第103話エナジーの訓練




俺は、従魔らを残して多々良ダンジョンの16階層で、魔物の霧を相手に戦っていた。

今まで使わなかったエナジーを使い、守りと攻撃を同時に使いつつ倒していた。



このエナジーは、魔法攻撃や物理攻撃を防ぐ能力があって、霧に対しても俺を守っている。

俺が攻撃して倒せと思った瞬間に、広がって倒している。


何故、これ程に防御力もあったのに、俺の【暗黒球】で倒せたのだろう。

試しに【黒球】を、俺のエナジーに当ててみたら、魔法攻撃に強い筈のエナジーが当たった部分が消滅。

俺の黒魔法に相性的に弱いことが分かった。

エナジーを発動しても、エナジーを信頼しすぎることもダメなようだ。


15階層の大トカゲにもエナジーは有効。

大トカゲがエナジーに触れるや、のたうち回り、最後にはひっくり返った状態で死んでいた。


俺はエナジーを使い、色々な攻撃パターンや防御パターンを試した。

気合を強く入れることで、攻撃や防御に急な対応も出来ることが分かり、何度も試した。


基本的にエナジーを発生させるには、一種の気力が消費される。

この気力は何だと、ステータスを何度も見てようやく分かった。


12階層の透明人型を大勢を倒した時に、HPが消費されていた。

10ポイントが急に消費されていて、ダメージも喰らっていないので間違いないだろ。


魔法を使って消費するMPに比べても、コストパフォーマンスがめちゃくちゃ良い。

それに広範囲に使えて便利だった。


俺が手に入れたスキルで、もっと便利なスキルが存在しているかも知れない。



あ、9階層に冒険者のパーティーが下りてきた。

俺の知らない気配で、新しくやってきた冒険者なのだろう。

女性4人と男性2人のパーティーで、感じは10代のようだ。


ここからは、剛腕の刀を持って討伐しよう。

階段ワープで確認したが、人の気配で上にワープするのは無理そうだ。


ここは、全範囲探知を使って最短ルートで、人に会わないように進んで行く。



中には、すれ違う場面も出てきたが、やはり知らない中年男性のパーティーだ。

何か疑る感じで見てきた。


どうやら、赤のダンジョンから色を染め直して、初めての泊まり攻略で7階に来ていた。

それなりの実力者だと自負している連中で、単身で来ていた。

そして、俺が怪しいと考えたようだ。

装備にもそれだけの金額を積み込んでいた。

俺の名を聞こうとしたので、急いで離れた。




あれ程静かだったダンジョンが、人が大勢潜っていた。

多々良支部の機械も増設されて、俺もようやく機械にカードを読み取らせた。

販売受付も並んでいて、販売を諦めて支部を出て行った。

なにやら俺を呼ぶ声も聞こえてきたが、聞かなかったことにして急いだ。



従魔らには、出掛けることを伝えて、玄関に防具類を置いて出掛けた。

行き先は、この下の街でビジネスホテルを予約して、猪野和也が来るまで待つだけだ。



ビジネスホテルで何気にテレビを付けていた。

どうやらワイドショーでコメンテーターが、中国の要人が突然に姿を消したことを話していた。

処刑説や暗殺説が、確認されないまま話を進め、憶測だけで話していた。

その中に、俺が会った人も混じっていた。

顔写真が6枚も映されて、6人が消息不明らしい。


もしかして、隊長の話はこれだったのか?「コンコン」


「俺だ開けてくれ」


和也は部屋に入るなり、盗聴器発見機で部屋を隅々まで探している。


「それ程、深刻になってしまったのか?」


「ああ、そうだよ。これが必需品に成ってしまった」


俺は既に調べたので、そんな物はないことは分かっていた。


「このケース2つに、メタルⅢがぎっしりと入っている」


「悪いな」


「この2つのメタルⅩとメタルXIのインゴットは、用途不明だから調べてくれ」


「この2つか?・・・分かった」


ドアから出て行った和也には、屈強な男性が4人も付いていた。

懐には拳銃が忍ばされていた。

もしかして警察関係か・・・



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