第29話

 ダンジョン内に入るとそこにあるのはたくさんの魔石。

 全て拾いながら進んでいく。

 魔石は魔道具や魔法武器など、果てには魔剣とかを作るのに使えるのから回収しておいたほうがいい。

「何これ、デッカ!」

 しばらく歩いていると、巨大な壁にぶち当たる。

「これ、スライム?」

 明日香の言う通りこの巨大な壁はスライムである。

 スライムは漫画とかゲームとかに出てくるような雑魚キャラでは決してない。

 窒息などの生物として致命的な攻撃は効かず、また物理攻撃は効かない。

 唯一効くのが魔法攻撃。

 しかし、初心者とかの場合強い魔法攻撃を使えず、スライムを倒すことは出来ない。

 故にスライムはオークと並ぶ初心者殺しとして知られている。

 そしてスライムは魔石を食べると大きくなるという性質を持つ。

 基本スライムは動かないので大きくなることはないのだが、稀に魔石を大量に喰らいとんでもない大きさになることがある。

 その場合はもう普通は何も出来ない。

 巨大なスライムを吹き飛ばす特大魔法なんて普通は使えないので、何も出来ない。

 規格外の魔術師が来るまで何も出来ない。

 まぁ、僕は余裕だけど。

 ましてや大きくなりすぎて壁につかかって動けなくなったスライム。

 ただの的である。

 一瞬でスライムの壁を壊す。

「ほんと規格外ね」

 呆れる二人とともに道中立ちふさがるスライムを壊しながら進んでいく。

 そして、最後。

 ダンジョンの核が存在する最後のエリアに到達する。

 ダンジョンは核を壊されると崩壊する。

 そして核の前には核を守るボスの魔物がいる。

 核はそれを倒してからでなければ壊せない。

 その最後のエリアにはあの異形の怪物がこんにちわ。

 まぁここに来るまでに道中にどうしようもないほどの悪寒を感じていたから予想はできていたが。

 さて、魔石的に考えればこいつが最後になるはずだが、果たして。

「神風残響流 一閃」

 異形の怪物を聖剣で一刀両断できる。

 今までならここで倒れたはずだ。

 しかし、この異形の怪物は再生し、何事もなかったかのように佇んでいる。

 だが、攻撃はしてこない。

 何なのだ。

 僕は不気味に思いつつも聖剣を構える。

「神風残響流 千本桜」

 そして振る。

 一度に放たれた千の斬撃は一瞬で異形の怪物を細切れにする。

「『燃えろ』」

 そして細切れになった異形の怪物を魔法で燃やし尽くして終了。

 今度は再生することもなく消滅し、魔石を残す。

 これで魔石の欠片は4つ。

 全部合わせれば一つの魔石として猛威を振るうだろう。

「あいつ、不気味なくせして弱いわね」

 ……全くだ。

 この悪寒は何なんだが。

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