ダブルソウルブレイカー

@takezo827

第1話 全裸イケメン

『…あれ、ここは何処だ?』


んっ…何処となく痛みを感じる気がする。


そうだ、俺は今さっき死んでしまったことを思い出した。よく思い出せないが、激痛の中、意識が遠のいていくのを覚えている。


おいマジか…まだ童貞だったんだぜ。

せめて、1回くらい女の子を抱いてみたかった。というか、沢山したかったな!

神様そりゃないぜ…。あんまりだ。


ここに肉体があれば、絶望に打ちひしがれている表情をしているだろうに。


その時、暗闇の中から光が見える。


おお、これは神様のおでましか!?


光は段々と近づいてきて、目の前まで来ると周辺一帯が明るくなった。


『眩しい…。』


そして眩しさの中、眼を見開いたーー


『ええーーーーーっ!?』


思わず大きな声を出した気がした。

何故なら、そこには全裸のイケメンが立っていたからだ。


そして、歩きながら話し掛けてきた。


『そこの童貞くん、僕はルーカスだ。君は、童貞のまま死したことを悔いているようだね。』


真ん中に大きななにかをぶら下げながら歩いてくる滑稽な男がいた。


てか、格好の割に口調が上からで、ちょっとイラッとするなコイツ。


『あんたは、誰だ!?というか、なぜ全裸!』


滑稽な男はさらに話しかけてくる。


『このような格好で、すまなかった。なにせ、服をイメージするのが面倒くさくてな。産まれたままの格好が楽で1番イメージしやすいし。』


とりあえず、コイツが変態であることは確かだ。


『君も後悔していることがあるように、実は僕も後悔していることがあってね。』


急に真顔になったイケメンに、たじろぎそうになるが、全裸であることから耐えることができた。


『イケメンにも後悔があるってか。』


少し嫌味ったらしく言った気がした。


『そう、僕みたいなイケメンでも後悔することがあって…』


イケメンを自分で肯定している…だと!?


『僕は女の子はいっぱい抱いてきたんだが、残念ながら子孫を残すことはできなかったんだ。』


ナンカスゲエウゼエ。


『そこでだ。君は子孫を残す“行為”がしたい。僕は自分の子孫を“残”したい。利害が一致してるとは思わないか。』


よく分からんが確かに、利害は一致してそうだ。ウザいけど。


『これから君は、僕が居た世界へ行くことになるだろう。そこで、僕の力の一部を君に引き継いでもらい、その力を後世へ残せるように、僕のかわりに沢山子孫を残してきてほしいんだ。』


唐突すぎてあれだが、やってやろうじゃないか!


『あと、僕のスキルも継承させてあげるから、頑張ってくれたまえ。割と強かったからきっと君の助けになると思うよ。』


イケメンは、ニヤッと笑ってみせたが

だが、全裸だ。


とりあえず、俺は自分の望みが叶えられるならなんでもいい!


『分かった!俺頑張るよ!ルーカス!』


謎の意気込みをみせる俺。


『…ところで、君の名前なんだっけ?』


『確か…カズキだったような。』


『そうか、カズキ。君には期待しているよ。じゃあね。』


全裸イケメンはさっきとは少し違った、物悲しい表情で見送りの言葉を言った。



その時は、これから起こる壮絶な物語を知るよしもなかった……

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