閑話:依頼
私は怪異の討伐を生業としている怪異ハンターだ。 怪異と言う存在が世に認知されたのは10年前、山折市にて[路地裏の悪魔事件]が起こり、怪異の姿がネット上にアップされてからだった。 無差別に幼児を路地裏へ連れ込み、食い殺す悪魔の姿は、人々が怪異の存在を認めるには十分だ。
人は怪異を恐れ、怪異は人の恐れを吸収し活発化した。 その怪異を仕留める為に正義感の強い者たちは自らを鍛え、怪異ハンターとなった。 怪異ハンターたちは基本的には群れず、個人で活動する。 仲間は怪異と対峙する上でリスクとなるからだ。
今日、私は老人の依頼を受けて廃村を訪れている。 老人が言うには、夜な夜な鬼が現れ、新しく作られた村に降りて人を食うらしい。 怪異の中でも単純な部類だ。 強靭な怪異は自由自在に形を変え、人語を話す。
早速怪異を仕留めるための下ごしらえを始める。 廃村の出入り口に簡易なクロスボウの罠、得物であるマチェーテに強力な効果がある毒を塗り、後はただ、怪異が来るのを待つ。
二時間後、深夜0時に怪異は姿を現した。 老人の言っていた通り、体は赤く角が二本、昔話の鬼そのものだ。 鬼がクロスボウの罠に掛かるのを息を潜め待つ、、、、、、ピュっと音が鳴り、鬼の叫び声が聞こえる。
鬼の足にクロスボウが刺さっていることを確認した私は、素早く鬼の背後に周りマチェーテで背中を三回斬りつける。 鬼は瞬時に反応し、金棒を取り出して殴りつけてきたが、毒の効果もあり避けるのは容易だった。 鬼が息を切らした隙に、首を斬り、殺した。
仕事を終えた私は、鬼の死体を写真に収め老人に送る。 罠を片付け、マチェーテをスーツケースの中に入れ、廃村を後にした。 今夜は後二件も仕事が残っている、怪異の力は増す一方だ。 苦しむ人々は私を求めている、それに応えるのが礼儀だろう。
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