白のダンジョンを攻略してやる。

右握り拳をさらに強く握った。


『親分、終わったね』


『主殿、お見事でした』


『親分、強いね』


「ここは終わったが、ここで魔物退治をするか?」


『主、時間は何時ですか?』


「13時過ぎだな」


『それでしたら、帰りましょう』


「何故だ」


『見たい番組があります』


「それなら録画すれば良かったのに」


『録画とは何です』


「番組を録画すれば、見たい時にみれるぞ」


『何故もっと早く教えて貰えなかったのですか?』


「聞かないからだ。そうだネットなら時代劇も見放題があったな」


『おらっちもネットを見るぞ』


『おいらも見せて』


いつの間に、時代劇ファンが増えた。




我が家に戻って、録画方法を教えて、ノートパソコンで見放題に登録。

我が家のテレビとノートパソコンが、従魔らによって奪われてしまった。


仕方なくスマホで電話。


「あ、おじさん、俺だよ・・・テレビとノートパソコンを頼むよ・・・分かった」


展示物なら、すぐ運んでくれるらしい。



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