友達?ですがなにか?。〜からかうアイツは腐れ縁〜
遊真野 蜜柑(ゆまの みかん)
第1話①
「あぁぁぁぁーーーーー!!!」
「うるさっ」
「一緒のクラスじゃないぃぃ……」
「とうとう離れちゃったね、まぁ休み時間には会えるし、別にいーじゃん。」
「ゆりが冷たいぃぃ……」
思わず叫んだ私に親友は普通のリアクションで更に私は悲しくなってきた。
私の名前は香川 深咲(かがわ みさき)。
今日は春休み明けのクラス発表兼始業式の日だ。
そして隣に居るのが親友の伊東 小百合(いとう さゆり)。
小学校時代からずーーーっと同じクラスで仲良しなの。
今年も同じクラスになると思ってた…いや、同じクラスにしてくれると先生達を信じてたのに初めてクラスが離れちゃったよ。
「うぅー…。ゆりと違うクラスかぁ、さみしいなぁ。でもしょうがないか……先生の意地悪…。」
「まぁ、隣のクラスなんだしすぐに会えるよ。他のクラスメイトは……っと良かった、透と同じクラスだ♪」
「えぇーーー、透もクラス違うのー。いーなー、カップルで同じクラスー。」
「呼んだ?呼んだよね?」
「あ、おはよう、透」
「おはよう、さゆ。今日も可愛い。お、同じクラスだ、やった。」
名前を出していると不意に現れた私の幼馴染の山崎 透(やまざき とおる)が恋人である小百合と仲良く挨拶して話し込んでいる。
そんな二人の邪魔をしないように私は掲示版に貼られたクラス表をもう一度良く見ていく。
さっきはゆりの名前があるかどうかしか見てなかったからね。
クラス表を見ていくと見知った友人達の名前もちらほらと見つけ、出来れば見つけたく無かった名前を見つけた私は大きくタメ息を吐いてしまった。
「はぁー……マジか…今年も一緒なのヤだなぁ。」
言いながら少しだけ下を向く。
私の声にゆりが気付いてのぞき込むようにして問いかけてくれた。
今日もゆり可愛い。おっと、本音が出ちゃったよ。
「みーちゃんどしたの?一緒って誰と……って聞くまでもなく優樹君?また一緒なんだね。」
「ゆりと一緒がいいーーーーー!!!透、交換してよ。」
覗き込むのをやめて掲示版に目を向けてすぐに理解した小百合は一人の名前を口にした。
そんなゆりに抱き付きながら透へと交換を所望してみる。
すると、さっきまで笑顔で小百合と話していた透は真顔に近い笑顔……むしろ悪戯っぽいというか悪役が似合いそうな笑顔で私に言い放った。
「残念、無念、また来年。」
そして抱き付いている私を小百合から引き剥がして自分が抱き締め、真剣な表情で言った。
「さゆは俺のだから渡さない。」
効果音があるとしたらキリリッとした音だろうと思えるくらい真剣な表情ってゆーか、もう、完全にドヤ顔ですよね、それ。
ゆりに抱き付く位いーじゃんかーもぉー。
こうなったらこっちにだって考えがあるもんねー。
「休み時間全部ゆりに会いに行って透の邪魔してやるんだから。」
「みーちゃん、それは嫌。」
スパッと小百合から拒否られてしまった。
「うぅー、ゆりが冷たいぃぃ」
「どうでも良いけどそろそろ移動しよ?」
小百合が言いながら掲示版に背を向けて透と並んで歩き出している。
「やっぱりゆりが冷たいー。」
言いながら私も掲示版の前から動き出す為にクルリと後ろを向いた時、ポニーテールが誰かにぶつかってしまった感覚があり、咄嗟に条件反射の様に急いで謝った。
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