#5 ガッコウ

 なんやかんやで月曜日がやってきた。

 特に憂鬱になる事はない。

 何故ならいつも憂鬱だから。たかが月曜日如きに動揺するわけがない。

 スマホを見てみると午前六時。

 宿題は昨日の夜に急いで終えたので問題は無い。

 まだ制服に着替えるのには早すぎるだろうか……?

 取り敢えずアラームをかけて二度寝しよう。


 ──んっ。

 アラームがけたたましく鳴るのでそれを手癖で止める。

 もう七時か……。

 死にたくなるような気怠さを抑え、私はパーカーとジーンズを脱いで制服に着替える。

 着替え終わったらスマホを持ち、寝ぼけ眼を擦りながらスクールバッグを持って部屋を出る。

 そして階段を降り、洗面台に行ってまずは顔を洗う。

 顔を洗ったら髪を櫛で整え、歯を磨いて口を濯ぐ。

 終わったら朝ご飯を食べにリビングに行き、食卓の椅子に座って軽く朝食を食べる。

 弟はもう朝食を食べ終わって学校に行ったようだった。

 部活があるからかな。

 今日は納豆ご飯だったので納豆が制服にかからないように慎重に混ぜ、食べ終わったらもう一度歯を磨いた。

 さてと、ここまでが平日朝のルーティーンだ。

 いよいよ私は学校に行く。

 ローファーを履き、玄関の鍵を開けて……。

「行ってきます」

「行ってらっしゃい」

 母に見送られ、重い足を動かして学校へと向かう。


 通学路。人がごった返す。

 ここに暴走車が突っ込んで来ないかなぁ……。

 スクールバックの柄を強く握りしめ、そんな事を考えてしまう。

 やはり平日は死にたくなる。

 それも月曜日は……。でも、こんなのいつもの事だ。

 転校初日はかなり緊張し、自己紹介もぎこちなくなった事を思い出す。

 当然と言えば当然だけど、私に友達なんてものは出来なかった。

 部活も入る気になれず、前の学校では入っていた美術部も見学すらしなかった。

 ようやく学校に着き、校門を潜る。

 下駄箱にローファーを入れ、上履きに履き替えて教室へと向かう。

 中学生で引っ越し、転校だなんて私には耐えられなかった。

 ただそれだけなのだ。


「ねーヤバくなーい?」

「アイツマジウケるー!」

「アイツのカレシ、ブサイク! あはは!」

「キャハハ! それ言わない約束っしょー!」

 教室に入ろうとした矢先、後ろのドアでギャル達が笑いながら屯していた。

 いつものように騒がしい雑談に少しだけ苛立ちを覚える。

 あぁ、こいつらの邪魔をしたら殴り殺されるかな。

 そんな事を考えてると少しだけ気分がスッとする。

 破滅願望……というやつだろうか?

 声をかけるのもめんどくさいので私は立ち尽くす。

「……あ、沢渡さんだ」

「あ、ホントだ! ウケる! ……どいて欲しい?」

「うん」

「分かったー」

「はい、どーぞ♪」

 ギャル達がようやく私の存在に気付いたのか、一旦廊下に出て渡れるようにスペースを作った。

 私は無言で教室に入り、自分の席に座って教科書を机の中に入れる。

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