第85話 配信 ねねこ
結局どんなに話し合っても答えは出ないということで一度『予言の巫女』の話を切り上げた俺たちは、元居たマルナ王国の方へと戻りながら俺のスキルに関する話で盛り上がっていた。
「実際ドロペ追い強化はありだよな。なんだかんだ使ってるし」
「でもさすがにSPもったいなくない?今何段階だっけ」
「ドロペは2だな。泥の量増やすのに2」
「2ならあり…………かなあ?」
『指数関数的に要求量増えるからなあ』
『そこそこ使うので4止めにしてるんだっけ?』
『4までは振れば?』
そのコメントの通り、スキルレベルを上げるのに必要なSPは、スキルレベルが上がる毎に増えていく。さらに魔法獣は少し特殊な仕様となっており、魔法獣のアクティブスキルとパッシブスキルが全て同一のスキルとして扱われるのだ。
そこで、俺はある程度すぐ集まる量のSPで取れるラインを四段階目と目安にし、基本的にはその魔法獣の魅力な点を一点振りで4まで上げるという方針を取っていた。ドロペットを例にするなら、泥を出していろいろできるところが魅力なので、泥の量を増やすパッシブスキルを一点的に上げているというわけだ。
ちなみにドロペットが2で止まっているのは、ドロペットを強化した当時はその目安を2としていたからである。
「ただ出せる泥の量も現状で満足してはいるんだよな」
「てかお兄ちゃんどんな魔法獣取ってるんだっけ」
「覚えてないのかよ」
『ごめん俺も覚えてない』
『多いんだわ』
『完全には兄しか把握できてないだろ』
ネイカを批判したところ、リスナーから逆にツッコミを受ける。
とはいえそれも仕方のない話で、逐一解析スキルを使っている俺はかなりの数の魔法獣スキルをアンロックしているのだ。もちろんその全てを解放しているわけではないし、解放していても全く使っていない魔法獣も多いのだが。
「まあぶっちゃけいつものセットしか使ってないしな」
「でもあれじゃない?レベルアタックと眠り猫使うとなると枠が…………」
「足りなくなるな」
『誰外すか』
『まあ適材適所で変えてけばええやろ』
『改めて魔法獣確認回しよう』
ちなみにいつものセットというのは、『メタルバード』『ドロペット』『プチハンター』『エレキゴーレム』の四匹だ。こいつら以外にも使える魔法獣はいるのだが、初見攻略の無難なセットとして挙がるのがこの四匹で、結局こいつらでなんだかんだなるからいつものセットと呼ばれるようになってしまったというわけだ。
その内訳は、言わずと知れたメインウェポンの『メタルバード』のメルと、パイレーツ兄弟の時以降から色々とお世話になっている、足場や防壁などを作り出す『ドロペット』のドロペ。一人で様々な武器を使いこなし、器用に立ち回ってくれる便利屋の『プチハンター』のプッチと、大味だが、攻撃はもちろん麻痺の異常状態もばら撒ける『エレキゴーレム』のエレゴレという四匹だ。
この他にも、ヘイト管理に役立つ『ダイナバッファロー』のウシカベや、微量だがバフやリジェネを撒ける『ミニエンジェリック』のテンシなど、色々と語りたい魔法獣は多いのだが…………今は割愛させてもらおう。
「やっぱり俺自身も戦えなきゃ頭数一つ減らしてるようなもんだし、レベルアタックは入れとくべきだよな?」
「うん。固定ダメってのも結構役割あるし」
「となると、レベルアタックとメルエレゴレ眠り猫ってとこか…………そういや眠り猫の名前も決めないとな」
『駄猫』
『ぬこ』
『シンプルに猫』
眠り猫を取得した時には流れてしまったが、この名付けタイムも恒例のものだ。やはり名前を付けた方が愛着がわくし、魔法獣によっては名前が長くて呼ぶのに時間がかかる子もいるので、なるべく短くて呼びやすく、且つわかりやすい名前を付けるのが重要だ。
「やっぱ猫の方につられるよな。眠りの方と言い感じに組みあわせられれば理想だが」
「うーん…………ていうか何気に猫の魔法獣って初めてじゃない?」
「そうなんだよ!猫パ組みたいのにな」
『いいね』
『猫型のモンスター解析すればいいってわけじゃないのがつらいよな』
『てかなんでこんな仕様にしたんだよ』
こんな仕様というのは、モンスター解析の話だろう。実際意味が分からないし、不具合でしたと言われれば納得できてしまうものだ。
「んー…………まあいい案も浮かばないし眠り猫でねねことか?」
「いいんじゃない?」
「猫系は判別できるようにしたいんだよな。使いたいから」
『ねねこちゃん』
『いいね』
『モンスター解析の情報未だに少なすぎるよな』
何を強化していくかという話からいつの間にか眠り猫の名付けに話題が変わってしまっていたが、そんな感じで眠り猫の名前はねねこに決まったのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます