ハズレだったカードマスターで這い上がる

@katuniro

第1話カードマスター




世界中にダンジョンが発生して、53年が経過しようとしている。

俺も高校1年生に成って半年に、ダンジョン適性検査を受ける為にダンジョンに入りスライムを倒した。

その時に習得したスキルがカードマスター。

そして手に入れたカードがスライムナイフで、スライムを一撃で倒せる武器だった。


スキルもレアなスキルなのだが、ハズレスキルであった。

魔物を倒すとまれにカードが出現するが、ソロで倒さないとカードはドロップしない。

そのスキルの為、パーティーの誘いもなく、ソロ活動をする羽目になる。

ついでに言えば、カードマスターの習得者で有名に成った人は、見たことも聞いたことも無い。

日本では俺がただ1人のカードマスター。

海外のカードマスターは、過去の2人がダンジョン内で死亡。

もう1人はアメリカ人で、冒険者を諦めてギルド職員として田舎に勤務している。

成長速度も遅く弱い、ようやくパーティーに入っても役立たずと罵られてしまう。


そんな苦い経験を1度だけ、高校時代に経験している。


二十歳になっても続けていられるのは、スライムナイフが有ったからだ。

初心者だと5回のヒットで倒せるスライムが、1回で倒せる。

贅沢さえしなければ、生活できる水準でダンジョン1階をメインに活躍するのが、青柳誠あおやぎまこと

俺のことだ。


基本的に1階のダンジョン内には、スライムしか現れない。

よっぽどなヘタレ以外は、スキル習得後数回の戦闘経験を積むと、2階層へ向かうのが基本。

俺も苦い経験時に、2階層に行ったがゴブリンが4体から6体の集団で現れ、戦闘の戦い方を学ぶのが基本。


1階のスライムばかりを倒す冒険者は俺だけで、人気ダンジョンではやっていけない。

何故なら新人がスライム相手に頻繁に戦っている為に、スライムの数が少なくなり収入源が減るからだ。




ダンジョンの出口を出て、目の前の多々良たたらギルド支部センターへ入る。

古民家を改修した作りで、窓口が1つでギルド職員も2人で運営されている。


ここ多々良支部は、JR駅からバスで山道を1時間以上掛けてたどり着く程の村。


交通の便が不便であることから、冒険者も俺以外に13人しか居ない。


ギルドの窓口に、下級ポーションと低級魔石104個を提出。


「これをお願いします」


「はい、これね・・・今だと下級ポーションは5千500円ですね。低級魔石は1万400円ですね」


「それでお願いします」


ポーションには、下級・中級・上級の物があり。

下級ポーションは切り傷やHPの2割を回復する効果がある。

今までに、自分に試した下級ポーションは1回だけで、味は甘酸っぱい。

切り傷なら、その部分にかけると治りも早いらしい。


そして1万5千900円が今日の収入。

カードホルダー内にポーション5枚とスライムナイフ1枚が入っている。

カード化が余り進まないので、どれ位カードホルダーに収納できるか検証も出来ないが、無制限に収納出来る気がする。

なので便利なのだが、カードが余り出ないのでカードホルダーも宝の持ち腐れ。



ギルド支部から歩き続けて15分。

ようやく見えてきたのが、月1万3千円で借りた古民家。

玄関ドアを開けて裸電球の照明を付けると、身に着けている防具を外し壁のフックに掛けておく。

左のふすまを開けると、敷きっぱなしの布団とテーブルがあるだけ。

PCの電源を入れると、ネットで〇ouTubeの動画を見る。

やはりトップランカーの魔物討伐動画がアップされ、剣で切り裂かれている魔物に目がゆく。

確かA級の魔物で、魔石も上級魔石で100万円もする筈。

通路内に3つの魔石が転がっていて、無造作に拾うシーンが映し出されている。


パーティー名は【サンシャイン】

日本のトップを走る冒険者で、国民の憧れで6名の構成員で戦っている。

剣で戦っていたのが、桂淳二かつらじゅんじで剣聖のスキル持ち。

このパーティーを引っ張っているのが、リーダーの桂瞳かつらひとみで双子の姉。

このパーティーの要で、火魔法と水魔法のゲキレアの持ち主。

この2つの魔法を複合させて、複合魔法を操ることで有名。

そして俺の幼馴染であった。

2人共Lv76で他の4名をスカウトしてわずかな期間で伸し上がってきた。

4名は30代で、名の知れた冒険者である。



ついつい魔石の方に目がゆき、俺が手にする魔石と比べてしまう。

なんとなくミジメであるが、俺は諦め切れなかった。

後ろ指を差されながら、冒険者として1階層で黙々と戦い、ようやくLv9まで上げることが出来た。

しかしLv9でストップして、レベルが上がる兆しがないのが現状。

もう1階層のスライムでは、経験値も微々たる物で何時になればLv10に成るのか?


Lv10に成った冒険者は、30パーセントの確率で強力なスキルを習得するらしい。

今はそれに掛けるしかない。


それでも、俺のカードマスターのスキルにも期待する気持ちは変わらない。

頑張り続けて、物理攻撃のスキルでスラッシュと魔物探知をようやく習得。

しかしソロ活動の為、2階層へ挑む訳にはいかない。

戦闘中に側面と後方からの攻撃に、どうしても無防備になってしまう。

それ程ゴブリンは狡猾で、ソロ活動で戦う場合は攻撃スキルで一撃で倒し、連続攻撃を繰り出す。

それか、魔法攻撃で一網打尽にするしかない。


シャワーを浴びて、今日は寝ることにする。



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