個性豊か
「間抜け共が、お前らの神器のせいでこんなことになってんだぞ!」
猟銃を抱えた中年の男性が私たちに向かって言う。
「そいつの言うことは間に受けるな、神器が怪異を呼び寄せるのは確かだが、ここまで大量に呼ぶことはない。 大方怪異どもに知能の高い奴がいるのだろう」
「チッ、クソが! 休日だったんだぞ! 怪異共の質が高くてストレス発散も出来ねぇのによぉ!」
中年はまだキレ気味だ。 flyFさんが援護してくれたが、あまり関わらない方がいいかもしれない。 それより、どうしたらこの地獄が止められるかが知りたい。
「「貴様ら、神器を持っているのだろう? ならば道は1つ、怪異を鎮める為にその身を捧げよ」」
鎧を着た男と、燃える刀を持った男が同時に喋る。 こっちだって好きで神器なんて持ってるわけじゃないんだ。
「柳川、山下、大丈夫だ。 怪異共は本来知性を持たぬもの、操り手を消せば終わりだ。 少し手伝って貰うことになるが、いいか?」
「その通り、私たちはプロだ。 本来は君らのような民間人を守るのが仕事、奴らは怪異ハンターの風上にも置けないクズ、君らは止めだけを刺せばいい」
スーツを着た若い男性が言った。
「ヒューッ! 言うじゃねぇか若造! 俺らはお前がガキの頃から生きてんだ。 年長者には従えよ?」
「あ、あの、結局俺たちはどうすれば?」
山下が会話に割って入る、黙っている私を気遣ってくれたのだろうか。 本当にありがたい、ギスギスした空気は苦手だ。
「止めを刺す時にだけ手伝っていただく、それで大丈夫じゃよ」
怪異庁と書かれたバッジをコートへ付けた老人が静かに言った。 1番信頼出来そうだ。
「リーダー、同意します。 最善の選択だと私の勘もいっている」
メガネを掛けた初老の男性が同調した。 コンビなのかな?
「あの… まずは皆さんの名前を教えていただきませんか? 仲良くもしたいですし… 」
こんな状況だ。 雰囲気は良い方がいい。
「私は柳川、大学生です。 で、こっちのデカい方は山下、頼りになる親友です」
「照れるな… 駄々褒めじゃないか…… 」
「儂は細谷、得意武器は拳じゃ。 怪異庁の同僚からはリーダーと呼ばれておる」
「名乗るのは良い、私の勘もそういっています。 私の名はザッカー•ドラッツ、ザッツとお呼びください」
「「我々はプロだ。 不要な名乗りはせぬ」」
「私は松尾、毒使いで有名だ」
「名乗れば良いんだろ! 名乗れば、俺は飯田、年間最高討伐数を誇るフリーの怪異ハンターだ! 得意武器はこの猟銃、今はそれしか言わねぇぞ」
「残りの方々は民間人じゃ。 皆震えとる、早くこの事態を解決せんとな」
細谷さんが地図を広げる、作戦会議開始だ。
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