第43話 「探偵に成りたかった」

 エッセイ「優しさ小説、おばあちゃんと緑のたぬき」でも、話している。僕は幼少期に明智小五郎と少年探偵団に熱烈に憧れた。「探偵になりたい。なる。」かなり熱があった。


 平日の夕方に「少年探偵団?」ってドラマがあり、かなり食いついてみていた。子供ながらに助手を務める小林青年にも憧れた。


 またシャーロックホームズもはまり全巻読んだ。NHKのシャーロックホームズのドラマを録画して何回もみた。

 

 アガサ・クリスティのエルキュール・ポワロ「地中海殺人事件」もはまったし、探偵ではないが「刑事コロンボ」は、金曜ロードショーでやってたのは、たぶん漏れなく全て見た。


 しかしいつか忘れたが日本での私立探偵の業務内容の大半が「浮気調査」と知ったときに一気に意思消沈した。


 しかしだ。探偵が、明智小五郎みたいに怪人20面相みたいな盗賊と知恵比べしたり、シャーロックホームズみたいに殺人事件の調査を警察から依頼されたり、リアルにあるわけない。当たり前だ。


 「探偵が浮気調査と失踪調査?アホか!そんなもん探偵じゃないわい!」そんな感想ではあるが、だいたいが非現実的なのだ。


 しかし大学生、大人になり、「浮気調査でも探偵は探偵だな。響きがいい。探偵になりたいなあ。」そんな思いは持ちながら、別の仕事をしていた。


 しかし、たまたまこの年になり僕は小説の中で、リアルに「優しい探偵」になれた。


 街を歩きながら「俺は街の優しい探偵だ。」ボソリと決め台詞を呟く。


 「う〜ん。探偵になった気がリアルにするではないか!」


 木村れい探偵は、そんなふうに、夢想的でありながら、リアルに探偵になった気になりながら、等身大に探偵を演じている。

 

 開業届を税務署と公安に、いちおうだしとこうかな。

 いや、嘘ですよ、でも僕は自称「街の優しい探偵」だ。


 

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